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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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10話 勇者の弟子と魔物の奇襲

 私はジオ様と合流し、二人で一緒に戦う事にした。


 それぞれ単独で戦っていると、双方に色々面倒な事が起こるからだ。




 『中級の魔物』は私達二人が瞬殺して回って、他の戦士達には『下級の魔物』だけを担当してもらった。


 どうしてもこの国の戦士たちは単独行動に出てしまって共闘が出来ないので、『中級の魔物』を相手すると危険なのだ。

 一人一人の戦闘力は高いのだから、数人で一体の『中級の魔物』にあたれば倒せない事は無いはずなのだが、みんな自分一人で倒そうと躍起になってしまうのだ。


 ・・・まあ、私にいいところを見せてエッチがしたいという下心が見え見えなのだが・・・




 そんな中、レダはシンと二人でうまく連携して戦っていた。最初は少しぎこちなかったが、レダは飲み込みが早く、次第にシンのペースに合わせて戦えるようになっていた。


 シンが上手くレダに合わせてサポートしつつ、レダの成長を促す様にコントロールしているのだ。


 傍から見ていると、仲睦まじくて微笑ましい。


 以前の私とジオ様もあんな感じだったんだろうな。




 もちろん、今の私とジオ様も絶妙なコンビネーションで共闘してるんだけど・・・傍から見たらどう見ても仲のいい親子にしか見えないよね?


 いや・・・母親と赤ちゃんで、共闘っていうシチュエーションがそもそもおかしいんだけどね・・・



 でもいいんだ!


 私は全ての年齢のジオ様と一緒の時間を過ごしていくんだから!


 今は、今しか堪能できない赤ちゃん時代のジオ様との大切な時間を過ごすんだ!



 まあ、赤ちゃんにしては振る舞いがイケメン過ぎるのだが・・・



 実際女性の戦士の何人かが、将来ジオ様と結婚したいと申し込んできたのだ。


 もちろん私が全て丁重にお断りした。


 みんな私の事をジオ様の母親だと思っているけどほんとは妻だからね!


 



 河口での攻防は未だ終わりが見えてこないが、『中級の魔物』の出現頻度は少し下がって来た。


『下級の魔物』は相変わらずの勢いだが、このまま、『中級の魔物』の出現率がこのまま下がっていくのであれば、私たちがここを離れても大丈夫かもしれない。


 河口の幅が広すぎて全ての魔物を倒す事は出来なかったので、上流に進んでしまった魔物もいるのだ。

 第二次防衛ラインである渓谷の状況も確認しておきたい。


「私たちはそろそろ第二防衛ラインに移動しませんか?」


 ジオ様に尋ねてみた。


(そうだな、ここはもう俺達がいなくても大丈夫だろう)


「ではシンたちに声をかけてから移動しましょう」


 私とジオ様はシンとレダの戦っている場所に移動した。




 シンとレダの連携は、このわずかな時間の間に更に進化していた。

 二人は絶妙なコンビネーションで魔物を次々と効率良く倒していた。


「すごいじゃない!レダ!シンと見事な連携攻撃だよ!」


「あっ!ララ!今の見てくれた!シンってとっても教えるのが上手いんだよ」


「レダの素質がいいからだ。教えた事をすぐに理解する」


「二人の相性がぴったりって事だね!」


「えへへ!ありがとう!ララ!」


 レダは本当に嬉しそうだ。


 大好きなシンと一緒に戦えるのがレダにとっては一番の幸せなんだろうな。


「早く夜の生活も教えて欲しいな!」




 ・・・うん、もう少し大きくなってからだね。




「ところでどうしたんだ?向こうはもう片付いたのか?」


「『中級の魔物』の出現率が下がって来たからね。上流の第二次防衛ラインの応援に行こうと思って」


「そうだな、頼む。こっちももう少し中級の魔物が減ってきたら後を追う」


「そうだね、じゃあ、先に行ってるよ!」




 そう言って、移動しようとしたところに、伝令がやって来た。


「皇帝陛下!一大事でございます」


 伝令は息を切らせながら内容を伝えた。




「第三次防衛ラインに『上級の魔物』が現れました!」




「えっ!『上級の魔物』?」


 私は思わず声をあげてしまった。


「どういう事だ?」


「第三次防衛ラインの河原に、川の上流から上級の魔物が流れてきたのです」


「上流からだと?」


「はい、その方角は警戒していなかったので発見が遅れました。現在国王陛下及び近衛兵たちが応戦中ですが、正直芳しくない状況でした」


「どのような形態の魔物ですか?」


 私は伝令の人に質問した。


「巨大な木の実のような状態で川上から流れてきたのです。それが河原に到着すると、無数の触手の様な物が出てきたのです」




 植物系の魔物だろうか?

 『上級の魔物』は毎回異なる形状をしているから対峙してみるまで対策がわからないのだ。




(とにかくすぐに向かおう)


「はい!ジオ様」


 私とジオ様は、即座に上流に移動しようとした。




「ちょっと待ってくれ!」


 するとシンが私たちを呼び止めた。


「『静慮の魔女』の予言では、『上級の魔物』は海から現れるという話だった」


「確かに、シンが聞いた話だとそう言ってましたね」


「『上級の魔物』が2体出現するという可能性は考えられないだろうか?」


(確かに、それはありうるな)


 静慮の魔女の予言はほとんどがその通りになるが、予言に含まれなかった事が起こる場合もあるのだ。


「我々全員がここを離れた後に『上級の魔物』が出現した場合、この場の戦士たちが壊滅状態になる可能性がある」


「では、二手に分かれましょう」



 ・・・でも、『上級の魔物』を相手にするなら、強力な魔法が使える私とジオ様はそれぞれ別の戦場にいた方がいいな。


(ララ、俺達は別行動した方がいいだろう)


 ジオ様も同じ事を考えていたらしい。


「では、ジオ様とシンとこの場に残ってください。私とレダは上流に向かいます」


「わかった。そうしよう。レダ、ララのいう事をよく聞いて戦うんだよ」


「うん!まかせといて!」


「じゃあ行きましょう!レダ!」




 私はレダと一緒に川の上流にある第3防衛ラインに向かった。



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