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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第二部 魔女の軌跡 第1章 勇者の子育て
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7話 勇者の弟子とママ友

 今日はレィアさんがお子さんを連れてきてくれる日だ。


 レィアさんは産後の回復が遅くて、ようやく外出できる様になったのだ。


 私は何度かお見舞いに行ったのだが、子供同士が対面するのはこれが初めてとなる。


 当然ジオ様もだ。




「よお!嬢ちゃん!連れて来たぜ!」

「ララさん、お久しぶりです」


「レィアさん!もう元気そうですね!」


「ええ、わたくしも、いつまでも休んでいられませんから」


「嬢ちゃんが異常なだけだ。お前はもう少しゆっくりしてろ」


「そうですよ!赤ちゃんとの時間を大事にしてあげて下さい」


 私が言っても説得力無いかな?

 でも、ルルが起きてる時はほとんど傍にいるからね!




「ひさしぶりだな、ジオ」

「お久しぶりです。ジオ様」


 ゼトさんとレィアさんがジオ様に挨拶をした。



 ジオ様がゆっくりと頷いた。


「すまなかったな、一人でこんな事になっちまって」


 ゼトさんは本当に申し訳なさそうだった。


(ララ、気にするなと言ってくれないか?)


「はい!ジオ様」


「ゼトさん、レィアさん、ジオ様は気にしない様にと言っています」


「そうか、嬢ちゃんとだけは話せるんだったな」


「はい!ジオ様も私も、今の生活をそれなりに楽しんでいます。お二人が気に病む必要なんて全くないんですよ!」


 ジオ様も、うんうんと頷いていた。


「嬢ちゃんの幸せそうな顔を見れば本心でそう思ってるってのがわかったよ。良かったな!ジオ!幸せな家庭が手に入って!」


 ジオ様は少し赤くなって照れ笑いしていた。


 私はそんなジオ様をぎゅうっと抱きしめた。


「はい!私達、今がとーっても幸せなんです!」





 そして、レィアさんの腕の中には、赤い髪に赤い瞳のかわいらしい赤ちゃんが抱かれていた。


「嬢ちゃんは何度か会っていると思うが、この子がレィナだ!」


「わぁ!この前見た時よりも顔つきがはっきりしてきましたね!レィアさんそっくりです!」


「そうだろそうだろ!うちのレィナはむちゃくちゃかわいいだろ!」


「はい!とってもかわいいです!ジオ様もかわいいって言っています!」


 ジオ様が、うんうんと頷いた。


「それにしても、レィナちゃん、大きくなりましたね!」


「ああ!なんせこのでかさだ!母乳の量が半端ないからな!時々溢れすぎでレィナがおぼれそうになって・・・」


 ごぎゃ!


 あっ!レィアさんの裏拳がゼトさんの顔面に!


 久々に見ました!



 ・・・それにしても・・・私も結構増量しているはずなんだけど・・・


 レィアさんの大きさは・・・


 確かに一人で飲み切れる量じゃないよね?




 次はルルの紹介だ。


「この子がジオ様と私の子、ルルです!」


「おお、ジオそっくりだな!」

「ほんとですね!双子にしか見えません」


「えへへ、かわいいでしょ!」


「こりゃ将来ジオそっくりのイケメンに成長して大変な事になるな!」

「本当に、将来が楽しみですね!」


 ルルはあいかわらず眠ったままだが・・・




 次は子供同士の対面だ。


「ルル、レィナちゃんにはじめましてしようか?」


 私はルルをレィナちゃんに近づけた。


 すると、ルルは、ぱちっと目を開けた。


「おっ!ルルちゃんが起きたな」


「まあ、ルルちゃんは目が開くとさらにかわいいですね。少しララさんの面影もあります」

「そうだな、これはどちらがかわいいか優劣つけがたいな」


「はい!二人とも、とーってもかわいいです!」



 ルルとレィナちゃんはお互いに目を見開いて見つめ合っていた。



 そして同時に笑い出した。


 お互いの方に手を伸ばしてぱたぱたしている。


「おっ!意気投合したみたいだぞ!」


「もう少し近づけてみますね!」


 私はルルをレィナちゃんと手が振れる距離まで近づけてみた。


 二人は指が触れるとさらにきゃっきゃきゃっきゃと喜び始めた。


「本当にお互いが気に入ったようですね」


「こりゃいいや!いっそのこと許嫁にしちまうか!」


「仲良くなれそうですけど、そういうのは本人達に決めさせないとダメです!」


「そうですよ!親の思い通りになんてならないものです!」


「あっはっは!冗談だよ冗談!」


「でも二人が仲のいい幼馴染になるのは間違いなさそうですね」

「はい!できるだけ一緒に育てましょう!レィアさん!」

「わたくしからもお願いします。実は一人で心細かったのです」

「えっ?レィア様がですか?」


「・・・はい、わたくしと同年代の友人たちは皆、ずいぶん前に子供を産んでいて、今一緒に共感してくれる友人が身近にいなかったのです」


「あ、わかります!私も友人たちはまだ子供がいないので、おんなじです!」


「ララさん、もしよろしければ、時々こうやって子供を会わせに来てもいいでしょうか?」

「もちろんです!こちらからもお願いします!」

「ありがとうございます!ララさんと一緒に子育てできると思うと安心します」

「私もです!レィアさん!」


「良かったな!レィア!念願のママ友が出来て!」


「はい、これで少し不安が解消しました」




 レィアさんほどしっかりした完璧な人でも子育ては不安になるんだな。



 私ってば嬉しさばっかり先行して、子育てに対する不安とか、子供の将来の心配とか全然してなかった。

 いや、気にしていなかったわけじゃないんだけど、何とかなるかなって、お気楽に考えすぎていた。


 母親ってもっと、いろんな事を心配して、不安をいっぱい抱えるものだったんだ。


 ・・・まだまだ、母親して未熟だったな。



(・・・ララ、それ、多分違うぞ・・・)



「えっ?ジオ様?どういう事ですか?」




 ジオ様からの突っ込みの意味がよく分からなかった。


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