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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 静慮の魔女
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7話 勇者様と男心

 『例の女性』のこれまでの傾向から、近日中にはこの町の付近で魔物の目撃報告に現れる可能性がある。


 私は、『例の女性』が現れた時にその場に立ち会うために、それらしい場所で張り込みをする必要がある。




 『例の女性』が現れる状況にはある程度傾向がある。


 旅人が現れて不自然でない場所である事。


 人があまり多くない場所である事。


 確実に情報を伝達してくれる立場の人がいる事。




 この町の様な大きい町の中に現れる事は無い。

 あったとしても、城門の門番に接触するケースだ。


 先日の村の様に小さい村なら、村の中に入ってくる場合もある。


 あとはほとんどが街道で偶然出くわすというパターンだ。

 それも、無作為ではなく、確実に情報を伝達してくれる役人関係者などに接触しているのだ。


 つまり接触する相手の素性を把握して計画的に行動しているという事を意味する。 

 気まぐれな行動ではないのだ。


 この町で張り込むとしたら、城門か、周辺の街道、あるいは町の近くにある二つの小さな村のいずれかだ。


 街道で偶然出会うというのは確率的に難しい。

 城門で毎日待機というのもあからさまに不自然だ。

 村で待機というのが最も現実的だろう。




「しばらくこの地域で暮らす事になるから、それらしい服装にしないとね!」


 私は町の商店に買い物に出かけた。


 ルルは授乳したらぐっすり眠ってしまったので、エルに預かってもらって、ジオ様と二人でショッピングだ。


 人ごみに出るので、ジオ様にはスリングに入って赤ちゃんのふりをしてもらう。




 町の洋服店には、この地域の人たちが着ている布地の少なめの衣装が色々売られていた。


「試しに試着してみますね!」


 私はかわいらしい服を2~3着選んで試着室に入った。


 ジオ様を降ろして服を脱ぎ始める。


(待て、俺は外で待ってる)


「何言ってるんですか?赤ちゃんが一人で外で待ってたら不自然ですよ?」


(しかし・・・ララの着替えを間近で見てるというのはどうも・・・)


「夫婦なんですから、今更何言ってるんですか?」


 そういえば、家でも私が着替えをする時は、ジオ様は部屋の外に出ていたな・・・


「・・・ジオ様、私の裸見るの恥かしいんですか?」


 お風呂も毎日一緒に入っているし、今更ではないだろうか?


(いや・・・何というか・・・ララが服を脱いでいるという行為を見ていると、なんだか微妙な気分になってしまうのだ)


「そうか!ジオ様は、いきなり裸を見せるよりもちょっとずつ焦らしながら脱いでいく方が興奮するんですね!」


 話しながら私は服を脱いで下着姿になった


(いや、そういう趣向の話をしてるのでは無くてだな)


 ジオ様は目を背けて赤くなってる。


 うーん、男心は難しいな。

 単純に女性の裸が見られたら嬉しいという訳でもないのだろうか?


 でもジオ様はどちらかというと奥ゆかしい女性が好きそうだから、私も恥じらいを忘れない様に気を付けよう。


 と言っても、赤ちゃんを育てながらだとそれも難しいのだが。



「まあいいや!どうですか?ジオ様!」


 私は着替え終わった服をジオ様に見せた。


(露出が多すぎるのではないか?)


 確かに胸元とおへそが出ていて、下はパレオだが、結構太腿の上の方まで隙間があいている。


「この町の女の子達、みんなこんな感じでしたよ?かわいいでしょ!」


(確かにかわいいのだが・・・他の男にも見られるのは・・・)


「あはは!やきもちですか?大丈夫ですよ、声をかけれられても絶対浮気なんてしませんから!」


(それは別に心配していないんだが・・・)



 私はかわいらしいデザインの服を3着ほど購入して店を出た。

 購入した服のうちの一着に着替えている。



「さて、じゃあ、目的の村に行ってみましょうか?」



 私はジオ様をスリングに入れて、町を散歩がてら歩いてエルの屋敷に戻った。


 なぜかすれ違う町の人々の注目を集めていたが、適当に微笑み返しておいた。




「どう?かわいいでしょ?なぜか町の人たちの注目を集めちゃったけど」


 屋敷の戻ってエルに勝ってきた服を見せた。


「うん、そうだろうね。その組み合わせは不思議だもん」


「なんで?」


「ララの今の恰好って、未婚の女性の着こなし方だよ。それで赤ちゃん抱いてたらみんな不思議に思うよ」


「ええっ!そうなの?若い子がみんなこの格好してたから、これが正解かと思ってたよ」


「既婚の女性は大体こんな感じだよ」


 エルは自分の服装を指さした。


 確かに、肌の露出はあるものの、露出面積は控えめで、大分落ち着いた雰囲気だ。


「まあ、確かにララの見た目なら、その恰好の方が似合うけどね。赤ちゃん連れてる時はやめた方がいいよ。それにその格好だと男の人にやたら声をかけられると思うよ」


 確かに、町を歩いている時に何人もの男性が私に声をかけようとしていた。


 ただ、ジオ様の殺気に怖気づいたみたいで、誰も声をかけてこなかったけど・・・


 赤ちゃんの殺気でおびえる男性って・・・


「でもせっかく買っちゃったし、かわいいからしばらく着ていよう」


「まあ、絶対だめって事は無いけどね」




 私はルルに授乳してから、ルルとジオ様を連れて、目的の村の一つに行ってみる事にした。

 

 村は馬車で一時間ほどだ。


「あたしも一緒に行っていいかな?」


 エルもついて来たいみたいだけど、何しに来るんだろ?


「いいけど、村で一日のんびりしてるだけだよ」


「あの馬車に乗ってみたいのよ」


「ああ、そういう事ね。いいよ別に」



 エルを含めた四人で魔動馬車に乗って村に出発した。


「へえ!すごい!ほんとに馬がいなくても動くんだね!」


「うん、私の思った通りに動くんだよ」


「それに全然揺れないのね」


「魔法で車軸から車体を浮かせて、地面がでこぼこしてても揺れない様になってるんだよ」


「ふふっ、町のみんながびっくりしてるわよ」


「ここに来るまでも、すれ違う人みんな驚いてたよ」


 町の外に出たら少し速度を上げた。


「へえ、結構スピード出るのね」


「もっと出るけど、危ないからまだ控えめにしてるよ」


「そのうちこういうのが普通に走ってる世の中になるのかな?」


「そうだね、もっと安く作れるようになったらそうなるかもね」




 魔動馬車は予定通り一時間ほどで目的の村に到着した。


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