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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第2章 静慮の魔女
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2話 勇者の弟子と魔女探索

 例の女性を見つけるにあたって、これまでの彼女の出現場所から傾向を再調査する事になった。



 調査はレンとルナを中心に、セナ様たち魔法庁のスタッフが全面的に協力してくれた。



 今日はその調査結果の報告会だ。


 魔法庁の会議室に、レンとルナ、セナ様、それに私とジオ様がいる。


 今日はルルはレィアさんに預かってもらっている。




「では、調査結果を報告するよ」


 レンが、資料を貼り出した。


 この国を中心に周辺数十ヶ国が描かれた地図だ。

 そこに、色分けした点が無数に描かれている。


「黒い点が過去十年間の中級以上の魔物の出現場所だよ。赤い点は例の女性が魔物の出現を予告するために現れた場所」



「これは!」



 地図上の黒い点は、蛇の様にうねりながら帯状に決まった経路上に集中していた。

 これまでにも魔物の発生頻度が高いと言われている地域が大体含まれている。

 赤い点も、大体この帯上に配置されている。


 国土が広いために、この国での発生数は他国に比べて多い。

 逆に、国土が狭く、この帯から外れた場所にある国は発生頻度が極めて低い。


「魔物の発生地点を描き込んでいくと、このような帯状になる事は以前からわかっていた。ただ、この帯のどこに、いつ魔物が出現するのかという事は、規則が無いと考えられていた」


「そして、これを一カ月ごとに集計し直したものがこれ」


 レンは何枚もの資料を順番に並べていった。


 一月単位で見ると、先ほどの帯の何カ所かで、毎月数回の魔物の出現が記録されているのが分かる。


「一見不規則に見えるかもしれないけど、月ごとの出現位置を順に追ってみて」


「あれ?もしかして?」


「さすがララ、気がついたね」


 月ごとに順番に見ていくと魔物の発生位置が帯をたどって移動しているのだ。


 発生周期がバラバラで、月によって発生個所の数も変わっているのでわかりにくいけど、いくつかのグループに分かれて帯の上を移動しながら不定期に魔物を発生させている様に見えるのだ。


 何より、赤い点、例の女性はそのうちの一つ、最も発生頻度の高いグループと一緒に帯上を移動していたのだ。


「すごいじゃない!レン」


「僕だけじゃなくみんなの功績だけどね。でもこれで、今までよりも魔物の出現を予測しやすくなった」


「帯と関係なく、全く別の場所や、違うタイミングで出現する事が無いわけじゃないけどね。でも計画的に対策や、討伐計画がたてやすくなるよ」


 セナ様は、ゼトさんたちと国全体の防衛計画の管理もしている。今後の計画に大きく影響が出る情報だ。


「何よりこれで、例の女性の足取りに先回りも可能になるじゃない!」


 例の女性は帯に沿って移動している事がわかったのだ。この後どの辺に移動しているのか、これでだいぶ絞り込めるようになった。


「移動の速度や、出現の周期が一定じゃないから正確には予測できないけど、根気強く張り込んでいけば遭遇できる可能性は出て来たね」


「基本的には情報を伝えるために、人のいる場所に現れますから、場所はある程度限定されます」


 ルナの言うとおりだ。例の女性は必ず人里に現れるのだ。


「つまり、例の女性の次の出現場所を予測して、それらしい村や町に予め張り込んでいればいつか会えるって事だよね?」


「そうなんだけど、まだ偶然遭遇できる確率はそれほど高くないよ」


「でも、今はそれしかないよね?気長にやってみるよ」


「ちょっと待って、ララが自分で張り込む気なの?」


「うん、これは私が直接会わないと意味が無いからね」


 例の女性は認識阻害の魔法を使っている。私以外では捕まえて話を聞くのは難しい。多分有益な情報を入手できる事は無いだろう。

 何しろ相手は『魔女』だからね


「長期滞在する事になるんだよ?ルルちゃんはどうするの?」


「もちろん一緒に連れて行くよ。私もルルと離れたくないもん!」


(俺も一緒に行く)


「もちろんジオ様も一緒だよ」



「はあ、赤ちゃん二人連れて流浪の旅をするつもりなの?」


「うん!なんか楽しそう!」


「楽しそうじゃないってば!」


(俺もルルの世話は一通り出来る様になったし大丈夫だろう)


「ジオ様も手伝ってくれるって言ってるし、大丈夫だよ」


「もう、ララってば言い出したら聞かないんだから」




 私は資料から、例の女性の次の出現場所を考察した。


「最新の情報から推測すると、例の女性の出現予定ルートは一月後には一旦この国をかすめて、その後はしばらく他の国を回っていく感じだね、でもコースが蛇行してるから、その後も時々この国には帰って来るんだ?」


「まあ、そうだね。数カ月に一度はこの国を通る感じだね」


「ええと、最初にこの国をかすめる場所は・・・あっ!ここってエルの住んでる領地のあたりじゃない!丁度良かったよ!」


「あはは、さすがララちゃんだね、もう行動起こす気になってるよ」


「セナ様、笑い事じゃないですよ!」


「エルに会うの久しぶりだなぁ、楽しみだよ!」


「ララ、完全に旅行気分になってるだろ?」


「いいじゃない!楽しみながらだって」




 これから、家族三人で世界旅行の生活かぁ!なんだか楽しい事が起こりそう!




(ララ、本来の目的忘れてないか?)


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