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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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6話 勇者の弟子と魔物対策

 さて、この国に来た本来の目的である魔物の大量発生の対策をやらないといけない。


 そこでこの王国の幹部を招集してもらった。


 王宮の会議室には、国王のゴア、それに宰相と大臣たちに集まっている。




 この部族が王国になって、族長のゴアが国王になったのだが、ゴア一人で王国の運営が出来る訳が無く、当然宰相や大臣など、国の政治を司る中枢が必要となる。


 そこで現在は、ゴアの妻たちが宰相や大臣など国家の中枢としての役割を担っていた。


 ゴアの妻たちは戦闘力の高さだけでなく、各方面に優秀な人材が揃っていたのだ。




「あらためまして、わたくしがこの王国の宰相を務めさせて頂いております」


 宰相はゴアの第一夫人だった。


「この度は陛下が皇后様のお子様に大変な事をしてしまいました。お詫びのしようもございません」


 宰相に深々と頭を下げられてしまった。


「いえいえ、ジオは無傷だったし、逆に陛下に怪我をさせてしまってこちらこそ申し訳ありません」


「悪いのは完全に陛下の方です。この馬鹿は、あの後わたくしたちで袋叩きにしておきましたので」


 宰相がエロ親父に強烈な肘鉄を喰らわしていた。


 エロ親父は腹を押えて苦しんでいる。




 ・・・この宰相、誰かに似てると思ったらレィアさんにキャラが被っていたよ!

 美人だし、胸の大きさもレィアさんに匹敵する。


 そして、このやり取りもゼトさんとレィアさんみたいだな・・・


 ・・・いや、ゼトさんはここまでエロくないが・・・




「さて、では本題に入ろうか」


 シンが場を仕切ってくれた。


「先日我が帝国にて占い師が魔物の出現を預言したのだ」


 魔女の事は伏せてもらって、占い師が言った事にしてもらったのだ。


「今から数日後に、この王国が魔物の大群に襲われる」


「なんと、それはどの程度の規模の襲撃になるのでしょうか?」


 宰相がシンに尋ねた。


「『中級の魔物』の大量発生、そして『上級の魔物』も出現する可能性がある」


「それは!この王都が舞滅するほどの被害が予想されますね」


「ああ、場合によっては国が一つ滅びる可能性もある」


「その占い師の信ぴょう性はいか程のものか?」


 ゴア陛下が尋ねた。


「過去に何度も魔物の襲撃を予言した占い師だ。今回もかなりの確率で当たると考えた方が良い」


「まあ、シン陛下とララ殿がわざわざこんな遠いところまで訪ねて来た本当の目的がそれだとしたら、間違いないと思って良いのだろうな」



 ・・・エロ親父、意外と頭が切れるな。



「信用してもらえると話が早い。そこで、魔物がこの王都に入る前に討伐するための作戦を立てたい」


「そもそも魔物はどこからこの王都に侵攻してくるのだ?」


 ゴア陛下が疑問を投げかけた。


「この王都は、これまで『中級の魔物』以上の襲撃を受けた事はありません。少数の『下級の魔物』が侵入する事はありますが、我々の敵ではありませんし、『中級』以上の大型の魔物は、この密林を通り抜ける事が出来ません」


 宰相の言う通り、この広大な密林は『中級の魔物』が通り抜ける事を阻んでいる。




「この王都の近くには大きな川が流れているな」


 シンが尋ねた。


「まさか、あの川から来るというのか?」


「可能性の問題だが『上級の魔物』であれば、水中の活動を得意とする物が出現する可能性も考えられなくもない」


「なるほど、しかし、下級や中級の魔物で水中で活動する魔物を見た事が無いが?」


「シン陛下の言う通り、『上級の魔物』には水中での活動を得意とするものもいます。そして水中で活動できる『中級の魔物』や『下級の魔物』も存在するのです」


 先日の人魚の里でも水中戦だったからね。


「それに、過去には地中を移動する『上級の魔物』も存在しました」


「ほう、ララ殿は魔物にお詳しい様ですな!これは頼もしい!やはりぜひとも儂の妻に・・・ごふっ!」


 エロ親父が、途中で宰相他数人の大臣・・・もとい奥方達にどつかれていた。



 ・・・ほんと、ゼトさんとレィアさんのやり取りを見ている様だな・・・



「私はこれまでに何度も『上級の魔物』と遭遇した事があります。『上級の魔物』は同じタイプが現れる事は無く、毎回異なる形状の魔物が発生します。過去の常識は通用しませんので、あらゆる可能性を考慮する必要があります」


「地中となるとさすがに手の打ち様がありませんが、川から来た場合はある程度対策が可能です」


 宰相には対策案がある様だ。


「河からこの王都に侵攻するのであれば、経路はほぼ一つに絞られます。そこに防衛線を張る事で、有利に討伐を行える可能性があります」


 宰相は今の情報からすでに策を構築し始めていた。

 やはり、かなり頭の切れる人みたいだ。


「まず、魔物が海から来るのであれば、河口を通ります。まずはここで叩きます」


「妥当な策だな。水中を得意とする魔物であれば、当然その経路だ」


「次に、川がこの王都に最も接近する手前は、川の両岸が絶壁となっており、川幅も少し狭くなっていますので大型の魔物は一体づつしか通れないでしょう。河口は広いので多少の撃ち漏らしは有るでしょうが、この部分ではほとんどの魔物を仕留められるはずです」


 水中を進む魔物に崖の上から攻撃できるわけだね。


「そして、それでも突破されたとしても、川からこの王都までは、多少なりとも森林を突っ切る必要があります。ここで『中級』以上の魔物は進行速度が低減するはずです」


「水中特化型の魔物であれば、更に行動が鈍くなるであろうな」


「はい、以上三カ所で防衛線を張り、全ての魔物を王都に近づく前に殲滅します」



 うん!なかなか良い作戦だよ!



「では、余とララ達は遊撃部隊として、各所の援護に回るとしよう。予想外の経路で侵攻してきた時の対処も引き受けよう」


「はい、ジオも戦力として作戦に参加します」


 既に、その強さがばれてしまってるし、出し惜しみする必要もないからね!


「それは頼もしいですね。宜しくお願い致します。ではさっそく準備に取り掛かります」




 こうして密林の王国防衛作戦が開始された。


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