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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第7章 勇者誘拐
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6話 勇者の弟子と人質の情報

「ああ、そうっすよ、騎士団総長のところに交渉に行ったっす」




 ヒナちゃんのそばにいた若い方の手下があっさり答えてくれた。




「馬鹿!お前、何しゃべってんだ!」


「ああ、やべえ!つい言っちまった!」


「まあ、聞かれたところで、この状態じゃどうしようもないだろうけどな」




「赤ちゃん達は無事なんですか?」


 ヒナちゃんが続けて質問した。


「ああ、そいつは大丈夫っす。ただ一人は死んだように眠り続けてたから、交渉に使うのは起きてる方だって言ってたっすよ」


「そうなんですね!ありがとうございます」


 まんまと情報をしゃべってくれた若い手下は、ヒナちゃんに笑顔でお礼を言われてまんざらでもない感じだ。




 ・・・この手下、ヒナちゃんみたいなタイプに弱いみたいだな・・・




「だからてめえは何をぺらぺらとしゃべってんだ!」


「だって、この子、笑うとすげえかわいいんすよ!」


「俺はこっちの姉ちゃんの方が好みだ・・・ってそんな話をしてんじゃねえ!」




「じゃあ、あなたの方は私がお願いしたら教えてくれるのかしら?」


 私は年上の手下の方に微笑んでみた。


「ばっ!馬鹿言ってんじゃねえ!教えられるか!」


 年上の手下の方も顔を赤くしてドギマギしていた。


「そっか・・・教えてくれたら・・・キスくらいなら、いいかなって思ったんですけど・・・残念ですね」


「なに!ほんとか!」




 ・・・冗談のつもりで言ったらのって来たよ、この人・・・




「情報の内容にもよりますけどね」


「なんだ!何が知りたい!良いから言ってみろ!」


 かなり興奮してるよ、この人。


「そうですねぇ・・・やっぱり子供の居場所ですかね?」


「子供の居場所か・・・ほんとだな?ほんとに教えたらキスしてくれるんだな?」



 ・・・うわっ、なんか本当に教えてくれそうだよ。



「ちょっと待って下さいよ!それって絶対に教えたらダメな奴っすよね?」


 若い方の手下が割り込んできた。


「なあに、こいつら縛ってあるんだ。教えたところでどうにもなんねえよ」


「それもそうっすね!じゃあ、君も知りたい事を教えたら俺にキスしてくれたりして?」


 若い方の手下は、冗談めかしてヒナちゃんに聞いた。


「そうですね・・・内容にもよりますけど・・・」


 ヒナちゃんは唇に指を当てて首を傾げた。


 その超絶かわいいしぐさに若い方の手下はさらに舞い上がっている。


「マジっすか!何が知りたいっすか!」


「ではあなた方の目的を」


「俺達は騎士団に捕まった仲間を釈放してもらおうとしてるっす!」




 ・・・あっさり話したよ・・・




「馬鹿野郎!何しゃべってんだ!」


 若い方の手下が年上の方に殴られた。


「ひどいっすよ!先輩が先に喋ろうとしてたじゃないっすか!」


「いいんだよ!俺は!」


「ええっ!ずるいっすよ!」




「あの・・・それで、子供たちの居場所は・・・」



「やめだやめだ!危うくしゃべっちまうところだったぜ!ばれたら後で殺されちまうよ!」




 ・・・残念!正気に戻っちゃったよ!




「俺はしゃべったんだからキスしてくれるっすよね?」


「今の情報だけではちょっと・・・」


 ヒナちゃんも結構したたかだねぇ・・・


「ええっ、そんなぁ・・・」




「さてと!必要な情報は大体手に入ったし!そろそろ行こうか?ヒナちゃん」


 私は縄をほどいて立ち上がった。


「なっ!貴様、どうやって!」


 続いてヒナちゃんの縄も魔法でほどいてあげた。


 ちなみに自分の縄は魔法じゃなくて普通の縄抜けスキルで抜けたんだけどね!


「ありがとうございます。ララさま!早く戻りましょう!」



「何言ってる、貴様ら!おとなしくしろ!」


 襲い掛かって来た手下に私はレイピアを突き付けた。


「なんだそりゃ!一体どこから出した!」


「女には秘密の収納場所があるんですよ?」


「なっ!そんなもんがはいるわけねえだろ!」


 ・・・そりゃまあ、そうだよね?


 実際には魔法で取り寄せたんだけど・・・


「はい!ヒナちゃんはこれ!」


 私はヒナちゃんに、ヒナちゃん愛用の二本の短剣を渡した。

 これも魔法で取り寄せたものだよ。


「ありがとうございます!」


 ヒナちゃんは短剣を構えて若い方の手下と対峙した。


「そんな物騒な物、君には似合わないっすよ!」


 若い手下も剣を抜いて構えた。


「お気遣いありがとうございます。でも大丈夫です」


 ヒナちゃんは二本の短剣を巧みに駆使して、一方の短剣で相手の剣を受け流しつつ、もう一方の短剣を首筋に当てた。


 さすが!ゲンが仕込んだだけあって、短期間でずいぶん上達したね!


 ヒナちゃんは魔法使い見習いだけど、剣の修行もやっているのだ。


 短剣を二本使うスタイルで修行しているところだ。


「強いところも最高っす」


 若い方の手下はすっかりヒナちゃんにベタぼれみたいだね。


「あの・・・情報ありがとうございました。これは、お礼です」


 ひなちゃんは短剣を持った片手の指を使って若い手下に投げキッスをした。


「はう!」


 ・・・どうやら今のでとどめを刺されたらしい。




「じゃあ、あなたの方にもこれで!」


 私もレイピアを突き付けている年上の手下の方に投げキッスをした。


「はわ!」


 年上の手下はそのまま気を失って倒れた。



 ・・・私の色香のせい・・・ではなくて、投げキッスに乗せて催眠魔法を使っただけなのだが・・・


 若い方にも催眠魔法をかけておいた。


 ・・・必要なかったかもしれないけど・・・ヒナちゃんのかわいらしさは武器になるね!




「じゃあ!ヒナゃん!交渉現場に向かうよ!」



「はい!ララさま!」




 私とヒナちゃんは小屋を出て、王都へと向かった。


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