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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 静慮の魔女
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3話 勇者の弟子と馬車製作

 私たちは家族三人で長期の旅に出る事になった。


 そのためにいくつか準備をする事にした。


 何しろ表向きは母親一人で赤ちゃん二人を抱えての旅なのだ。

 確かに普通はそんな事しないだろうな。




 長旅と言えば、やはり馬車が必要だろう。


 転移魔法陣もあるのだが、転移先の場所が限定されるので、魔法陣から数日の移動が必要になる場合もある。


 赤ちゃん連れで移動するにしても街中や人目がある街道ではジオ様が自分で歩く訳にはいかない。


 色々考えると馬車があった方が都合がいい。


 野宿も快適になるしね!

 まあ、赤ちゃん連れで野宿する事って、普通は無いんだけど。


 でも、馬の世話はそれなりに手間がかかる。

 今回、大人は私一人なので、あまりそちらに手間と時間を取られたくない。


 そこで私はギムさんに相談して、魔力で動く馬車を作る事にしたのだ。




「まあ、附加装備の技術の応用で作れない事もない。莫大な予算と魔結晶が必要だから普通はやらんがな」


 ギムさんに聞いたら過去にもそういう依頼はあったそうだ。

 ただ、予算の問題とか、魔力供給の問題とかいろいろあって頓挫したらしい。


「お金と魔結晶はいくらでも使って大丈夫です」


「お嬢ちゃん、王室よりも金持ってんじゃねえのか?」


 最近魔物の出現が増えたせいで、勇者の私は使いきれないほどのお金と魔結晶が手に入ってしまったのだ。




 さて、馬車の仕様を考えようかな。




 サイズはあまり大きすぎても小回りが利かなくなるから、一般的な馬車の大きさで、長さは少し長くてもいいかな?


 馬がいないから馬を含めた長さで部屋を広くしちゃおう!


 室内はベッドにもなるソファーと、丈夫なベビーベッドが二つ。


 部屋が広くなったからトイレとお風呂も付けちゃえ!

 お湯は魔法で出せるしね。

 簡易キッチンも付けられるかな?

 食材を保管しておく保冷庫もいるよね。


 馬の手綱も必要ないから御者台もガラスで囲んじゃおう。

 これで雨が降っても御者が濡れる事が無くなるよ。

 まあ、御者は私だけど。

 

 躯体の材質は木材だけど、魔物の襲撃に備えて丈夫にしたいよね?

 ルルを一人で待たせる事もあるかもしれないからね。


 金属にしてもいいけど重たくなると車輪が地面にめり込むかもしれないし、前にギムさんが言ってた木材に魔結晶を浸透させて、破壊できない処理をするのって馬車のサイズでもできるのかな?


 万が一に備えて中級の魔物に踏まれても平気なくらい丈夫にしておかないと、ルルの身に何かあったら大変だからね。

 材質の強化に加えて防御特性も附加しておこう。

 まあ、完成したら結界魔法もかけるけどね。


 窓ガラスも特性附加して防御力を上げておかなきゃね。

 物理防御と魔法防御、両方かけちゃおう。

 これで、弓矢や貫通系の魔法で攻撃されても大丈夫だよ。


 車輪に自己回転特性を附加して、御者の意志で速度を変えられる様にしなきゃ。


 進行方向を変えるために車輪と地面の摩擦を自在に変えられる特性も附加しよう。

 普通の馬車は馬が向きを変えればそっちに引っ張られていくけど、この馬車は馬がいないから自分で向きを変えなきゃいけない。

 直進する時は直進方向に力を伝えて、方向を変える時は角度を変えて力を伝える様にして、その時は横方向の摩擦を軽減させて、これも御者の意志で制御できる様にしないと。


 これ、上手く使うと砂地や泥道の走行性も良くなるよね。

 あれ?もしかして水の上でも走れるのかな?


 うん、地面に合わせて車輪表面の摩擦特性、力伝達特性、反力特性をうまく調整できる様にしたら、水面にも対応出来そうだよ!


 ん!ここまで出来たら別に車輪じゃなくてもいいんじゃないかな?


 そりみたいな形でいいのかな?


 あ、でも見た目がただの小屋になっちゃうからやっぱり外観的に車輪は残そう。


 今回作るのはあくまでも『馬の無い馬車』だからね!


 でも、乗り心地を考えて、車軸と躯体は浮遊させて、地面のでこぼこの振動が部屋に伝わらない様にしちゃおう。

 これで悪路を走ってもルルが快適に眠れるようになるよ。


 動力源には中級の魔物の魔結晶を複数入れておけば大丈夫だよね?

 多分一個あれば隣の国まで行けると思うけど。


 魔力は私とジオ様で補給するから全然問題ないし。




 うん、大体こんなもんかな?




 私はまとめた仕様書をギムさんに見せた。



「お嬢ちゃん、こりゃすごいな!本気でこれを作るのかい?」


 ギムさんは仕様書を何度も読み返してから私に尋ねた。


「うん、技術的に無理なところってありますか?」


「お嬢ちゃんがしっかり考えてくれてるから技術的には問題ないんだが、画期的なアイデアが盛りだくさんだな。これ、別の商品に利用して金儲けもできるぞ。そもそもこの馬車自体がとんでもない発明だ」


「私はこれが一台できればそれでいいので、同じものを他に売ってもいいですし、アイデアを別の商品に流用してもかまわないので、あとはギムさんにお任せします」


「いや、そうはいかねえよ、その時はお嬢ちゃんにもアイデア料は支払うさ」


 お金には困ってないから別にアイデア料はいらないんだけど。


「しかしこりゃ、王室御用達にしてもおかしくない代物になるぞ!っていうか、王室以外にこんなもん購入できる予算持ってるとこは無いだろうな」


「とりあえず、どれくらいの期間で作れますか?」


「材料は大体揃ってるから半月ってとこかな?」


「じゃあそれでお願いします!」




 半月後には出発できるかな?


 時期的にはちょうどいいかも?


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