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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第7章 勇者誘拐
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11話 勇者の弟子と敵の目的

「ごめんなさい、ララさま」


ヒナちゃんはまさに『人質』として扱われていた。




「ヒナちゃん!大丈夫?ひどい事されてない?」


「今のところは大丈夫です」


 見たところ衣服の乱れもないし・・・無事みたいだね。




 私はヒナちゃんを捕まえている誘拐犯のリーダーに質問した。


「なんでここにいるんですか?あのまま逃亡すれば良かったのでは?」


「無益な殺生は嫌いなんだよ・・・って事は別にねえんだけどよ、あんたみたいな、やばい奴の恨みを買ったら世界の果てまで逃げても追っかけてきそうだからな」


「よくお分かりで!まさにそうする予定でしたから!」


「そう思って、あんたに後腐れが無いようにしてから、円満に姿を眩まそうと思ったんだ」




 ・・・円満なら姿を眩まさなくてもいいのでは?と思ったけど、あえてつっこまなくてもいいかな?





「あんた・・・『勇者』だろ?」


「はい、そうですよ」


「だよな・・・騎士団総長と勇者が知り合いなのは知ってたが、まさか勇者本人が副総長と二人で赤ん坊の散歩してるなんて思いもしなかったぜ」


「そうですか?私とレィアさんはママ友なので、よく一緒に散歩やピクニックに行ってますよ?」


「どこの世界にそんなのんきな勇者がいるんだよ」


「勇者の仕事もちゃんとこなしてるんだから、休日くらいのんびりしてもいいじゃないですか」


「しかも無能な部下どもが間違えて勇者の子供を攫ってくるとはな・・・危うく全てが台無しになるところだったぜ」


「レィアさんのお子さんを攫っても同じ結果でしたけどね」


「まあ、それはどうでもいいんだ。勇者が出て来るのを想定してなかったわけじゃねえ。さすがに初っ端から係わって来るとは思わなかったけどな」


「それって、勇者が出て来ても何とかなると思ってたって事ですよね?」


「まあな、そのための対策も色々準備してたんだが・・・ことごとく、突破してくれたよな?しかもえらく原始的な方法で」


「そうですか?別に勇者じゃなくても出来る事ばっかりですよ?」


「それだよ、何で勇者の力があるくせに余計なスキルばっかりたくさん持ってんだよ?」


「まあ、勇者になる前は色々苦労してたんで」



「・・・よくわかんねんな・・・まあいいや、結果的に俺の方は目的を達成できた。色々思うところは有るだろうが、このまま見逃してくれねえか?」


「さすがにそれは出来ません。分からない事が多すぎです。このままではあなたがいなくなった後、あなたの事を徹底的に追跡して調査しますよ」


「やっぱそうなるよな?・・・わかった、話せる事は全部は話そう。それで手を打ってくれ」


「それは聞いてから判断します」




「そうだな・・・何から話そうか」


「まず先に、ヒナちゃんを解放してもらえませんか?」


「こいつはだめだ。話が終わるまでは人質になってもらう」


「ララさま、わたしは大丈夫ですから話を続てけて下さい」


「でも、ヒナちゃん・・・」


「本人がいいって言ってんだからいいだろ?どうせこいつに危害を加えたら俺に未来はねえんだろうから何もしねえって」


 ・・・それって人質の意味あるんだろうか?



「ごめんね、ヒナちゃん」


「かまいません・・・今回足を引っ張ってばかりだったので」




 仕方ないから、さっさと終わらせよう。




「それで、あなたは何者で、あの囚人は何者なの?」


「大雑把な質問だな?まあいい・・・俺は金さえ貰えばどんな仕事でも受ける請負人だ。今回はある依頼人に頼まれて、騎士団に捕らえられていたあの囚人を連れて来る様に命じられた」


「その『ある依頼人』っていうのは聞いても答えられないんでしょうけど、その人とあの囚人の関係は?」


「察しが良くて助かるぜ。詳しい事はわかんねえが、あの囚人はその依頼人の同胞らしい。そのよしみで保護したいって話だったな」


「それなら普通に騎士団に行って保釈金を払えば身受けできたはずです。あの囚人は大した罪を犯したわけではなかったんですから」


「そうみてえだな。だが依頼人から正攻法じゃだめだって言われてな、今回の強行プランを提示されたってわけだ」




 ・・・やっぱり、あの囚人はその依頼人から逃げていたと考えるべきだよね?



「騎士団総長の子供を人質にするなんて大事になるに決まってるじゃない。そこまでやる必要があったの?」


「さあ、それは知らねえよ、俺は依頼の通りに仕事をしただけだ」



 ふうん・・・何か別の思惑もありそうだよね。



「あなたに魔法を教えたのは、その依頼人ですよね?」


「どこまで察しがついてるんだか?・・・・・その通りだ。今回の仕事はかなりやばそうだったからな。条件を出したら、便利な魔法をいくつも教えてくれたよ。もっともあんたには通用しなかったけどな」



「あなたは、その依頼人の正体には察しがついてるの?」


「ついて無くもねえが、あまりにも荒唐無稽すぎて、自分でも信じたくねえからな。深く追求しない事にしている。この仕事で長生きするには、知り過ぎない方がいいって事が多いんでな」


「いい心がけね・・・でも、あなたはあくまでも、それ以上の事は知らないって言い張るつもりですよね?」


「実際に知らねえんだから仕方ねえよな?」




 ・・・これ以上情報を引き出すのは無理かな?




「まあいいわ、今回のところは。私としてはヒナちゃんさえ返してもらえたら見逃してあげます」



「話が付いて何よりだ・・・どうやらその依頼人が俺とあの囚人を回収しに来たみたいだな。じゃあ、こいつは返してやるよ。さあ、行きな!」


 リーダーはそう言ってヒナちゃんを放し、その直後、リーダーの姿が揺らぎ始めたのだ。




 ・・・やはり転移魔法の一種みたいだね。


 これは依頼人の仕業だったんだ。




 そして、リーダーの姿が透けてきて消えそうなった時に・・・




「あれっ?何で私も?」




 私の方に歩いて来ようとしていたヒナちゃんの姿も、揺らぎ始めたのだ!


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