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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第6章 密林の戦士
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1話 勇者の弟子と大陸縦断

第二部 第六章 『密林の戦士』 開始します。

 私たちの次の目的地は、レダの祖国である密林の王国だ。




 この帝国は八つの王国や公国、部族が存在するこの大陸全土をシンが統一して築いたものだ。


 半数の国は、国土のほとんどが砂漠地帯、残りの国はサバンナが国土の大半を占めている。


 その中でレダの部族が住んでいる地域だけは、湿度が高く、植物が生い茂った密林地帯となっているのだ。


 水が豊富で農作物が良く育つこの土地は、当然の様に周りの国々から狙われていたのだが、この地に住む部族があまりにも強すぎたため、他国の侵略を許さなかったのだ。


 そう、レダの部族は、幼い少女ですら屈強な肉体を持つ戦士であるため、戦いにおいては全く付け入るスキが無かったのだ。



 シンは部族の長であるレダの父親と一騎打ちの決闘を行ない、その決闘に勝利して、この部族を帝国に統合する事に成功したのだそうだ。


 当然その時にも、レダの姉たちの誰かを娶る様に勧められたのだが、その時は断ったそうなのだ。




 今回、『静慮の魔女』の魔物の出現予告に合わせてレダの国を訪問する事にしたのだが、表向きは、皇后となったレダの里帰りという体になっている。


 メンバーはシンと私とレダ、それにシィラとジオ様とルルも一緒だ。


 ミラも同行したがったのだが、皇帝と三人の皇后の全員が不在になる訳にもいかず、申し訳ないが留守番してもらう事になった。


 皇帝と皇后の移動に護衛を付けなくて良いのかという話もあったが、このメンツに護衛が必要かというと、むしろ足手まといになりかねないので遠慮しておいた。




 砂漠地帯からサバンナ地帯までは、魔動馬車で快適に移動が出来た。

 なにせ障害物が無ければ魔動馬車はいくらでも速度を上げる事が出来るのだ。


 砂漠地帯の国とサバンナの国を一気に駆け抜ける事も出来たのだが、途中の国を挨拶無しで通過するわけにも行かず、各国の王都で大々的な歓迎と宴に参加する事になってしまい、思ったよりも移動に時間がかかってしまった。


 帝国の各所属国には、私が『大聖女』になったという事が知れ渡っており、行く先々で、王族や貴族の重病人の治療の相談などが待ち受けていた。


 『魔女』として、高位の治癒魔法をむやみに使う訳にはいかなかったけど、公に『大聖女』となった私は遠慮なく治癒魔法を使う事が出来る様になった。


 なにせ、『聖女』でも使えない程の高位の治癒魔法を使っても、『大聖女ですから』の一言で説明がついてしまうのだ。


 普通の人には『魔女』の魔法か『大聖女』の魔法かなんて見分けがつくわけないし、命にかかわる重病の患者を放っておくわけにも行かないから、片っ端から治していった。


 


 道中は、魔物や猛獣に遭遇する事もあったが、難なく倒して密林の入り口までたどり着いた。

 このパーティーメンバー強すぎるよ!




「ここから先は魔動馬車は無理かな?」


 レダの国の密林は、思った以上に植物が生い茂り、馬車が通れるような街道が無かったのだ。


「一応、ここが街道なんだけど、草を切ってもすぐに茂っちゃうんだって!」


 どう見ても、かろうじて人一人が通れる程度の獣道にしか見えない木々の隙間に、レダが入っていこうとしている。


「他に道は無いの?」


「他にもいくつかあるけど、もっとわかりにくい道ばっかりだよ」



 ・・・ここよりも分かりにくい道って・・・それはすでに道ではないのでは?



「ララ様、ジオ様とルル様を抱えて進めねばなりませんが、いかがいたしましょうか?」


「そうだね・・・私がルルを抱えて・・・ジオ様は・・・」



 ジオ様の正体をレダには明かしていないので、ジオ様を一人で歩かせるわけにはいかなかった。


 先日、大人のジオ様をレダには紹介したのだが、本当の事を説明すると色々ややこしくなるので、仕事の合間に、国からやってきて、すぐに帰ってしまった事にしていた。


 ジオ様をだっこしてもらうとすると、シィラかシンになるのだが、この獣道をシィラが赤子を抱えて移動するのは大変だろう。


 そうなるとシンにお願いする事になるのだが・・・




 ジオ様とシンの親密度が上がってしまう危険性を私は少しだけ懸念していた。


 何しろ二人の関係は私よりも進んでいるのだ!



 先日の・・・二人のあれとあれがキスをしてしまった光景が今でも脳裏に焼き付いて離れないのだ!



 ・・・思い出すだけで興奮が蘇ってしまう。


 実はあれから、あの光景を何度も夢に見てしまうのだ。


 それどころか・・・さらに進展した二人の関係を夢で見てしまった事さえあるのだ!


 あの時は本当にあせった。二人の関係を目の当たりにしてしまった自分が、二人から捨てられてしまう夢だったのだ。


 目が覚めて、夢だとわかって本当に安心したのを覚えている。



 だから、シンがジオ様を抱きかかえてるところなんて見続けていたら、妄想が膨らんでしまって自分がどうなってしまうかわからないのだ。


「私はジオ様をだっこしていきます。ルルはシンにお願いしてもいいでしょうか?」


「俺は構わないが、いいのか?」


「はい、ルルはシンになついていますし、ほとんど眠っていますので大丈夫です」


 ルル、ごめんね!ルルには悪いけど、今回はシンに運んでもらうね。




 魔動馬車を隣国の国境の町で預かってもらって、私達は徒歩で密林の中へ入っていったのだった。




 密林の中は入り口以上に道なき道となっていた。


 これはレダの案内が無いとどっちに進んでいいかもわからない。


「こっちだよ!」


 そんな密林の中をレダは何の迷いもなく進んで行く。


「シンは前にも来た事があるんですよね?」


「前に来た時は、族長が密林の外まで出てきたのだ。中に入るのはこれが初めてだ」



 途中、見慣れない魔物に何度か遭遇したが、先頭を行くレダが瞬時に巨大化して倒していった。


 そういえばレダって、この部族の中でも最強の戦士だったんだよね。



 ・・・普段のかわいらしい姿からは想像もつかないが・・・



 そうして、密林の中を結構ハイペースで進んで行くと、その日の夕方には密林の部族・・・今では王国となったレダの故郷の王都?にたどり着いたのだった。



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