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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第二部 魔女の軌跡 第1章 勇者の子育て
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11話 勇者の弟子と弟子の旅立ち

 ゲン達三人が『上級冒険者』の昇級試験に挑戦している。


 先日の魔物の大攻勢の際に大量のポイントを稼いだ結果、ありえない短期間で上級冒険者の昇級試験の受験資格を獲得してしまったのだ。


 今日はその実技試験があって、三人とも試験を受けに行っている。




 あの三人の事だ、実技試験は確実に合格するだろう。




 ところが私とした事が、祝賀会の準備をしていなかった。

 子育てや、例の女性の件で、弟子のスケジュールの把握が疎かになっていた。


 愛弟子たちのイベントの度に欠かさず祝賀会をしていたのだ。

 こんな大事なイベントを逃すわけにはいかない。



「シィラ!急いで準備して!夕食までに飾りつけも終わらせるのよ!」


「はい、ララ様。料理の下ごしらえは済ませてあります」




 丁度準備が終わった時にゲン達が帰って来た。


「合格おめでとう!!!」


 ゲン達が玄関から入ってきたところを盛大に出迎えた。



「・・・まだ何も言ってねえし・・・それに面接が残ってる」


 ゲンは相変わらずノリが悪い。


「でも実技試験は合格でしょ!陛下の面接なんて楽勝だから!」


「ララ先生、ゲンは合格だけどわたしたちは仮合格でした」


 シアちゃんちょっと悔しそうだった。


「仮合格って何?」


「ギリギリ合格ラインに達していなかったんですけど、今回はココさんの手伝いって事で、一時的に上級冒険者見習いになれるそうです」


「なんだ、でも実力的にはほとんど合格した様なものでしょ!気にしない気にしない!」


 三人は、今回の試験に合格して『上級冒険者』になったらココさんの国外遠征に同行する事になっているのだ。



「ララ!この料理食って良いのか?」


 今日はゲン達のお祝いにココさんも呼んでいた。


「ココさん!どうぞ!好きなだけ召し上がってください!」


「そうか!じゃ、遠慮なく!」


 ココさんはすごい勢いで料理を食べ始めた。

 相変わらずココさんの食べっぷりは豪快で気持ちがいい。


「ココさん、遠征が決まったらゲン達の事、宜しくお願いしますね!」


「おう!がんばってゲンと子供作るぞ!」



 えっ?・・・今なんて?



「ちょっ!ちょっとココさん!? 何言ってるんですか?」


 ・・・なんでそんな話になってるんだろう?


「ゲンが実技試験であたいに勝ったんだ。あたい、自分より強い男がいたらそいつの子供を産もうって決めてたんだ!」


「ココさん!何言ってるんですか!ゲンにはシアちゃんがいるんですよ!」


「おう!だからあたいはシアの次でいいって言ったんだが」


 ・・・順番の問題とか、そういう事ではないと思う。


「ララ先生!ココさんがひどいんですぅ」


 シアちゃんが涙目でやって来た。


「ゲン!ゲンからもはっきり言ってあげて!」

 

 私はゲンを呼んだ。


「ココさん、俺はシアが好きなんだ。シアの事を大事にしたい。悪いけどココさんとそういう事はしない」


 さすがゲン!男らしく決めたね!


「そうかぁ、だめかぁ」


 ココさん、結構本気でがっかりしてるみたい。


「ココさん!そういうのはちゃんとココさんだけを大事にしてくれる人を見つけないとだめですよ!」


「そうは言ってもなぁ!あたいより強い男なんて滅多にいないし・・・あとはジオぐらいしかいないぞ!」


「ジオ様はダメです!私専用ですから!」


(・・・ララ、何を言っている)


 傍で聞いていたジオ様が顔を赤くして私につっこんだ。


 はっ!私ってば、ついむきになって・・・


 ・・・でも、確かにココさんより強い男性って言ったら、『勇者』ぐらいしかいないかもしれない。



「だけど、ココさんって、むかし子供を産んだ事があるんですよね?」


 シアちゃんがココさんに問いかけた。


「え!ココさん、子供がいるんですか?」


 その話は初耳だ!


「おう、記憶を無くす前に子供を産んだ事があるって事だけ思い出したんだ!」


「ええっ!そうだったんですか?相手はどんな人ですか?お子さんはどうしてるんですか?」


「相手の男とか子供の事は全く思い出せないんだ」


 そうだった・・・ココさんは昔の記憶がないんだった。


「でも、ココさんより強い男性が他にもいたっていう事ですよね?」


 シアちゃんの言うとおりだ。一体どんな人だったんだろう?


「ええと、そうすると、ココさんのお子さんもどこかにいるかもしれないって事?」


「おう、記憶を無くす前だから15年以上たってるけどな!」


 ココさんと、ココさんより強い男性の間に生まれた子供か・・・なんか、とんでもない人物に成長してるんじゃないかな?


「記憶が全くないから探しようがないけど、まあ、生きていればいつか会えるさ!」


「そうですね、私もちょっと会ってみたい気がします」


 そんなすごい人物なら、世間で話題になってるんじゃないかな?

 そういう人を当たって行けば意外とすぐに見つかるかも?



「あ、そうだ!話がそれたけど、ココさん!そういう事だからゲンの事は諦めて下さい!」


「そうだな、しかたないか。諦めよう」


 ココさん、やっと諦めてくれたみたい。




「ココさん!僕がすぐにココさんより強くなりますから!」


「おう!キア、期待してるぞ!」


「だから、とりあえず仮合格って事で、先に子作りを・・・」


「それはないぞ!」


「ええっ!そんなぁ」


 キア君がココさんに勝つにはまだ当分かかるかな?




 翌日の国王陛下の面接も無事にクリアし、その翌日は合格発表だ。


 三人はめでたく『上級冒険者』となった。


「ね!陛下の面接なんて楽勝だったでしょう?」


「面接っていうか、世間話をしただけだ。早く子供を見せに来いって言ってたぞ」


「あはは、やっぱり催促されちゃったか。今度見せに行くよ」




 そしてこの日は国外遠征の出発だ。


 私は冒険者ギルドまで見送りに行った。




「じゃあみんな!気を付けて行ってきてね!ココさん、三人を宜しくお願いします!」


「おう!まかせろ!」


「気を付けてね!ゲン!シアちゃんをしっかり守ってね!」


「ああ、わかってる」




 ココさんとゲン達三人は、元気に旅立って行った。




 ・・・さて、私も、本格的に『例の女性』・・・『魔女』の調査を始めよう。


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