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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第7章 勇者誘拐
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5話 勇者の弟子と誘拐犯のアジト

「やめろ!」




 私のスカートが半分くらいめくれたところで、誘拐犯のリーダーが手下を制した。




「その様子だとそっちの娘にも人質としての価値がありそうだ。どっちにも手を出すんじゃねえ!」


「ですが、こいつが自分でいいって言ったんですぜ?」


「・・・下手にそいつの恨みを買わねえ方が身のためだぞ」




 ・・・この人・・・もしかして私の実力に気が付いてる?




「あの・・・そろそろスカートを放してもらえますか?」


 私は、スカートをめくっている男に話しかけた。


 男が私の裾を掴んだままなので、スカートは下着が見えそうなぎりぎりのところまでめくられていたのだ。

 太腿がむき出しで結構恥かしい状態だ。



「なあ、あんた、俺達とやってもいいんだろ?」


「あの人がああいってるのですから、やめて下さい」


 私はきっぱりと断った。


「ちぇっ!久しぶりに楽しめると思ったのによ」


 男はしぶしぶ私のスカートを掴んでいた手を放した。




「私たちも『本拠地』に連れて行くのですか?」


 私はリーダーらしき男に尋ねた。


「いや、あんたらはしばらくここにいてもらう・・・あんた、子供と合流したら、おれらを一網打尽にするつもりだっただろ?」


「何言ってるんですか?私にそんな事できる訳ありません」


「まあいい、子供らはあんたに対しての人質だ。居場所を教えるつもりはねえ」



 ・・・この人、かなり頭が切れるみたいだ。


 気を付けないと危ないよ。



「お前ら!他にも仲間がいるかもしれねえ!周囲を調べてこい!」



 手下たちは、私とヒナちゃんを椅子に縛り付けて外に出て行った。


 小屋の中にはリーダーの男だけになった。



「ねえ、あなた達の目的は何なの?」


「はっ、この状況でその胆の据わり様が普通じゃねえんだよ。そんな紐で縛ったくらい、どうにでもなるんだろ?」




 ・・・やっぱり、私の事、気が付いてるよね?




「あなたの方こそ、ずいぶん腕のいい魔法使いみたいだけど?」




 私の問いかけでリーダーの顔色が変わった。




「・・・おれが魔法を使えるって事は仲間も知らねえ。まさか気が付かれるとはな」


 リーダーの顔から笑みが消えて真剣な表情になった。


「そうでなかったら、こんな手間のかかる事してないもの」


「万が一のためにかけておいた追跡妨害魔法が仇になっちまったって事か・・・それにしちゃ、よくこの場所を突き止められたな?そっちが探索魔法を使った形跡も感じ取れなかったが?」


「やっぱり・・・探索魔法を使ってたら気が付かれてたみたいですね」


「なんだぁ?あんたも相当高度な魔法の使い手みてえだが、そこまで読んでたのか?しかし、どうやってこの場所を突き止めた?」


「それほど特殊な事はしていませんよ。私は狩人をやってたので、山で獣が通った気配なんかを見つけるのが得意だったんです」


「そんなスキルも持ってるのかよ。どうなってんだ?」


 リーダーは首を振りながら呆れた顔をした。


「まあいい、とにかくこっちの目的が達成するまで大人しくしてりゃ、子供は返してやる」


「必ずですよ?」


「ああ、この状況、どう見てもこっちが不利みてえだからな」





 私の事をどこまで理解したのかわからないけど、とりあえずはこっちが有利状況になったみたいだよ。




「ヒナちゃん、ごめんね。こんな事に巻き込んじゃって」


 私は小声でヒナちゃんに話かけた。


「いいえ、わたしの責任ですから巻き込んだなんて言わないで下さい」


「ヒナちゃんにもしもの事があったらゲンに申し訳が立たないからね」


「ゲンさまには心配かけたくないですけど・・・でもさっきみたいに、わたしのためにご自分を犠牲にする事はやめて下さい」


「あはは、大丈夫だって!何の策も無しにあんな事しないよ!」




 ・・・本当は何も考えてなかったんだけど・・・まあ、結果、何とかなったしね!




 ヒナちゃんを性的被害に逢わせるわけには絶対にいかないからね! 

 弟子のゲンはとにかくヒナちゃんの事を大事にしているのだ。




 すると偵察に出ていた手下たちが戻って来た。


「小屋の周囲には他に誰もいませんぜ。本当この二人だけでここまで来たみてえです」


「そうか・・・じゃあ、おれは一旦ここを離れる。こいつらの事をしっかり見張っておけ。くれぐれも手を出すんじゃねえぞ」




 ・・・リーダーはここを離れるみたいだね。




「おい、おまえ。おれがいねえ間に馬鹿な気を起こすんじゃねえぞ。大人しくしてりゃガキは無事に返してやるからよ」


「はい、信じて待ってます」


「いい心がけだ」




 そう言って、リーダーは数人の手下を連れて小屋を出て行った。




 後には手下が二人残っている。


 一人は20代前半、もう一人は10代後半くらいの年齢だろうか?




「ちぇっ!こんな上玉を目の前にして手が出せないなんてよ!」


「仕方ねえだろ、後で殺されるぞ」




 ・・・ヒナちゃんに手を出そうとしたら、その場で殺すけどね。




 さて、どうしたものかな?




 リーダーが出て行ったのはおそらく交渉のためだ。


 だとしたらゼト様のところに行くと思うんだけど、その時人質を連れていないと交渉にならないよね?


 そうすると、ジオ様かルルのどちらか一人だけを連れて行く可能性が高い。

 赤ちゃんを二人も連れて行くのは大変だし、交渉が失敗した時にもう一つ手札が残るからね。


 二人一緒に連れて行くとわかってたらこの場を脱出して、交渉現場に行けば全て解決なんだけど、一人の行方が分からないと迂闊に手が出せない。


 せめてルルだけでも助け出せればいいんだけど・・・




 ・・・いや、ジオ様がどうなってもいいって事じゃないよ!


 ぶっちゃけ昏睡状態だとしても、ジオ様を殺す事なんて普通の人間にはまず無理だからね!

 

 まあ、これが長年連れ添った夫婦の、余裕の信頼の証ってとこだよね!


 ・・・って、まだ長年じゃないけど・・・




 そんな事を考えていたら・・・




「あの・・・さっきの人は人質の交渉に行ったのですか?」




 ヒナちゃんが手下に、そのまま質問してしまったのだ。


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