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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第3章 勇者と海
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3話 勇者様と隣国の町

 国境警備兵に若干胡散臭がられてはいたが、無事に国境を通過する事が出来た。


 国境からまっとうな方法で国外に出たのってこれが初めてかもしれない。


「そういえばシィラ、冒険者だったんだね?」


「申し上げておりませんでしたか?メイドとして雇われる前は冒険者をしておりました」


「そうだったんだ!何が得意なの?」


「主にダガーによる接近戦でした」


 ダガーというのはショートソードより短い短剣だ。

 大きめのナイフといったところか。


「今回、護身用に用意してあります」


 シィラがおもむろにメイド服のスカートをきわどい所まで捲し上げた。


 シィラの美しい太腿には、数本のダガーが隠してあった。


 更にダガー以外にもいくつかの小道具が隠してある。



「へえ、結構本格的だね。でも出来るだけシィラが戦わなくても済むようにしないとね」


(そうだな、人前でその姿をさらさせるわけにはいかないからな)


 そうだった!ジオ様もいたんだった!


 ジオ様の顔が、心なしか少し赤くなっていた。


「シィラ!すぐに隠しなさい!」


 シィラは素早くスカートを戻した。


「申し訳ありません!ジオ様にお見苦しいものをお見せしてしまいました」


 シィラは冷静に受け答えしていたが、少し頬が赤くなっていた。


 いつもはそつなく完璧に仕事をこなすシィラだけど、今は完全にジオ様の事を失念していたみたいだ。


 見た目が赤ちゃんだからついうっかりと油断してしまう事が私にもあったな。


(見苦しいなどという事は無い、十分魅力的だったとシィラに伝えてくれないか?)


(ジオ様・・・それを私の口から伝えるのはどうかと思います・・・)


 ジオ様も変なところが真面目だった。




 魔動馬車の中が微妙な空気になってしまったので窓を開けた。


 暖かめの、少し湿った空気が入ってくる。


 この国は私達の国より温暖で、湿度が高いのだ。


 エルの住んでいる町も暖かいが、隣国に入ると更に気温が上がっていた。


「ふう、気持ちいいけど、ちょっと熱くなってきましたね」


 私とジオ様は体温調節ができるけど、シィラは大丈夫かな?


 ふと見ると、顔が上気して少し汗ばんでる。


「シィラ!大丈夫?無理しない方がいいよ」


 シィラはいつものメイド服をきっちり着こなしている。


 王都の屋敷はそれほど気温が高くないからいいが、この国でその服装はきびしいのではないだろうか?


 ルルも少し汗ばんでいたので着替えさせて薄手の服に着替えさせた。



 ルルは相変わらず風を受けるのが好きみたいで、珍しく目を覚ましていて、きゃっきゃと笑っている。


 シィラを見ると、さっきのよりも顔の赤みが増していた。



「申し訳ありません。やはり夏服に着替えさせて頂いてもよろしいでしょうか?」


「うん、構わないよ!」


 というか、別にメイド服を着ていなくてもいいと思うんだけど・・・


 シィラは御者台から下の客室に降りて行った。



 ・・・しばらくして御者台に戻って来たシィラは、膝上スカートのメイド服姿だった。


 全体的に私のメイド服のデザインに似ているが、胸元の露出が少し多くなっており、二の腕も露出していた。


 おなか部分もよく見たら上下にセパレートになっていて動くと少しおへそが見える構造だ。これなら風が通って涼しいだろう。


 っていうか、超かわいいんですけど!このメイド服。


 私のメイド服は少し幼い年齢向けのデザインだったけど、これはもう少し大人の女性を魅力的に見せるデザインだ。


「すみません、夏用のメイド服となると、この様に極端になってしまって・・・」


「うん!いいよ!シィラ、すごくかわいい!」


「そんな!恥ずかしいです。ララ様」


 でも確かにこのデザインは王都のお屋敷では使う機会が無いだろうな。


 何で用意してあったんだろ?




 しばらく進むと一つ目の町にたどり着いた。


 この辺りは魔物の出現が少ないらしく、簡素な塀で囲まれた町だった。



 まだ、夕刻まで時間があるが、次の町までは距離があるそうなので、今日はこの町で一泊する事にした。


 町の雰囲気はエルの住んでいる町に似ている。


 しかし、行きかう人々の服装は、更に露出度が増していた。


「さすがに私の装備姿で出歩くのは不自然だよね」


 こんな暑苦しそうな格好の人は他にいなかった。


 私はエルの町で買った服を少しアレンジして着替えた。


「よし!こんなもんかな?」


 着こなし方を調整して露出度を増してみた。


 ほぼ下着の様な布面積のベース部分の上から胸と腰部分に布を巻く構成なのだが、布地の面積をさらに小さくなる様に着たのだ。


 パレオ部分はほぼミニスカートで、胸の谷間も大きく開いている。


「どうですか?ジオ様」


(とても魅力的だ、ララ。だがそれは未婚女性の着こなしでは無かったのか?)


「エルの町ではそうでしたが、この町では年配の女性もこんな感じでしたので、これで正解です!」


(そうか、だが他の男性にもその姿を見られるのは少し複雑だな・・・)


「気にしすぎですよ、ジオ様、ここではみんなこういう姿なんですから!」




 その日は、その町の宿屋で一泊してから、次の日は移動を開始した。


 目的の魔物大量発生予想地点・・・『静慮の魔女』の出現予想場所は、この国の中でもまだかなり離れた場所なのだ。


 まだまだ、長距離の移動が残っている。




 魔動馬車で街道を一日進むと、目の前には海が広がっていた。



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