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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第4章 砂漠の王国
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4話 勇者の弟子とオアシスの町

 王都に到着する前に、少し手前にある小さなオアシスの町に到着した。



 町の周りは砂岩を切り出した四角い石を積み上げた頑丈そうな壁で囲まれている。


 門番に冒険者証を見せたら、少し怪訝な顔をされたが通してくれた。


 ただ、馬車で町の中を走ることは出来ないそうで、門の脇のところに停めるように言われた。


 ルルをベビーカーに乗せ、ジオ様はスリングに入ってもらって町の中へ入った。


「ララ様、久しぶりに宿に泊まれそうですね」


「うん、まずは、宿屋探しからだね」



 それほど大きい町ではないが、町の周辺に少しばかりの畑もあり、自給自足は出来ている様だった。


 町の人々の服装は、暑いわりに露出が少なく、むしろ頭から布を被って肌はほとんど見せていない。


 ・・・なるほど、日差しが強いから、ああやって日差しを遮った方が暑くないのか。


 早速私は近くにあった店に入って、この国の衣装を物色した。


 この国の女性の衣装は薄手の長そでのロングスカートみたいな民族衣装が主流で、さすがに冒険者装備の上からは着られないので、とりあえず頭にかぶる布とローブみたいなのだけを購入してつけてみた。


 まあ、これだけでもそれっぽくは見えるし、確かに、日差しが和らいだ。



 しばらく歩くと宿屋があったので、宿泊を申し込んだ。

 それほど豪華な宿ではないが、久しぶりに魔動馬車以外の広い部屋で眠れる。


 夕食は宿屋のレストランで、この国の名物料理をいくつか注文した。

 この国はライス系のメニューが多いらしい。

 暑い国はやはり香辛料をふんだんに使った辛めの料理が多い。


 初めての香辛料がいっぱいあったので、あとで、香辛料のお店にもいってみよう。


 宿のお風呂は男女別の共同風呂だった。


 ジオ様一人で男湯に行かせるわけにも行かないので、他の客がいないのを見計らってジオ様とルルを連れて女湯に入った。


 ところが途中で、女性の団体が入ってきてしまったのだ。

 全裸の女性たちに囲まれてうろたえるジオ様がちょっと面白かった。



 今日はこの宿でゆっくりして、明日は午前中に町を見て回ったら王都に向けて出発だ。


 私たちは久しぶりの広いベッドで眠りについた。




(ララ、起きろ!様子がおかしい)


 夜中にジオ様の念話で目が覚めた。


「どうしました?ジオ様」


(宿の外が騒がしいぞ!)


 すると部屋のドアがどんどんと叩かれた。


「お客さん!盗賊です!町に盗賊団が現れました!逃げる準備をしてくだせえ!」


 宿の主人は順番に部屋を回って宿泊客を起こして回っていた。


「ジオ様!私が様子を見てきます!ジオ様はここでルルとシィラをお願いします!」


(わかった。無理はするなよ)


「はい!行ってきます」


 会話しながら装備に着替えた私は部屋を出て行った。




 宿の外に出ると、既にいくつかの家から火の手が上がっていた。

 結構大規模な襲撃じゃないだろうか?


 ふと見ると、いかにも盗賊風の輩数人が逃げる町の人を襲っていた。


 助けないと!


 私は、剣を抜いて、盗賊らしき連中に切りかかった。


 数人の手足の腱を切って無力化する。



「なんだお前は!」


 残った盗賊が私に気が付いた。


「通りすがりの冒険者です!」


 私はその盗賊も瞬時に切りつけて無力化した。


「こいつ!やべえぞ!退け!」


 残りの盗賊が逃げ出した。




「大丈夫ですか?」


 私は襲われていた町の人を見た。

 ・・・かなりの大けがをしている。

 このままでは命が危ない。


 すぐに治癒魔法で怪我を治してあげた。


「・・・あれっ?痛みが無くなった?・・・怪我が治ってるぞ!」


「何があったんですか?」


「盗賊団の襲撃だ!最近噂になってた大規模な盗賊団がこの町に来てしまったんだ」


「何人ぐらいの盗賊団なんですか?」


「軽く百人はいるみたいだ。このままじゃ町が壊滅してしまう」


「わかりました。私に任せて下さい」


 私は町の人を地面に寝かせると、逃げて行った盗賊を追いかけた。




 さっきの盗賊は町の中心に向かっていた。

 その方角が最も火の手が多い。


 おそらくそこに盗賊の仲間が集結するのだろう。




 町の中央広場に向かう路地を曲がろうとしたところで、強烈な殺気を感じた!


 私は曲がり角から出ると同時に、殺気の主に対してレイピアを振るった。



 ・・・甲高い金属音と共に、私のレイピアと相手の剣がぶつかり合った!



 ・・・えっ!


 私のレイピアを受け止めた?



 附加装備であるレイピアは、切断能力が強化してあり、普通の剣なら簡単に切り裂いてしまうのだ。

 私のレイピアを受け止められるは、同様に附加装備かそれと同等な特殊な剣だ。




 相手を見ると、相手も同様に一瞬驚いた様な顔をして私を見ていた。




 夜の暗闇の中でも輝くような豪奢な金髪に、金色の眼をした、ジオ様に匹敵するほどの美青年だった。




 一瞬目を奪われそうになったが、すぐに我に返った。

 見た目に惑わされてはいけない!こいつは盗賊かもしれないのだ!


 私は即座に体勢を変えて、第二撃を放った。

 向こうも同じタイミングで行動に移したので、再度剣と剣がぶつかり合う。



 この人・・・相当強い!



 二度までも私の剣を受け止めた。

 決して、手加減していたわけでは無い。

 殺気からそれなりの手練れという事は感じていたので、一撃で仕留めるつもりだったのだ。

 二撃目は更に本気だったが、それさえも受け止められた。


 青年きれいな顔がにやりと笑った!


 ・・・この悪そうな笑顔!やはり盗賊か!


 直後に攻撃が来た!


 速い!


 私はそれを寸前で受け流し、得意のカウンター攻撃を入れる。

 しかし向こうもそれを躱してさらに迫って来た。


 こいつは、手加減とか考えてはダメな相手だ。

 

 悪そうに歪んだイケメンの笑顔が目前に迫る。


 そして至近距離から剣を突いてきた!


 これは私が怯んで避けるのを予測した攻撃だ。

 さがったところに次の一手でとどめを刺しに来ると見た!


 私はあえて後ろに下がらずに相手の剣をレイピアで僅かに逸らし、さらに前に踏み込んだ!


 唇と唇が触れそうなくらいまで接近したイケメンの顔が、一瞬、驚きの表情に変わり、その直後、苦悶の表情に変わった。



 ・・・イケメンの股間めがけて膝蹴りを入れたのだ。


 レィアさんの得意技を使わせてもらったのだ。




 私は倒れかかって来たイケメンを寸前で躱し、すれ違いざまに、背中に一撃を入れた。


 しかし、イケメンはそれを剣で受け止めたのだ!


 顔は苦悶の表情で、足は若干内股だが、それでも私の剣に反応してきたのだ。

 急所に結構強烈な一撃を入れたはずなのに、まだ戦闘が可能なんて・・・これは本気で仕留めないと危ない!


 私は一旦距離を取り、間を置かずに最後の一撃を決めるべく踏み込もうとした。


 ・・・・その時、


「待て!おまえは盗賊じゃないのか!?」


 えっ!


「盗賊はあなたでしょ!」




「違う!俺は盗賊を倒しに来た戦士だ」


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