表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
193/317

12話 勇者の弟子と植物の魔物

「親父殿!みんな!」


 レダが捕まっている人たちに呼びかけた。



「おお、レダか、儂とした事が不覚をとったわ!」


 ゴア国王と、その他この第三防衛ラインにいた全員が『上級の魔物』の触手に捕まっていた。



 第三防衛ラインを守っていたのは、ゴアとその妃たち、それにその娘の戦士たちだ。

 つまり、レダの義理の母と姉達にあたる。


 皆、両手両足を触手に絡めとられ身動きが出来なくなっている。


 とらわれた人の殆どが衣服が破れ半裸状態だ。

 中にはほぼ全裸にされている者もいた。


 まあ、元々裸に近いコスチュームだったから、ちょっと破かれると裸になっちゃうんだけど・・・


 ゴア国王も、かろうじて大事なところが隠れているだけの、かなり危ない格好だった。




 『上級の魔物』は、捕らえた人たちをすぐに殺さずに、自分の周りを囲む様にして拘束していた。




「いま助けるよ!みんな!」


 レダが上級の魔物に向かっていった。


「よせ!レダ!」


 ゴアが叫んだ時には、無数の触手がレダに向かって伸びていった。


 レダの全方位から一斉に夥しい数の触手が迫る。


「レダ!下がって!」


 私はレダに声をかけた。


 そのまま、触手に捕まってしまうかに見えたが、レダは接近した触手をレイピアで薙ぎ払い、隙を作って、残りの触手を巧みによけながら私の方に戻ってきたのだ。


「ふう!危なかった!」


「さすがだよ!レダ!よく躱したね!」


「うん、今までのあたしだったら捕まってたよ。今日の訓練のおかげで助かったよ」


 そう、今日の巨大化しない戦いの練習のおかげでレダの反応速度は昨日までよりも格段に進化していたのだ。


「レダ、まずは相手をよく観察して作戦を立てよう」


 私とレダは、触手が届かない距離から魔物の動向を探った。




 魔物は巨大な木の実の形をしており、表面は硬そうな殻に覆われている。

 そして殻に無数にある割れ目からは、びっしりと触手が生えている。


触手はゴアと妃や娘たち、十数人を捕えており、全員が身動きできない様に両手両足をがんじがらめにされて大の字に拘束されている。


 捕らえた人たちで周囲を囲んでいるため、迂闊に魔法での攻撃ができない。

 かといって接近戦を挑むと、自分も触手で絡め取られてしまう。


 触手の動きは素早くて、今のレダでぎりぎり躱せるくらいだ。他の戦士では躱しきれずに捕まってしまうだろう。


 捕らえた人をすぐに殺さないのは、どうやら囮と人質を兼ねているらしい。

 恐らく最初に捕まった人を助けようとして、次々とみんなが捕まってしまったのだろう。


 触手の力は結構強いみたいで、捕らえられた人たちは巨大化しているのだが、その力をもってしても振り切れない様だ。


 ゴアはかろうじて触手を何本か引きちぎっていたが、すぐに新しい触手が巻き付いてくるので、脱出が出来ないのだ。


「どうしよう?ララ、早くしないとみんな溶かされちゃうよ!」


 捕まっている人達は触手で体を撫で回されているのだが、どうやら触手から出る粘液で服が溶かされているみたいなのだ。

 敗れた服が溶けて少しずつ小さくなっていってる。


 今のところ、溶けているのは服や装備だけで体は溶けていないのだが、みんな次第に裸にされているのだった。



「やだぁ、恥ずかしいよう」


 レダの姉たちは恥ずかしさのあまり巨大化がとけて元の大きさに戻ってしまっている者もいる。


 年頃の少女たちが全裸で大の字に縛られている姿はあまりにもいたたまれない。

 両手両足を拘束されているので、恥ずかしいところを隠したくても隠せないのだ。

 早く助けてあげないと!


 この場にジオ様とシンを連れて来なくて正解だったよ。


 双方、気まずい事になってたからね!



 妃達は皆、歴戦の戦士だけの事はあって、全裸にされても戦士の誇りを失わず抵抗を続けている。

 しかし、触手に全身をなでまわされ、かなりの苦戦を強いられている。


「おのれ!魔物にこの様な辱めを受けるとは・・・ああん!そこはだめ!」


 ・・・触手に大事なところを撫で回されて感じてしまっている様だった。




「とにかく一人づつ助けていこう!レダ、二人で同時に素早く触手を切り落として、新しい触手が伸びてくる前に捕まってる人を救出して離脱するよ!」


「うん!わかった!」




私とレダは、まず、巨大化の解けているレダの姉達から救出する事にした。



「おねえちゃん!いま助けるよ!」


 まずは一人目の手足を拘束している触手を私とレダで同時に切り落とした。

 レダの姉は拘束が無くなったが、力が入らずぐったりしているので、私が抱きかかえて離脱した。

 追いすがる触手はレダが薙ぎ払ってくれたので、間一髪で触手に捕まらずに救出に成功した。



「大丈夫、おねえちゃん?」

「ありがとう、レダ。助かったよ。あの触手でなでられたら、体が熱くなって変な感じになっちゃて・・・力が入らなくなっちゃったんだ」


 どうやらあの触手から出ている粘液には服を溶かすだけでなく催淫効果もあるみたいだ。


 でも、私とレダの二人がかりで一人を救出するなら、ぎりぎり間に合う事がわかった。



「おねえちゃんはここで休んでて!」


 レダの姉は木の陰に寝かせて、とりあえず葉っぱで体を隠してあげた。



 私とレダの二人は、同じ方法で、レダの姉たちを一人ずつ救出していった。


 その間にも『木の実の魔物』は王都へと移動を続けていた。




 最後の姉を救出したころには、魔物は王都に到着してしまい、触手で体を持ち上げて悠々と城壁を越えて王都の中に侵入してしまった。




「レダ!先に町に入って、みんなに魔物から離れる様に伝えて!」


 王都にいる人が下手に攻撃を仕掛けると、また人質が増えちゃうよ!


 ・・・それにとらわれた妃達が既にみんな全裸になってしまっているのだ。衛兵など男性の戦士たちに、あられもない姿の妃達を見せる訳にはいかない。


 ゴアもほとんど全裸なのだが、かろうじてあそこだけは、まだ小さな布地で隠れていた。

 丸出しになってしまうと、今度は私が目のやり場に困ってしまうよ。

 


 『木の実の魔物』は大通りを真っ直ぐ王宮に向かって進んでいた。


 どうやら王宮を目指しているらしい。




 何度か妃達の救出も試みたのだが、巨大化したままなので、触手を切っても運び出す事が出来ず、再び捕まってしまうのだ。


 レダが大きくなって運ぶ事も考えたのだが、そうすると速度の落ちたレダも一緒に捕まってしまう可能性が高い。



 結局どうする事も出来ないまま、『木の実の魔物』は王宮に入ってしまった。


 王宮は作りが大きいので『上級の魔物』でもそのまま中に入れてしまうのだ。


「魔物はどこに向かってるんだろう?」


「この奥には地下神殿があるよ」


「地下神殿?」


「うん、この地に緑をもたらした女神の像っていうのがあるよ」



 ・・・魔物はなんで地下神殿を目指してるんだろう?



 その女神像と何か関係があるんだろうか?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ