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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第二部 魔女の軌跡 第1章 勇者の子育て
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1話 勇者の弟子と出産の翌日

第二部の連載開始します。

 ジオ様とルルを出産した翌日は、弟子のゲンに朝練に付き合ってもらった。




 ゲンは妊娠中に『剣聖』の弟子にしたイケメン男子だ。

 剣術が大好きで、まじめで優しい、良く出来た自慢の弟子だ。


 最近シアちゃんっていう、とびっきりの美少女と両思いになったばかりだ。




「妊娠中は運動不足ですっかり体がなまっちゃったからね!今日からは全力で行くよ!」

「いや、師匠、妊娠中も結局昨日まで結構ハードに朝練やってたじゃねえか?」

「あれはちゃんと控えめにしてたんだよ?おなかに子供たちがいたんだからそんなに無理は出来ないよ」


 激しく動いたらジオ様とルルがびっくりしちゃうからね。




 ジオ様との間に出来た子供はジオ様がルルっていう名前を付けてくれた。

 私と似た名前がいいと思って考えていたら、ふっと降りて来たそうだ。




「じゃあ、いくよ!」


 出産の翌日だが、いきなりフルスロットルでいってみた。


 昨日までとは嘘のように体が軽くなったので、出だしの加速が違う。

 踏み出しから、切り込むまでの間が今までよりも早い。


 ゲンは即座にタイミングをワンテンポ前倒しにして対処してきた。

 さすが!自慢の弟子だけの事はある。

 戦いに対する勘がいい!


「さすがゲンだね!今の間合いに即座に対処できたね!」

「今までと別次元じゃねえか!」

「あはは!まだまだ行くよっ!」


 おなかに子供たちがいなくなったので、おなかへの負担を気にする必要が無くなった。


 遠慮なく、急加速や急激な方向転換、体のひねりや、宙返りも含めて、縦横無尽な攻撃が可能になった。


「更に速くなるのかよ!」

「うん、思った以上に体が軽くなったよ!」


 更に速度を上げてみたら、さすがにゲンがついてこられなくなった。


「師匠!もう無理だ!」

「あはははは、ごめんごめん、つい調子に乗り過ぎちゃった」


「・・・師匠に追いつくどころか更に差が広がってるじゃねえか!」


 ゲンの言う通り、妊娠前の自分より明らかに強くなっているのを感じた。


「妊娠状態で鍛錬を続けてたのが思った以上に効果が有ったみたいだね」



 やはりハンデを付けて訓練すると効率が上がるらしい。



 妊娠中は単なる体重増加に加えて、おなかの赤ちゃんに負担をかけない様に行動を制限する必要があった。


 でも、おなかに負担をかけずに、尚且つパフォーマンスを落とさない戦い方を徹底して追求して来たおかげで、今まで以上に無駄のない効率的で繊細な身体制御が出来るようになっていた。


 その上で昨日までの行動の制限を撤廃した結果、より高次元の剣技を身に着ける事が出来たのだ。


「ゲンも強くなりたかったら妊娠して鍛錬すればいいんだよ!」


「・・・出来るわけないだろ!」


「あはは!そうだよね。ゲンはシアちゃんを妊娠させる方だもんね!」


「それはまだずっと先の話だ!」


 ゲンは真面目でからかうと面白いから、ついからかいたくなっちゃうんだよね。




 昨日はゲンにいきなり告白されてびっくりしちゃった。


 まさかゲンが私に恋愛感情を抱いていたなんて思いもしなかった。


 まだ13歳だし、剣に夢中だったし、シアちゃんとちょっといい雰囲気に見えてたし・・・


 そんな素振りは微塵も見せなかったけど・・・ゲンの性格を考えたら完璧に隠そうとするよね。


 そうとは知らずに、結構無防備な接し方しちゃったから、ゲンも大変だっただろうな。


 でも欲望に負けて私に変な事せずに我慢したのはさすがゲンだよね。


 私が見込んだ自慢の弟子だけの事はあるよ。


 でも、昨日、私の事は青春の甘酸っぱい思い出として心の奥にしまって、これからはシアちゃんの事を一番大事にするって誓ってくれたからね。

 

 私も師匠として、二人の事は目一杯応援しないとね!





「師匠、出産後ってのは体にダメージが残ってるんだろ?、しばらくの間休養を取るもんじゃねえのか?」


 ゲンって一見するとがさつな男の子なのに、こういうところにはちゃんと気を使ってくれるんだよね。


「もう治癒魔法で全快したよ!そもそも今の私の体って勇者の仕様に準拠してるから、回復も早いんだよね」


 そう、魔女として覚醒した私の体は様々な機能が勇者に似ていた。


「・・・出産も魔法を使えばもっと楽にできたんじゃねえのか?」


「うん、多分できたけど、出産なんて一生のうちにそう何度も経験できる物じゃないでしょ?折角だから魔法を使わずに自然な出産を経験しないともったいないじゃない?」


「産後の経験はしなくてよかったのか?」


 普通、出産後は体が元通りに回復するまで時間がかかるから、ゆっくりと赤ちゃんとの時間を過ごすみたいなんだけど・・・


「さすがにこれ以上『勇者』を休めないし、今日から現場復帰するよ」


 昨日は魔物の大攻勢があって王都は大変な事になってたからね。


 後始末で今日はみんな大変なはずだから、少しでも手伝ってあげないとね。


「いや、そんなに慌てて無理しなくても、旦那と子供のために時間を使ってもバチはあたんねえと思うぞ」


 ゲンが指さした方では、最愛の旦那様とルルがベンチに座って待っていた。

 

 ルルの方は、ゲンの最愛の彼女のシアちゃんに抱っこされている。


「ゲン!ララ先生!お疲れ様です。ララ先生!すっかり回復されて元通りですね」


 ゲンの彼女のシアちゃんはゲンと同じ学院の生徒で、私の教え子でもある。

 ピンクブロンドの長くてきれいな髪に、ジオ様と同じ金色の瞳で、同性の私でもきゅんとしちゃうほどの美少女だ。

 かわいくって、まじめで、優秀な生徒である。


「ありがとう、シアちゃん」


 私はシアちゃんから息子のルルを受け取った。


「ルルちゃんはずっと眠ったままでしたよ」





 ジオ様が念話で私に話しかけてきた。


(彼はいい腕だな。ララが自慢するだけの事はある)


 ジオ様がゲンの事を褒めてくれた。


「ふふふっ、ありがとうございます!ジオ様」


 ジオ様が私の弟子を褒めてくれるのって、なんだかすごく嬉しい!




「ゲン!ジオ様がゲンは腕がいいって褒めてくれたよ!」


「・・・ありがとうございます。ジオさん」


「よかったですね!ゲン。勇者様に認められるなんて」


 シアちゃんもゲンが褒めてもらえて、自分の事の様に喜んでる。


「だが、師匠との差が更に開いているのを実感しちまった。これまで以上に鍛錬しないとな」


 やっぱりゲンは剣術に対してストイックだよね。


「わたしも手伝いますよ!ゲン」

「ああ、宜しく頼む」


 ふふっ、ゲンとシアちゃんは更にいい雰囲気になってる!



(良い弟子たちに恵まれたな)



 ジオ様にそう言われて私はさらに嬉しくなった。


週1~2話の不定期投稿の予定です。

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