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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 静慮の魔女
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6話 勇者の弟子と友人との再会

 エルの住んでいる町は城壁に囲まれている。


 城門に着いたら。門番の人たちが馬のいない馬車にびっくりして集まってきたが、事情を話してエルの知人だと分かったら通してもらえた。


 まあ、普通に『勇者』だと名のったら全てフリーパスなんだけど、あまり職権乱用するのも気が引けるからね。


 ジオ様には城門に着く前にベビーベッドに入ってもらっていた。

 乳児が普通に御者台に座ってたらさすがにびっくりするよね。


 結局、御者台にベビーベッドを二つ並べてしまった。

 やっぱり家族がいつも隣にいてくれた方が嬉しいもんね!




 エルの旦那様はこの領地の領主なので、屋敷は町の中心にある。


 魔動馬車で町の大通りを進むと、町の人々はみんな驚いて、注目を集めていた。



「わあ!みんな身軽そうな服装だよ!」


 この地域は王都より温暖なので、町の人たちはわりと露出度の高い服装をしている。


(少し目のやり場に困るな)


「でも、かわいい!私も後で着てみようかな?」



 通りを進んで行くと、領主の屋敷に到着した。


 門を入り、魔動馬車を玄関前のロータリーに停車させると、玄関からエルが飛び出してきた!


「ララ!久しぶり!」


「エル!元気だった!」


 私は魔動馬車の御者台から飛び降りて、エルとヒシッと抱き合った。


 ・・・ん?


 抱き合ったエルのお腹に違和感を感じた。


「あれ?エルもしかして!」


「あ、わかっちゃった?そうなんだ、あたしもやっと赤ちゃんができたのよ!」


 抱き合った時、エルのお腹がほんの少し膨らんでいたのだ。


「おめでとう!エル!」


「ありがとう!ララの赤ちゃんも早く見せて!」


「ちょっと待ってて!」


 私は魔動馬車に戻ってジオ様をスリングにいれ、ルルをベビーベッドごと引っ張って来た。


 浮遊式のベビーベッドは、そのまま、魔動馬車の外でも浮遊ベッドとして使えるのだ。


 動力源としている魔結晶の魔力が切れると浮遊しなくなるが、私が魔力を足していれば問題ない。



「この子たちだよ!ベッドで寝てる子がルルで、私が抱いているのがジオだよ!」


「わあ!そっくり!それにしても、ジオって、旦那の名前つけたの?」


「うん、ジオ様にそっくりでしょ?」


 私はジオ様を持ち上げてエルに近づけて見せた。


「まあ、二人ともジオ様にそっくりだけど・・・確かにこっちの子の方が、表情までそっくりね」


 ジオ様は、赤ちゃんぽく見せようとしてはいるが、基本無表情だ。

 どうしても少し大人びて見えてしまう。


「ははは、確かにジオは赤ちゃんにしては大人びてるよね。ルルの方はほとんど寝てばっかりなんだけどね」


「でもこの子の方が少し優しい顔をしてるかもね」


「あっ!わかる?そうなんだよね、慣れてくると結構顔の違いってわかるんだよ!」




「あ、いつまでも立ち話でごめん!中に入ってよ」


「魔動馬車を寄せてくるからちょっと待ってて」


 私は魔動馬車を玄関の脇に寄せて屋敷の中へ入った。





「あの馬車、どうなってんの?馬も無しで」


「魔法で動くんだよ。今回の旅のために作ったんだ」


「へえ、便利そうだけど、きっと買おうと思ったらとんでもない値段するのよね?」


「うん、普通に買おうとすると、とんでもない事になるみたいだよ」


「まったく、そういうところも相変わらずね」




 ルルは相変わらず眠ったままなのでベビーベッドでそのまま寝かせておいた。


 ジオ様は起きているが、ルルの隣に寝かせる。


「それにしても幸せそうね」


「うん、今とっても幸せだよ!」


「そう、それは良かったわ」


 エルは、優し気に、だけどほんの少し悲し気に微笑んだ。

 エルにはジオ様の事は話していないから、私が無理してると思ってるんだろうな。


 ・・・いつか本当の事が言えるといいな。




「そうそう、前にララの弟子たちが来て、この町を救ってくれたわね。遅ればせながらありがとう」


「私は何もしてないよ」


「あの弟子たちを育てたってだけで大そうな功績よ!」


「あはははは!あの子たちは勝手に育って勝手に強くなったんだよ!」


「でも、あのゲンって子にとって、あんたは女神様みたいなもんじゃないかな?」


「さすがにそれは無いよ!それに、今はかわいい彼女もいるからね」


「そうそう!シアちゃんだっけ?かわいい子だよね!あったばかりの頃のララみたいだったよ!」


「同性の私でもきゅんとして抱きしめたくなっちゃう可愛さだもんね!」


「そういうとこも含めてあんたそっくりって言ってんだけどね。自分の可愛さ理解してないよねララって」


「あははは、私にはシアちゃんやアン殿下みたいな守ってあげたくなるようなかわいらしさはないよ!」


「まあいいわ、でもあの二人、奥手なララ達と違って情熱的よね。うちに泊まった時も夜はかなりお盛んだったみたいだし!」


「え?そうなの?」


 ゲンは正式に婚約するまではシアちゃんとそういう事はしないって言ってたけど・・・


「うん、ベッドが汗でぐっしょりになるくらい激しい夜を過ごしてたみたいよ!あたしもそれに触発されて、あれから更に毎晩旦那と激しく愛し合ってたら、めでたく子宝を授かったから、ある意味彼らのおかげよね!」



 へぇ!そうだったんだ!


 ふたりは既にそんな関係に進展してたんだ!


 ゲンってばカッコつけて、あんな事言ってたけど、きっとここに来た時に旅行の高揚した気分で一線を越えちゃったのかな?


 シアちゃんの方はむしろそれを求めてたみたいだし、堅物のゲンもついに我慢の限界を越えちゃったか!


 今度会った時に色々聞いちゃおうかな?


 でもゲンはすっとぼけそうだから、シアちゃんと二人の時に聞いた方がいいかな?


 そうだ!今度シアちゃんをお風呂に誘って、成長したシアちゃんの体を堪能しながら、ゲンとの初体験を聞き出しちゃおう!



「・・・ララ?・・・さっきからスケベなオヤジみたいな顔になってるよ」


(ララ、そういう事はそっとしておいてやれ)




 ・・・ジオ様とエルに同時につっ込まれた。


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