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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第3章 勇者と海
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2話 勇者様と隣国への旅

 旅の準備も整った事だし、いよいよ国外への旅へ出発だ!


 これまでにも勇者パーティーとして、外国からの依頼で討伐に行った事は何度もあるが、転移魔法陣でピンポイントの移動しかしていないので、あまり遠くへ旅したという実感がなかった。


 魔物が出現してから緊急呼び出しで、現地に行ったらすぐに魔物の捜索と戦闘が始まり、討伐が終わった後は長居をすると面倒な事になるので、迅速に撤収していたのだ。


 そのため、外国でゆっくり観光をした事など無かったのだ。



「ジオ様!次の予想地点は、海沿いの国ですよ!おいしいお魚料理がいっぱいあるみたいですよ!」


 ルルはまだだが、ジオ様は最近離乳食を食べる様になった。


 勇者の能力を使って歯がない歯茎で無理やり咀嚼して、未熟な内蔵で無理やり消化しているのだ。

 本来なら体調不良になるところだけど、勇者の回復力で抑え込んでいるそうだ。


 でも、味覚がまだ未発達なので味はよくわからないらしい。


 食事を本当に楽しめる様になるにはもう少しかかるかな?


 


「ララってば、すっかり観光気分ね」


「まあ、いいんじゃないかな?魔物の発生地点の近くに始めから勇者がいるっていうのは悪い事ではないし」


 ルナとレンが、打ち合わせに来ていた。



 前回は、『静慮の魔女』の出現から魔物の襲撃が早すぎて、レンとルナの応援が間に合わず、私とジオ様で魔物の対応をしたために『静慮の魔女』とじっくり話す時間が無くなってしまった。


 次は、レンとルナが迅速に魔物の対応に当たれる様に対策を考えておかないと、同じ事になってしまう。


「まず、前回の様に拠点を作って『転移魔法陣』を設置するのは有効だね」


 また、『別荘』を作る必要があるって事だね。


「それでしたら、やはり最初からわたくしが同行した方が良いと思います」


 レンとルナにお茶の用意をしていたシィラがが提案した。


「そうだね、確かに、家を用意する間もルルを見てくれる人手があった方が助かるかな?」


 家族水入らずの旅も魅力的なんだけど、まあ、シィラも家族みたいなものだし・・・


「じゃあ、今回はお願いするね。シィラ」


「かしこまりました」


 今回はシィラも含めた四人旅だ。


「危険な事もあるかもしれないけど、シィラの事は私とジオ様で必ず守るからね!」


「ご心配無用です。バトラー様に指導を受けておりますので、最低限の護身術は心得ております」


「そっか!それなら大丈夫だね」


 バトラーの指導を受けているのなら、それなり腕前のはずだ。




「それから、緊急時の連絡方法だけど、これを二人に渡しておくね」


 私は魔結晶を埋め込んだチャームの付いたネックレスを二人に渡した。


「それが光ったら強く握って!そうしたら私と『念話』で話が出来るから」


「それはすごいね、試してみてもいいかな?」


「うんいいよ!」


 私が魔法を起動すると二人のネックレスが光り始めた。


 レンとルナがネックレスを握る。


(どう!聞こえる?)


(へえ、頭の中に直接声が聞こえるんだね)


(これって、遠く離れていても使えるんですか?)


(普通は近距離でしか出来ないんだけど、そのネックレスを中継して、遠距離でも使えるようにしたんだよ)


(これば便利だね)


(でも私の魔法で作動してるから、私がいないと使えないんだけどね)


(とりあえず、ララからの緊急呼び出し用だから問題はないかな)




 これで、魔物が出現した時の対策は出来たし、いよいよ出発だ。




 次の目的地は隣国だ。


 今回は勇者パーティーではなく、一般人として隣国に入国する必要があるため、きちんと国境を通過しておかなければならない。


 最寄りの国境はエルの町の近くなので、まずは前回の別荘に転移魔法で転移した。




 村長さんや村の人に挨拶して、いよいよ隣国へ出発だ!




 魔法で魔動馬を発現させて、魔動馬車に接続する。


 一応手綱は御者台と繋がっているがこれは見せかけだ。

 魔動馬は魔動馬車と連動して御者の意志通りに動いてくれるのだ。



「おや?その馬車は馬がいらないんじゃなかったのかい?」


 門番の人に挨拶したら馬の事を聞かれた。


「あはは、やっぱり馬がいた方がしっくりくるので馬に引かせてみました」


「そうかそうか、それにしても立派な馬だな。こんな毛並みの良い馬は見た事がねえよ」


「ありがとうございます!」


 ちょっときれいに作りすぎちゃったかな?




 街道に出てしばらく行くと人通りも無くなってきた。。


 魔動馬は普通の馬よりも速く走る事が出来る。

 魔動馬車の性能と合わせて、結構速度が出せるのだ。


 感知魔法で街道の前方にしばらく人や障害物がない事を確認して、最高速度のテストをしてみる。


「ジオ様、シィラ、ちょっと速度を上げますよ」


 御者台の隣に座っているジオ様とシィラに声をかける。


 御者台には私とシィラ、その間にベビーベッドを二つ並べてジオ様とルルがいる。


 まあ、つまり全員が御者台にいるわけだ。


「ララ様、ほどほどにお願いします」


 ほどほどと言われても最高性能テストだからねぇ?


 魔動馬車は次第に速度を上げて通常の馬車の3倍程度の速度に達した。


「すごい速さですね。でも全然振動が無いんですね?」


「車軸が魔法で浮かせてあるから、地面のでこぼこの影響を受けないんだよ」


 更に速度を上げていくと、通常の馬車の5倍程度に達した。


 周りの景色は平原なのでわかりにくいが、地面を見ると普通ではありえない速度である事が分かる。


 まだまだ、加速できそうだが、前方には国境が見えてきた。


 この速度で接近したら大変な騒ぎになる。


 魔動馬車の速度を徐々に落として行って、通常の馬車の速度まで下げた。




 国境の少し手前からは、普通の馬車の速度でのんびりと国境に到着した。



 

 国境の警備兵に冒険者証を見せる。


「『下級冒険者』が赤子連れで、隣国に何の用だ?」


 警備兵は若干不審そうな顔をしている。


 うーん、微妙に設定がアンバランスだったか?


「主人も冒険者で、隣国で仕事をしてるんですが、仕事が長引きそうなので子供を連れて会いに行くところなんです」


「そちらのメイドさんは?」


「今はメイドですが元は冒険者パーティーの仲間です」


 シィラは自分の冒険者証を提示した。


「ほお!『中級冒険者』か!メイドをやってるなんてもったいないな」


 えっ!シィラ、中級冒険者だったんだ!知らなかった。


「よし!通っていいぞ」


 シィラの冒険者証も確認した警備兵は国境通過を許可してくれた。


 私は魔動馬車をゆっくり進めて、無事に国境を通過する事が出来た。




 ついに国外の旅の始まりだ!


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