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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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3話 勇者の弟子と部族の家

(ララは相変わらず皆から好かれるな)


 ジオ様の念話は今にも笑い出しそうだった。



「ジオ様、笑いごとじゃないですよ!万が一負けたら、ゴア様の子供を産む事になってしまうんですから!」


(確かに手ごわそうな相手だが、ララな大丈夫だろう)



 ・・・それはそうなんだけど・・・あの執念は侮れない気がする。



「それにしても・・・これでララは、帝国の全ての国王から求婚されたわけだな」


 シンも笑いがこらえきれない様だ。


「まったくだよ!どうなってるの?この帝国は!」




 ・・・そうなのだ・・・


 帝国の一番南にあるこの密林の王国に来るまでに、途中の六つの国の王都を通って、各国王に謁見したのだが、全ての国王が私を見るなり結婚を申し込んできたのだ!




「大河の国の女王にも結婚を申し込まれたな」


「うん、最初は冗談かと思ったけど、目が本気だったよ!」


 ミラの例もあるけど、この大陸の女性はそっちの趣味の人が多いのだろうか?


「あの高潔で誇り高い女王が、あの様な恋する少女の様になってしまうとは思いもしなかった」


「うん、あの豹変ぶりには私もびっくりしたよ!」


 国中の男性のあこがれの的の絶世の美女である女王が、女性と結婚したら、あの国の男性陣はもう立ち直れないだろうな・・・




「ララの白い肌はこの大陸の女性にとっては憧れなのだろうな」


 この大陸の人々は、色の違いこそあれ、皆、褐色の肌をしているのだった。


「褐色の肌の女性も魅力的ですよ!」


 ミラや、レダ、それに大河の国の女王も、私から見ても魅力的だと思うもの。


「人は自分に無いものを求めるからな」




 ・・・それは私自身が一番よくわかってるよ。


 なんたって『強欲の魔女』だからね!




(ララは誰から見ても魅力的だって事だ。俺なんかには勿体ない)


「何言ってるんですか!女の子のあこがれの存在で、人々の尊敬の的である『勇者』様が!」


「ははは、つまり二人は最高のカップルって事だ」


(そうは言っても今はこの姿で親子の関係だ。むしろ、帝国の皇后であり、大聖女として全国民に崇拝されているララは皇帝であるシンと誰が見てもお似合いだ)


「ジオ様はこれからゆっくりと成長して、もう一度素敵な男性になればいいんです!」


(そうだな、それまではララをエスコートする役目はシンに預けておくとしよう)


「確かに承った。ララを何物からも守ると誓おう」


 この帝国内においては皇帝の妃・・・皇后の立場と、『大聖女』の肩書は絶対的な権力を誇るからね。


 まあ、それが無くても『勇者』と名のれば何とでもなるんだけどね。




「ねえ、みんな!あたしが村の中を案内するね!」


「レダ、村じゃなくて王都だよ」


「あっ!そうだった!まだここが国になったのって慣れないよ!」


 元々密林地帯の一つの部族に過ぎなかったこの一族は、その強さによって密林地帯全体を支配していたが、国という形態をとっていなかった。


 そこに、シンが大陸の国々の統一を持ちかけたのだ。


 当時族長であったレダの父親ゴアはシンに一騎打ちを挑み、シンに敗北して帝国の一員となる事が決まったが、その際に、シンがこの部族を王国にする様に命じたのだ。


 土地の面積や人口からすると他の国々に引けを取らない規模にまで成長していたからだ。



 まあ、呼び方が変わっただけで当人たちの生活は何も変わっていないので、レダの様に以前の呼び方のままの人たちが殆んどみたいだ。



 ちなみに今わたし達がくつろいでいるのはレダの屋敷だ。


 族長改め国王ゴアには17人の妃がいるが、レダの母親はレダが生まれて間もなく魔物との戦いの中で命を落としてしまったそうなのだ。


 妃の一人一人には屋敷が与えられていたが、母親が亡くなったために、現在この屋敷の主はレダとなっている。


 他の16人の妃や兄弟たちは皆仲が良く、レダの事はかわいがってくれたそうだ。




 レダは、そんな妃と兄弟たちを順番に紹介してくれた。




 みんな、自己紹介の時には巨大化した姿を見せてくれるのだが、そういう習わしなのだろうか?


 そういえば、この王都の建物は全て天井が高く、扉も通常の二倍くらいの大きさがあるのは、家の中でも巨大化する事を踏まえての事なのだろう。



「ねえ、レダ。この建物はどうやって作ってるの?」


 この王都の建物はほとんどがつなぎ目の無い石で出来ている。普通に考えたらこんな作り方は出来ないはずなのだが?


「ここの家は向こうの山から大きな岩を運んできて中をくりぬいて作ってるんだよ」


 レダは遠くの方にある岩山を指さした。


「ええと、どこかに作りかけの家があったかな?」


 レダに案内されて王都の外れの方に行くと、カンカンと石を叩くような音が聞こえてきた。


 


 そこでは、屈強な体に巨大化した職人たちが、のみとハンマーで大きな岩の塊をガンガン掘り進んでいた。


 硬そうな岩盤がサクサクと削られていくのが何だか不思議な光景だ。


「へえ!こうやって作ってたんだ!」


「大きなお屋敷は、いくつかの岩を繋げて作ってあるよ!」


 そう言えばレダの屋敷も部屋いくつもならんだ構造をしていたな。


「この岩ってどうやってここまで持ってくるの?って聞くまでもないかもしれないけど」


「みんなで担いでくるんだよ!」


 ・・・やっぱりそうだった。


「あれ?でも王宮はあの大きさでつなぎ目の無い石で出来てたけど?」


「王宮はもともとあの場所にあった大きな岩を繰り抜いて作ったって聞いたよ。大昔からあるみたいだけど」




 この地の人々は、大昔からこの様な体質だったのだろうか?



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