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エピローグ2


「ああっ! ジオ様、すみません! ちょっと待っててもらって良いですか?」


 ララは俺を優しくベッドに寝かせると、もう一人の俺を抱き上げた。


 ・・・俺は・・・二人にわかれたのか?


「よしよし、だいじょうぶですよー、いいこですねー」


 ・・・もう一人の俺はまるで赤子のような扱いを受けているが・・・

 それでいいのか?・・・俺? 


 ララがあやし始めたら落ち着いたようで、もう一人の俺は泣き止んだ。


 ララは「よしよし」ともう一人の俺の頭をなでている。




「ジオ様、この子の事が気になりますか? 気になりますよねっ?」


 ララにしては珍しくにやにやと笑っている。


「聞きたいですか? 聞きたいですよねっ?」


 ララは言いたくて言いたくて仕方がないみたいだ。


 とりあえずうなづいてみた。




「じゃっじゃーん! なんとこの子は! ・・・ジオ様と私の赤ちゃんです!!!」




(なんだって!!!!!)


「あはははは! びっくりしてますよねっ! 私もびっくりしました!」


(なんで俺とララに子供が出来ている?・・・いや、出来ていてもおかしくないのか?)


「最初はおなかの中にジオ様を二人作っちゃたのかと思ってあせりました!」


(ララも同じこと考えたのか)


「ほーらぼうや、パパですよー!」


 ララは俺のとなりに赤ん坊を寝かせた。


「ふふっ!こうしていると双子にしか見えないですね!」


 赤ん坊は俺と同じ黒髪だ。

 瞳の色も俺と同じ金色で、顔つきも俺に似ているのだろう。


 しかし・・・自分の子供と同じ歳になってしまったという事か?


「ジオ様、赤ちゃんをなでてあげられますか?」


 何とか頑張って手を赤ん坊の頭にあてた。

 なでるのはちょっと無理そうだ。


 しかし、俺が頭を触るとなんだか嬉しそうに口を開けた。


 自分の子が自分の事を認識している。

 しかも自分と最愛の女性であるララの間に生まれた子だ。


 なんだかくすぐったい様な不思議な嬉しさと幸福感を感じる。


「あはは!ジオ様はやっぱり頭ぽんぽんなんですね!」


 ララはいっぱい笑った。


 ララが笑っているとそれだけで俺は嬉しくなった。

 



 やがて笑いがおさまってきたらララが話し始めた。


「あの時・・・私は自分が犠牲になってでもジオ様を助けようと思ってました。私は危うくこの子まで道づれにするところだったんです。でもそんな私をジオ様は止めてくれました。そのおかげでこの子の命も助かったんです」


 ララは俺の頬に手をふれ、反対の頬にキスをした。


「ジオ様はすでに父親としての責務を立派に果たしているんです」


(ララ!)


「これから3人で一緒に暮らして行くんですよ!ふふふっ!楽しみでしかたないですっ!」


(そうだな)


「ちょっとへんてこな家族になっちゃいましたけど、子供の成長だけでなく、最愛の旦那様の成長の過程も堪能できるなんて! 私ってば幸せ者すぎませんか!?」

 

 ララは両手を頬にあてて身もだえてる・・・


(いや、そこを堪能されても困るんだが・・・)


 でも、ララがこんなに幸せそうだと俺も本当に嬉しくなる。



「そして!ジオ様には父親としての次の任務があります!」


(任務?)




「この子に名前を付けてあげて下さい!」




 子供の名前か? 自分がそんなものを考える日が来るなんて思ってもいなかった。




 俺の人生は『終焉の魔物』と共に終わる運命だった。


 結婚する事も、子供を持つ事もありえない事だと考えていた。


 だが、ララに出会ってから、全てが違う方向に動き始めた。


 ララは本来無かった未来を全て良い方向に紡ぎ出す。


 『魔女』とはそう存在なのだろうか?


 いや、違うな、『ララ』だからだ。


 ララにとっては『勇者』も『魔女』も誤差でしかない。

 

 何物にも捕らわれずに、どんな状況でもただ前だけを見て進んでゆく。


 そんな『ララ』だから俺は救われたのだ。




 そんな『ララ』と、これからも長い人生を一緒に歩んでいく事ができる。




 俺は、世界一の幸せ者だ。


 『勇者の弟子はお嫁さんになりたい!』完結です。


 最期までお付き合い頂き、本当にありがとうございました。

 楽しんで頂けたのでしたら幸いです。


 少し時間をおいて番外編や外伝を執筆する予定です。


 短編の方にも番外編を投稿しています。


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