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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第二部 魔女の軌跡 第1章 勇者の子育て
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9話 勇者の弟子と予見の女性

 私たちはとりあえず村で情報収集する事にした。



「おお!勇者様、ようこそいらっしゃいました!」


 村に入ると村長さんが出迎えてくれた。


「なんと!その赤子はもしかして勇者様のお子さんですか?」


「はいそうです。今日は訳あって連れてきちゃいました!」


 村長さんと村の人々はジオ様に釘付けだった。


「なんとめんこい赤子じゃのう」

「ほんと、こんなかわいらしい赤ちゃんは初めて見ましたわ!」

「勇者様が赤ちゃんを連れてるって?」

「どれどれ、勇者様のお子さんを見せておくれ」

「勇者様の赤ちゃんがいるの?見せて見せて!わぁ!かわいい!」



 次々と村人が集まってきてしまった。


 ジオ様はいつものきりッとした表情ではなく、赤ちゃんっぽいぽやっとした表情でにこにこしていた。


 ・・・ジオ様、だんだん赤ちゃんの演技上手くなってきています。



「立ち話も何ですから、わしの家に上がってください」


 村長の家に入れてもらった。



「まあ、お茶でもどうぞ」


 お茶まで出してもらった。


 ジオ様は話が聞きやすい様に、私の膝の上に座らせた。


「なんと、そんなに小さいのにもう首が座っておられるのか?」


 しまった!生後一ケ月では普通はまだ座らせるは無理だったっけ?

 ルルの方はいつも寝てるから座らせようとか考えた事もなかった。


「はい!この子は首が丈夫なんです、何と言っても勇者の子ですから!」


「ほお!さすが勇者様ですな!お子さんも特別なのですな!」


 適当な事を言ってごまかしてしまった。




「それで本題ですが、『中級の魔物』の目撃情報があったそうですね?」


 いろいろボロが出る前に話を逸らそう。


「はい、ここから森に入って数時間行ったあたりで、『中級の魔物』を目撃したと、昨日、旅の女性が教えてくれました。村の自警団で調査に行ったら、確かに大きな魔物の移動した跡を発見したのです」


 やはり『あの女性』か。


「旅の女性はどうされました?」


「先を急いでいるとかで、すぐに旅立たれました」


「どんな女性でしたか?」


「それが・・・わしも、一緒に話を聞いた村人も、後で思い出そうとしたら、女性の顔も姿も思い出せなくなっていたのです」

 


 間違いない。例の女性だ!


 認識阻害の魔法を発動している。



「その女性とはこの家でお話をされたのですか?」


「はい、まさに今勇者様が座ってらっしゃる椅子に座って頂いて話を伺いました」




 しめた!残滓が読み取れるかもしれない。




 私は密かに魔法を発動した。

 場所や空間、そして物から、過去の情報を引き出す魔法だ。 


 この家のこの場所、そしてこの椅子と、環境がそろえば揃うほど、明確な情報が引き出せる。

 しかも一日前なら、まだ明瞭な情報が得られるかもしれない。




 私の脳内に昨日の情景が浮かび上がった。


 私が座っている椅子に、例の女性が座っていた。



 私は立ち上がってテーブルの反対側、村長さんの隣に移動した。


「どうされました?勇者様?」


「申し訳ありません、少しの間静かにお願いします」


 村長さんに話しかけられたが、悪いけど少し待ってもらう。


 これだけ環境が整っていれば、脳内イメージを実際の風景に重ねる事で、より鮮明な情報として認識できるのだ。




 私が座っていた椅子に座っている女性を・・・私は知っていた。




「すみません、魔物の気配を感じたもので索敵をしておりました。魔物が見つかりそうな気がしますので早速討伐に向かいます」




 私は村長さんにお礼を言って村を出た。




(どうした?ララ)

 

「ジオ様!ジオ様のリハビリのつもりが思わぬ収穫がありました!」


「『例の女性』の件、何か分ったのかい」


 レンは私が何か掴んだと気が付いていた様だ。

 私が魔法で調査をしていた事は当然レンなら気が付いていただろう。 


「はい、『例の女性』の正体がわかりました」


「何だって、いきなり正体がわかったのかい?」


「ええ、だって私の・・・いえ、『強欲の魔女』の知り合いでしたから」


「『強欲の魔女』の知り合いって・・・ララ、それじゃあ、やっぱり・・・」


 ルナも気が付いたみたいだ。


「そう、『例の女性』は・・・やっぱり『魔女』でした」


(魔女か・・・知ってる魔女なんだな?)


「はい、ジオ様、過去の『強欲の魔女』と面識があります」




 魔女には横の繋がりがない。


 基本的に、魔女は他の魔女の事には関心がない。

 常に一人で行動し、他の魔女と共同で何かをする事など無く、わざわざ会いに行く事もない。


 たまに敵対関係になる事がある程度だ・・・


 だが、過去に『強欲の魔女』はその『魔女』に会った事がある。


 少なからず因縁があったという事だ。




(ララ、その魔女とは一度話をした方が良さそうだな)


「はい、以前にも一度出会っているのですが、その時は私はまだ覚醒前だったので、お互いに気が付かずに別れてしまいました。でも今なら、会えば向こうもわかるはずです」


(素直に会ってくれるのか?)


「彼女のこれまでの行動を考えると捕まえるのは難しいでしょうね。でも、確認したい事がたくさんあります。なんとかして、捕まえて話を聞きたいです」


(当面の目的はそれになるか)




「ララ!ジオ様!魔物を発見しました!」




 その時、ルナが魔物を見つけた!


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