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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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11話 勇者の弟子と小さな戦士

 ジオ様とシンを河口に残して、私はレダと一緒に川上へ向かった。


 川の両岸は密林で道が無いので、私たちは木の枝を飛び移りながら移動している。


 レダは小さい方が移動速度が速いというので、元のサイズに戻っている。

 私は結構な速度で移動しているのだが、レダはちゃんとそれに付いて来ている。


 さすが!密林生まれ密林育ちだけの事はあるね!


「ララは大聖女なのにどうしてそんなに森の移動に慣れているの?」


 逆にレダに聞かれてしまった。


「うーん、元々大聖女だったわけじゃないからね。どちらかといえば私も森で育った狩人だったかな?」


「そうなんだ!ララって狩りが得意なの?」


「うん、剣よりも弓矢の方が得意だったよ」


 言いながら私は折りたたみ式の弓を取りだして、前方に見つけた『下級の魔物』を撃ち抜いた。


「すごーい!枝を飛び移りながら、あんな遠くの魔物に当てるなんて!」


「ふふふ、まあね!」


 魔法が使えるようになってから使う頻度は減ったけど、やっぱり弓矢で獲物をしとめるのは楽しい。


「ララってなんでもできるんだね?」


「そうだねぇ・・・いろんな事に挑戦するのが楽しいからね」


「その上美人だし羨ましいよ」


「レダだってかわいいって思うよ?」


「あたしね・・・大きくなった姿をあまりシンに見せたくないんだ」


「どうして?」


「やっぱりシンはララの事が一番好きなんだと思う。だってあたしから見てもララは素敵だもの」


「ありがとう。でも、レダだってかわいいよ」


「・・・うん・・・シンにかわいいって思われたい」


「シンだってレダの事かわいいって思ってるよ」


「でも一緒に戦ってる時はかわいくないもん」


「戦闘時はレダは巨大化してるからね・・・でも、それはそれで魅力的だと思うけど?」


「ララは小さいままでもあたしより強いじゃない?」


「そういう訓練をしてきたからね・・・あっ、そうだ!レダもそういう戦い方が出来るようになるたい?」


「出来るの?」


「うん、巨大化したら力が強くなって有利に戦えるけど、力が弱くても対手に勝つ方法はいろいろあるんだよ。そういう技をマスターすれば、小さいままでシンと一緒に戦えるよ」


「それっ!やりたい!教えて、ララ!」


 向上心があるのはいい事だね!

 それも恋のためだけど、こういうのが恋する事の良いところだよね!


「実はもう、だいぶ出来る様になってるよ」


「えっ!どういう事?」


「レダは小さいままの方がスピードが出るでしょ?」


「うん、だから今も大きくなっていないよ」


「それとさっきまでシンに教えてもらっていた戦い方を思い出してみて。それほど力を使わずに戦っていたんじゃないかな?」


「あっ!確かにそうかも!」


 さっき、シンとレダの共闘を見ていたのだが、シンはレダに、力任せでなく、技を駆使した戦い方を教えていたのだ。


「その戦い方を小さいままで試してみようか?ちょうど前方に『下級の魔物』が数体いるからそのままで戦ってみて!」


「うん!やってみる!」


 レダは移動速度を落とさずに剣を構えて、魔物に接近した。

 

 魔物は小鬼が三体だ。


 レダは急接近する小鬼を流れるような連続した剣さばきで一気に三体を薙ぎ払ってそのままの速度で通り過ぎた。


「すごーい!いつもより剣が速く振るえたよ!」


「でしょ?レダはもう小さいままでも結構強くなってるんだよ」


「でも、この剣はちょっと重いかな」


 レダは大きな体で使うための大剣を持っている。

 剣の長さが普段のレダの身長より長いのだ。


「そうだね、その体のままだとちょっとバランスが悪いかな?とりあえずこれを使ってみて!」


 私は予備のレイピアをレダに放り投げた。


 ・・・どこから取り出したのかは内緒だよ。


「わあ、ララのと同じ剣だ!」


 レダはレイピアを鞘から抜いて振り回した。


「軽くて使いやすい!」


「それならもっと速く剣を振れるからね!」


「ありがとう!ララ!」


 レダは嬉しそうに笑った。


 やっぱり小さいままの方がかわいいな!レダは!




 それからレダは、途中で遭遇した魔物を次々と瞬殺していった。


 戦う度にレダの剣速が上がっているのがわかる。


 やっぱりレダは戦いのセンスがいい。

 みるみるうちに上達していく。


「ララ!小さいままで戦うのって結構楽しい!」


 今まで力に頼って戦っていたけど、技を駆使した戦いの醍醐味がわかって来たみたいだ。




 途中、第二防衛ラインで『中級の魔物』が数体暴れていた。


 第二防衛ラインの戦力では倒しきれなかったようだ。



 

「このままで戦ってみるね!」


 レダは小さいままで『中級の魔物』に戦いを挑んだ。



 『中級の魔物』は今のレダのスピードに全然ついて来れなくなっている。


 レダは見る見るうちに『中級の魔物』を切り刻んで行った。


 一撃ごとのダメージは小さいが、手数を多く出せるので討伐までの時間は今までと変わらないどころか、かえって早くなっている。


 私もサポートに入ったが、ほとんど一人で中級の魔物を倒してしまった!



「やったあ!小さいままで『中級の魔物』を倒したよ!」


「うん!すごいよ!強くなったね!レダ!」




 結局他の『中級の魔物』もほとんどレダが一人で倒してしまった!



 これまでも大きくなったレダ一人で『中級の魔物』を倒した事はあるのだが、小さいままで倒した事に意味があるのだ。




 第二防衛ラインの『中級の魔物』を全て倒して、私たちは第三防衛ラインへと向かった。



 第三防衛ラインは川から王都へ向かう密林地帯だ。



 川沿いの木々が薙ぎ払われて平地になった場所にそいつはいた。



 巨大な木の実から無数の触手が生えた姿の『上級の魔物』は、ゴア国王をはじめとする大勢の戦士たちをその触手で捕らえて、木々を薙ぎ払いながら王都の方角に移動していたのだ。


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