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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第4章 砂漠の王国
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5話 勇者の弟子と砂漠の戦士

 盗賊だと思って戦った相手は盗賊を倒しに来た戦士だと名のった。



「私を騙そうとしてませんか?」


「違う!本当だ!」


「・・・さっきの笑顔は悪人の顔でした」


「あれは久々に手ごたえのある相手に出会えて興奮したのだ!」


 ・・・この人もバトルジャンキーか?


「どうやって証明します?」


「そうだな・・・あんたの強烈な膝蹴りに耐えたこの強靭な一物が正義の証だ」


 耐えたって言うか・・・今、耐えている真っ最中ですよね?


 そもそも言ってる意味が良くわからないし・・・。



 でも、殺気もすっかり消えたし、おそらくこの人の言っている事は本当だろう。



「まあ、いいでしょう。信じます」


 私はイケメンに近づいて股間に手をかざし、治癒魔法をかけた。

 もちろん直接触ってはいないよ!


「おお!痛みが引いて快感だけが残ったぞ!」


 内股は治ったが、イケメンの股間は大きく膨らんだままだった。


 ・・・なんかやだな、あとで膝を良く洗っておこう。




「ありがとう、助かった。オレはこの国の戦士でシンだ。あんたは?」


「冒険者のララです」


「この国の人間ではないな?」


「はい、隣の大陸から海を渡ってきました」


「だろうな、この国にそんな肌の白い奴はいないからな」


「それより盗賊を倒しに行った方がいいですよね?」


「手伝ってくれるのか?」


「もちろんです!」


「あんたが手伝ってくれたら盗賊を一網打尽に出来る。宜しく頼む」



 私はシンと一緒に町の中央に向かった。


 町の広場では、盗賊たちが集めた獲物をまとめて撤退の準備をしている所だった。

 どうやら、予定よりも早く撤退する事に下らしい。

 幹部っぽい盗賊が、部下たちに略奪を中断してすぐに撤退すると指示を出していた。



 私はシンと共に、正面から盗賊達の真っただ中に突っ込んで行った。


「全員捕縛する!覚悟しろ!」


 シンは、近くにいた盗賊から次々と切り倒していく。




 ・・・やはり、この人の強さは本物だ。




 鍛え抜かれた筋肉は無駄がなく引き締まっている。

 ただ我武者羅に鍛えたのではなく、必要な筋肉を必要な個所に最適な付き方をしている。


 そして、その筋肉を最大限に効率よく活用する技を極めている。


 ジオ様以外で、男性の筋肉をこれほど美しいと感じた事は無い。


 そしてその身のこなしも同様に、ジオ様に匹敵するくらい洗練された美しい動きだ。




 私もシンに見とれていたわけでは無く、盗賊を片っ端から無力化していく。


 私の後ろはシンが確実に全ての敵を殲滅してくれる。


 安心して背中を預けられる信頼感・・・まるで全盛期のジオ様と一緒に戦っていた時のような感覚だ。




 最初はこちらがたった二人という事でなめてかかって来た盗賊たちも、途中で状況を理解したらしい。


 ・・・私とシンの二人だけで、百人以上の手練れの盗賊の戦力をはるかに凌駕しているという事実に。




 残った盗賊たちは、集めた戦利品を放棄して逃げ始めた。

 だが、一人たりとも逃がすつもりはない。


 私とシンはそれぞれ逃げだした盗賊の先に回り込み、先頭を走る盗賊から殲滅していく。


 方向を変えて逃げる盗賊を一人も逃がさぬように、私とシンは自然と連携して盗賊を包囲していく。


 シンはまるで私の意図が分かるかの様に、絶妙に連携して動いてくれるのだ。


 おかげで私も自分がどう動けばシンがどう動いてくれるのか、手に取る様にわかるので、とても効率よく動けるのだ。


 こういったところもまるでジオ様と二人で戦っている時の様な感覚だ。




 瞬く間に盗賊を制圧し尽くして、残るはリーダーと思われる男一人となった。


「何なんだお前ら!何でこんな辺鄙な村に貴様らほどの手練れが二人も揃ってやがるんだ!」


 ・・・実はもう一人いるんだけどね。


「偶然です!」


「お前ら、運が無かったな」


「何だってんだ!畜生!」


 盗賊のリーダーは私の方に突っ込んできた。


 女の私の方が突破できる可能性が高いと踏んだのだろう。


 もちろん逃がすつもりはないけどね!


 私はこちらからも盗賊のリーダーに向かって踏み出した。


 盗賊のリーダーは一瞬怯んだが、さすがにそれなりの腕はある様で、咄嗟に対応し私に切り込んできた。


 しかし私はその剣を得意の受け流しで逸らしつつ、相手の胴にカウンターを決めたのだった。



 普通に振り抜けば簡単に胴体が真っ二つになってしまう所だけど、寸前でレイピアの切断特性を無効化して、単なる打撃に変えたのだ。


 もっとも肋骨は折れて内臓破裂ぐらいは起こしただろうが、ぎりぎり死ぬ事は無いだろう。

 捕縛した後で知治癒魔法をかけておけば命には別状はないはずだ。


「お見事!素晴らしい腕前だな!」


 シンが拍手をしていた。


「あなたの方こそ、そこまでの剣の使い手は、これまでに一人しか会った事がありません」


「へえ、一人は居るって事だ!それは驚きだな」


 ・・・結構な自信家みたいだ。

 今まで自分より強い人間に会った事が無いのだろうか?


「いや、あんたを入れると二人って事になるのかな?」


「ずいぶん、自分の強さに自信があったみたいですね?」




「この世界で俺より強い奴がいるとしたら『勇者』だけだと思ってたからな」


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