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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 魔物討伐
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5話 勇者様と旅立ち

「準備もできたし、出発するぞ」

 ジオ様が皆に号令をかけた。


「目的地の近くの町には転移魔法陣がある。そこまでは転移魔法で移動する」


 歩きながらジオ様が話しかけてきた。

  

「転移魔法ですか?」

「公にはされていないが、国内数カ所に転移魔法陣が用意してある」

「転移魔法陣があれば別の転移魔法陣のある場所まで一瞬で移動ができるのさ」


 セナ様が説明してくれた。


「そんなに便利な物ならなぜ普段から使われていないんですか?」

「転移魔法は上級魔法だからね。上級魔法士にしか発動できないんだ。しかもかなり魔力消費量が大きいからね。上級魔法士でも移動した後は使い物にならなくなってしまうんだ」

「セナ様は大丈夫なんですか?」

「僕はまぁ、半分以上は魔力が残るかな?」

「さすが最強の『上級魔術師』様ですね!」

「まぁね!」


「ついたぞ、魔法陣の一つはここにある」


 私たちはジオ様のお屋敷の地下室のさらに下に続く階段を下りた地下空洞にいた。


「えぇ!こんな足元にあったんですね!」


 まさか自分が暮らしていた屋敷の地下にそんなものがあるとは思わなかった。


(そういえばジオ様いつも気が付いたらいつの間にか遠征から帰ってきてお屋敷にいたっけ?)


「いざという時に世界の各地に駆け付けなければならないからな」


 空洞の床には直径5mぐらいの複雑な魔法陣が描かれていた。

 魔法陣はドーナッツ型で真ん中の直径1mぐらいの部分は何も描かれていなかった。


「普通の魔法陣は杖を使って空中に魔力線を描くから発動したあと消えちゃうけど、この魔法陣は魔結晶の粉から作った塗料で描かれているからこうして常設できるんだ」

「真ん中はなぜ空いてるんですか?」

「そこに転移先の魔法陣の紋様を入れると転移ができるようになるんだよ」


 セナ様は近くに置いてあった古びた本めくり始めた。


「あったあった!これが今回の目的地、北東の城塞都市の神殿の魔法陣だ」


 私は本を覗き込んだ。


「へぇ!場所ごとに紋様が違うんですね?」

「ちなみにここの魔法陣の紋様はこれ!」

「あっなるほど!ここの床に描いてある魔法陣の外周の紋様と似てますもんね?」

「・・・ふぅん、わかるんだね?」

「魔法陣好きなのでいっぱい見たり描いたりしてましたから、見れば何となく何をする魔法陣かわかります」


「なるほど・・・そういえば魔法陣描くの得意だったよね?この魔法陣に行先の紋様描き込んでよ」

「えっ?でも魔法陣って描いた本人でないと発動しないんじゃ?」

「それを言ったらこの転移魔法陣だって僕が描いたものじゃないよ」


「普通はさ、そんなに正確な魔法陣って描けないからどうしても描いた人の個性が出てしまうんだよ。だから本人じゃないと波長が合わなくって発動しないってだけ」

「でも正確に描かれた魔法陣なら誰でも発動できるようになる」

「この転移魔法陣は昔の魔法士たちが時間をかけて丁寧に描き上げたから誰でも使えるようになっているんだ」

「へぇ?そうだったんですね」


「君の魔法陣ってすごくきれいだったって話だからもしかしたらって思ってさ」

「わかりました・・・やってみますけど失敗しても知りませんよ?」

「まぁその時は僕が描き直すから」


 私は魔法の杖を借りて本に描かれた行先の魔法陣の紋様を描き始めた。


「早っ!もう描き終わったのかい?」

(あれっ?いつもより早く描けてしまった)


「そうか!『加速』特性のブーツを装備してるから普段より速く動けたんだ」

「へぇ、そうゆう効果もあるんですね?」


「普通の魔法士が『加速』を使ってもたかが知れてるだろうが、お嬢ちゃんの剣速なら『加速』の効果が加わればそのくらいの速さで杖を振るうのはわけねえだろう」

 ゼト様が解説してくれた。


「そして超高速で描いたとは思えない正確な魔法陣だねぇ、うんうん、これなら大丈夫だろう」


 4人とも転移魔法陣の中に集まった。

 セナ様が詠唱しながら魔法陣に魔力を注入する。

 魔法陣は光り出し、紋様が動き始めた。


「転移!」


 呪文と共に目の前が光りに包まれた。

 光が消えて次第に目が慣れてくると、元の洞窟ではなく、石積みの壁に囲まれた場所だった。


「よしっ!成功した!」


 建物の外に出ると、そこは王都ではなく、きれいな山々に囲まれた見知らぬ町の神殿だった。


「わぁ!きれいな景色ですね!」

「そうだな、よくやった」


 私がはしゃいでいると、隣にいたジオ様がポンポンと頭に手を乗せた。


(えへへ!魔法陣のこと、さりげなく褒めてくれたのかな?)


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