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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 静慮の魔女
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8話 勇者の弟子と辺境の村

 目的の村に着いたので魔動馬車は村の入り口に止めて、ジオ様とルルには一緒にベビーベッドに入ってもらった。


「まずは村長の家に行きましょう」


 エルに連れられて村長の家を訪ねた。




「おお、これはエル様。今日はどの様な用件でこの村に?」


 村長は恰幅の良いお婆さんだった。


「しばらく来てなかったから様子を見に来たのよ。それと友人を連れてきたの。こちら、あたしの親友のララよ」


「これは、ララ様。はじめまして、この村の村長です」


「村長さん、ララです、宜しくお願いします」


「これはこれは、お美しい娘さんですね。こんなへんぴな村にようこそおいで下さいました」



「ララはちょっと訳ありでね、子供達と一緒にしばらくこの村に置かせてほしいの」


「おや、お子さんがいらっしゃるので?」


「はい、双子の赤ちゃんです」


 私は、ベビーベッドの中のジオ様とルルを村長に見せた。


「おやおや!これはかわいらしい赤ちゃんたちですねぇ!」


 村長はジオ様とルルを見て微笑んでいる。


 まあ、大抵の人は赤ちゃんを見ると笑顔になるのけど、ジオ様とルルは特にかわいいからね!


 ジオ様は、人前では普通の赤ちゃんのふりをしているが、赤ちゃんにしては無表情で大人びていると、あまり評判が良くないので、最近は寝たふりをする事が多い。


 ルルもほとんど寝ているので、ちょっとサービスが足りないかな?



「しかし困った事に、すぐに人が住める空き家が無くってねえ」


「それなら大丈夫です!当面は馬車で生活しますので、土地だけあれば平気です!」


「では、町はずれの空き家を提供しましよう。家はかなり手直ししないと人が住めいないけど、庭先に馬車を止めるといいよ」


「ありがとうございます!助かります!」


 とりあえず、この村で張り込みをするための拠点は決まった。


「ところでいくつかお聞きしたいのですが、この辺りって魔物はよく出るんですか?」


「そうさねぇ。下級の魔物はそれなりに出るね。村の近くまで来る事は少ないが、村の近くの森や、畑で『下級の魔物』と遭遇する事はたまにあるね」


「『中級の魔物』が出た事はありますか?」


「この村まで来た事は無いかな。数年に一度、この地域に『中級の魔物』が出たって話は聞くが、いつも被害が出る前に、勇者様や騎士団、それに冒険者が討伐してくれるからねぇ」


「うちの騎士団も一応精鋭ぞろいよ!『中級の魔物』でも単体だったら問題なく討伐出来るわよ」


 エルが自慢げに言った。


「そういえばエル様、去年は町の方に『上級の魔物』が出たんだろう?物騒な世の中になったよねえ」


「ええ、その時はたまたま来ていた勇者の弟子たちと『魔女』がやっつけてくれたけどね!」


 ゲン達が『傲慢の魔女』と戦った時だな。


「いろんな人があたしたちを守ってくれて、有難い事だねえ」


 そろそろ本題に入ってみようかな。


「ところで、魔物を早期に目撃して報告してくれる女性の事って、聞いたことありましか?」


「そうそう、そう言えば、10年くらいまえだったかねえ。旅の女性がこの村にあらわれてね、魔物を見たって教えてくれた事があったよ」


「本当ですか?どんな人でした?」


「それがねえ、魔物を見たって教えてくれた後、すぐにいなくなってしまったんだよ。一回会っただけだから顔も良く覚えていなくてねぇ」


 間違いない!この村にも来た事があったんだ!


 やはり、このルートを通過する時はこの辺の村に伝言を残すしかないと判断したんだ。


 この村で待っていたら、今回も遭遇する可能性が高い。


「その時はその後どうなりました?」


「すぐに領主様に報告に行ったよ。今の領主様の父君だったね。その女性が言うには森の中で偶然『中級の魔物』の集団に遭遇して、命からがら逃げきって来たって必死に訴えて来てね、とても嘘を言っている様には見えなかったし、その様子を領主様に伝えたら、領主様も信じてくれてね。そうしたら次の日には勇者様が来て下さって、その翌日には魔物を討伐してくれたんだよ。まだ、町や村から離れた場所だったんで、被害はなかったね」


(そういえば、その頃この辺りに来た事はあるな。目撃情報があった場所が街道から離れた場所で、何故目撃者がいたのか疑問に思った事を覚えている)


 ジオ様が対応した案件だったんだ。


「そんなに真剣に訴えていたのに、顔は覚えていないんですね?髪の色とか体形とかもですか?」


「声だけはしっかり覚えてたんだけどね、なぜか見た目は全く思い出せなくなっていたんだよ」


 私が前に遭遇した時と全く一緒だ。


 音の記憶はしっかり残っているのに、目で見た記憶だけが曖昧になっているのだ。


 恐らく視覚に特化した認識阻害魔法を使っている。

 聴覚も阻害すると、話した言葉自体も忘れてしまうからだろう。


 先日の村で、彼女の残像を正しく認識できたのは、あの魔法は場所に焼き付いた映像をそのまま映し出す魔法だったからだ。


 認識阻害魔法は人の意識に作用する魔法だから場所に焼き付いた残像越しには効かなかったのだ。



 でもこれで彼女が使用している認識阻害魔法の種類が特定できた。




 次に会った時は、認識阻害を無効化する事が可能だ。


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