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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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2話 勇者の弟子と密林の国王

「ここがあたしの村だよ!」


 レダが目の前にある集落を指さして言った、




 ・・・一応、ここがこの国の王都のはずなんだけど、普通に村って言っちゃたよ・・・




 って言うか、密林の中に突然開けた場所があって、城壁も柵も何も無いんだけど・・・大丈夫なのかな?


 レダに聞いたら、ここが魔物に襲われた事は一度も無いそうだ。


「じゃあ、あたしの家に案内するね!」


 レダの後について大通りを進むと目の前に石造りの巨大な神殿、というか宮殿?が現れた。


 何気に他の家もそうだが、重厚な石造りの家が多い。

 しかも石を積み上げたのではなく削りだしたのか、継ぎ目のない石でできた家ばかりなのだ。

 目の前の巨大な宮殿も、つなぎ目の無い石でできている様に見える。



 宮殿の前の広場のような場所に入ると、いきなり正面から黒い大きな塊が突進してきた!



 私は咄嗟にレイピアを抜いて、それを受け流す。



 ・・・そう、黒い塊は剣を持っていたのだ!




「親父殿!」


 レダが叫んでいた。


 ・・・やっぱりレダのお父さん、つまりこの王国の国王だ。


 私はジオ様をシィラに預け、再びレイピアを構えた。



 親父殿の第二撃が撃ち込まれた。


 身長が私の二倍はあろうかという巨体が、その大きさからはありえない程の高速で移動する。


 私は第二撃を逸らしつつ、カウンターを入れる。


 親父殿はそのカウンターを正面から剣で打ち返してきた!


 私はその威力をレイピアで受けて、そのまま後方へ飛んだ。




「すごいパワーね!」


「儂の攻撃を二度も堪えたのは、二人目だな」


 一人目って・・・シンだよね?


 言ってる間に、巨体はその場からいなくなっている。




 ・・・国王といきなり戦闘に入るって、なんか嫌なシチュエーションなんだけど、まさかこの国でも王の妃になれなんて事にはならないよね?


 ・・・なんて考えてる暇もなく、次の攻撃が来た。


 今度は真上からの振り下ろしだ!


 これをレイピアで受け流しながら体を一回転させて、剣の上に回り込み、その威力を乗せたレイピアで、剣を上から叩きつけた!


 親父殿の剣はその勢いで地面に深々と突き刺さる。


 さすがにすぐには抜けなくなったようで、親父殿の動きが一瞬止まる。


 私はその隙に親父殿の首筋にレイピアの切っ先をあてて寸止めした。




「これでよろしいでしょうか?」



 親父殿の大きな顔がにたりと笑った。


「・・・見事だ!儂の18人目の妃にしてやろう!」




 ・・・やっぱりこの展開だった。




「私が勝ったのでその話はお断りします!」


「ならば再戦しようではないか!儂が勝つまで終わらせぬぞ!」


「親父殿!いい加減にして下さい!」


 巨大化したレダが親父殿を腹パンで吹き飛ばした。


 親父殿は豪快にもんどりうって転がっていった。


「ララはシンのお嫁さんです!あたしのママにはなりません!」


 レダは決めポーズで啖呵を切った!



「・・・いや・・・ちょっとだけ、なって欲しいかもだけど・・・」



 ・・・なってほしかったのか?


 言ってくれたら甘えさせてあげるよ!

 もちろん小さい体の時だけどね。



 吹っ飛ばされた親父殿は体が縮んで普通の成人男性サイズになっていた。



「いてててて・・・こら!レダ!いきなり父親を殴り飛ばすとは何事か!」


 普通サイズに戻った親父殿はおしゃれなひげを生やした褐色の肌のイケ親父だった。


「あたしに実力で勝ってから言って!」


 レダ・・・お父さんに向かって強気だな・・・


「いや、その娘、非常に儂の好みなのだ!どうかね、今晩さっそく子作りでも!」




 ・・・シンともまだなのに、このイケ親父といきなりするわけないよ!




「ゴア殿、ララは余の妻でである。貴殿の子を産ませるわけにはいかぬ」


「ほう、これはシン陛下、多夫多妻を推奨したのは陛下ではないのか?」


「あくまでも双方の合意の上での話だ」


「ならば、儂がその娘に惚れさせれば良いだけの事、なあに、儂と一度交われば大抵のおなごは儂の虜よ!」


「ララはその様な簡単な女ではないぞ!」



 ・・・ごめん、身持ちが堅くって・・・



「とにかく!私に負けたあなたに従う理由はありません!そういう事は私に勝ってから言って下さい!」



「・・・ほう、儂が勝ったら子作りをして良いという事だな?」



 ・・・あれっ?なんか変な約束した事になっちゃった?


 まあ、負けなければ良い話なんだけど・・・



「親父殿、その話は置いといて、紹介するよ。シンのお嫁さんのララだよ」


「よく来たなララ殿、この部落の族長・・・いや、この国の王、ゴアだ。今宵は楽しみにしておるぞ!」


「シン皇帝の妻のララです。以後お見知りおきを。今晩そういう事はしませんの悪しからず」



 ・・・って、どんな挨拶だよ!



「それから、シン陛下、わが娘レダを娶ってもらってかたじけない。レダにはバンバン子を産ませて構わんから、儂もララ殿に子を産ませて良いだろう?」



 このイケ親父、っていうかエロ親父、どうしてもその話題から離れないな。


 ここまで一貫してるとある意味すがすがしい・・・わけあるかっ!



「あくまでも本人の合意があればだ」


「儂に負けたら合意すると言っておったぞ」




 間違ってもこの親父には負けない様にしないとね!



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