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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第7章 勇者誘拐
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3話 勇者様と誘拐

「ジオたちが攫われたって、どういう事!」



「ララ様がいなくなったあと、泣いているレィナちゃんが気になって、わたしがあやしてあげていたんです。その間、レィアさんがジオちゃんたちのベビーカーを見ていて下さったんですけど・・・突然、レィアさんが魔法をかけられて動けなくなってしまったらしくて、その隙にあやしい人たちがジオちゃんととルルちゃんを連れ去ってしまったんです」



「それで、レィアさんは?」


「魔法が解けて動ける様になったら、すぐに後を追いかけて行ってしまったんです。わたしはここでララさんが戻るまでレィナちゃんを頼むって言われて・・・」



 それって、狙われたのがレィナちゃんって可能性もあるよね?



「すみません!わたし、何の役にも立てなくて!もう少し魔法が使える様になっていたら何とかなったかもしれないのに」


「ヒナちゃんはまだ勉強中の身なんだから仕方ないよ。それよりもレィナちゃんを家に届けてから私もジオたちを追いかける」


「わたしも行きます」


「ヒナちゃんは危険だから屋敷で待ってて」


「いえ!わたしにも責任があります。一緒に連れて行ってください」


 ヒナちゃんの決意は固いみたいだね。


 ・・・私が一緒なら大丈夫か?


「わかった!じゃあすぐにレィナちゃんを預けに行こう!」


「はい!」



 私はレィナちゃんをベビーカーから抱き上げると、レィアさんの家に向かって走った。


 ベビーカーごと移動すると時間がかかるからね。




 レィナちゃんに負担がかからない程度の速度で走るとレィアさんの家・・・つまりゼトさんの家にはすぐに着いた。


 メイドさんに事情を話してレィナちゃんを預けると、後についてきたヒナちゃんに尋ねた。


「ヒナちゃん、レィアさんはどっちに向かったの?」


「王都の外のに出る門の方です」


 まあ、普通はそうだよね?


 王都の外に出られると追跡が困難だな・・・


「とにかく追いかけよう!」




 この、警備の厳しい王都の中で子供を誘拐しようって連中だ。

 逃走の方法は考えてあったと思った方がいい。



 王都には3重の城壁がある。


 その、一番外側の城壁の城門・・・すなわち王都の外に出るための門のところに行くとレィアさんがいた。


「ララさん!すみません・・・賊を取り逃がしてしまいました」


「どうやって城門を抜けたんですか?」


「仲間が行商人に扮していたのです。丁度タイミングを合わせて通行を許可した馬車に紛れ込んだそうです」




 ・・・やっぱり、計画的な犯行みたいだね。



「後は私が追跡します。レィナちゃんは家に送り届けておきましたのでレィアさんはレィナちゃんの元へ行ってあげて下さい」


「いえ!今回の事はわたくしの責任です!わたくしも一緒に捜索します」


「今回狙われたのはレィナちゃんの可能性もあります。犯人が間違いに気が付いたら再びレィナちゃんが狙われるかもしれません。レィアさんはレィナちゃんの護りについてください」


 レィアさんが掴んでいたベビーカーから誘拐されたって話だから、犯人が間違えた可能性もあるんだよね。


「・・・すみません・・・ララさん。すぐに騎士団も応援に向かわせます」


 レィアさんは悔しそうだ。


「こっちは私が何とかしますから大丈夫です!」




 ルルにはジオ様が一緒だし、最悪の事態にはならないと思うんだよね。


 ・・・目を覚ませばだけど・・・




「ララさん、早く追いかけましょう!」


「そうだね、ヒナちゃん」



「ララさん、ヒナさん、お気を付けて!」



 私とヒナちゃんはレィアさんと別れると、城門を出て誘拐犯の紛れ込んだ馬車が走り去ったという方向へ急いだ。



「ヒナちゃん、このスピードで大丈夫?」


「はい!もう少し速くても大丈夫です」


 ヒナちゃんは魔法士の修行と共に、剣士の訓練もしているのだ。

 普通よりも速く走っている私にちゃんと付いて来ている。


 毎日ゲンと一緒に走り込みをしてるみたいだし、これなら大丈夫だね!




 もう少し速度を出せない事も無いんだけど・・・


 ・・・私もヒナちゃんも普段着のスカート姿なのだ。


 今でも際どい状態なのだが、これ以上速く走るとスカートがめくれるどころか、下手をすると破れてしまう!


 街道でそこそこ人の往来もあるのでそれはかなり気まずい。




 馬車の轍を追ってしばらく街道を走って行くと道端に馬車が乗り捨ててあった。


「ここからは馬で逃げたらしいね」


「はい、どっちへ行ったんでしょうね?」


「馬の足跡からすると山の方へ行ったみたいだね」


「わかるのですか?」


「私は森で狩人をしてたからね!森の中で動物の通った形跡を追いかけるのは得意なんだ!」


「本当に何でもできるんですね!すごいです」


「こっちだよ!」


 実は魔法での感知もやってみたのだが、どうやら敵は魔法で追跡される事を想定して、対策を施していた様で、でたらめな情報が返ってくるのだ。

 それに向こうにもかなり高度な魔法の使い手がいるみたいだから、下手に感知魔法を使うと逆にそれを悟られてしまう可能性がある。


 私は魔法を使わずに 落ち葉や土の上に、かすかに残った馬の足跡をたどって山道を進んだ。


 馬の足跡も誤魔化そうとしていたみたいだが、それも含めて私はわずかな違和感を見抜く事が出来る。

 これは魔法と関係なく、経験と訓練によるものだ。



 しかし、僅かな形跡をたどって追いかけているため、どうしても追跡の足取りは遅くなってしまう。




 ジオ様は眠っているとはいえ、普通の攻撃ではほとんど危害を加える事は出来ないだろう。


 危険なのはルルの方だ。


 あまり悠長にはしていられない。

 一刻でも早く助け出さないと!




 必死に痕跡を見失わない様に追跡を続けていくと・・・




 目に前に山小屋を発見したのだ。


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