3話 勇者様と決戦の地
「ところで黒目黒髪といったら何か思い出さないかな?」
「・・・『魔女』ですよね?」
「正解! 伝承に残る『魔女』の記録は全て黒目黒髪なんだよ」
「私って『魔女』なんですか!?」
「今は状況から判断することしかできないかな?魔法陣や呪文を使わずに魔法が使えて強力な身体強化も使える。これだけを見たら勇者と同じだね。黒目黒髪についてはそれだけでは何とも言えない。ジオ君も黒髪だし、もしかしたら他の国には黒目の人もいるかもしれない。何で突然色が変わったのかはわからないど」
自分が『魔女』だなんて考えた事も無かった。
魔法が使えないって時点で自分から最も遠い存在だったし。
「そもそも『魔女』ってなんなんでしょう?」
「魔女に関する情報なんてほとんど残ってなくて、絵本に描いてある内容と大差ないんだ。でも実在したという事実だけは公式文書にも残ってる」
セナ様は少し考えこんでいる。
「でも、ララちゃんにはいくつか他の人と違うところもある。魔力生成量や魔力容量の事もそうだし、正確な魔法陣が描ける。さらには魔法陣のアレンジも出来ていたよね?あれって偶然できるって事はまずありえないんだ・・・」
確かにそうだ。
魔法陣はどこをどう直すのが正解なのか、何となく頭の中に浮かんできていた。
「あとは・・・もしもう一つの『魔女』特徴が確認出来たら確定と言えるかもしれないね」
「もう一つの特徴って・・・『不老不死』・・・ですか?」
「そう、ララちゃんがこれから成長しなくなれば、『魔女』と考えて間違いないね」
「ええっ!私これ以上成長しなくなるんですか?」
16歳になってそれなりに大きくなったけど、まだレィア様に比べたら全然なのに!
「ララちゃん、気にするとこ、そこなの?」
自分の胸を気にしている私にセナ様が突っ込みを入れた。
私にとっては一大事なんだけどな。
「今考えても結論が出ねえなら考えてもしょうがねえだろ! 嬢ちゃんが強くなったってだけでいいんじゃねえか?」
「そうだな、今は『終焉の魔物』を対処する事を考えよう」
鍾乳洞の中を出口へ歩いている途中でジオ様が私にささやいた。
「俺はララの胸は今の大きさが一番いいと思ってる」
言った後、ジオ様は向こうを向いて真っ赤になった。
私もボンッと顔から火がでた! ・・・まずいまずいまずい! 今だと本当に火が出ちゃう!
幸いにも火炎魔法は発動しなかったが・・・
「ジオ様! 私『魔女』やります! 『魔女』になって成長止めます!」
「ララちゃん!何言ってるの?」
・・・セナ様とゼト様に爆笑された。
私たちは鍾乳洞の外に出た。
そこは鬱蒼とした森の中だった。
「ここから南に1日進むと海に出る。そこが『終焉の魔物』の上陸予想地点だ」
私たちは一日かけて海岸まで移動した。
もうすぐ日が沈む時刻だ。
「今日はここで野宿だ」
「私、食事の用意しますね」
「じゃあ俺が魚を取ってきてやる」
ゼト様が海に魚を捕りにいった。
私は木の実や海藻など付け合わせになる食材を集めた。
ゼト様が生きのいい魚をたくさん取ってきてくれたので、今日は豪勢な魚尽くしのメニューとなった。
私が夕食の下ごしらえをしているとジオ様がセナ様とゼト様に話しかけた。
「セナ、ゼト、二人に頼みたい事がある」




