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勇者の弟子はお嫁さんになりたい!  作者: るふと
第8章 終焉の始まり
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12話 勇者様と終焉の前日(午後)

 ランチの後は近衛騎士団に顔を出した。


「よお!お二人さん!どうした?二人そろって?」


 ゼト様が珍しく団長の仕事をしていた。


「今日はデートなんです」

「ははっ!デートで騎士団に来た奴は初めてだな」


「お久しぶりです。ジオ様、ララ殿」

「レィアさん!お久しぶりです」

「今日は休暇でしたよね?」

「はい!今日は一日中ジオ様と一緒に過ごすんです!」

「そうですか、それはうらやましいですね」


 レィアさん、チラッとゼト様を見た。


「明日から過酷な戦いが始まるからな。今日は思いっきり羽根を伸ばすといいぜ!」

「団長は羽根を伸ばさなくていいんですか?」

「俺は今日は一日ここにいるって決めたんだ」

「一日中団長の面倒を見なければならない私の身にもなってください」

 

 レィアさん、文句を言いながらもちょっと嬉しそうだ。




「ララが来てるって?」


 ダイさんとロンさんがやってきた。


「やあ!久しぶり!すっかり手が届かないところまで行っちゃったね!」

「お久しぶりです『剣聖様』。本当に、いきがってた過去の自分が恥ずかしいです」


 ダイさんは先日上級剣士になった。

 ロンさんは上級の試験に挑戦中だ。

 

 二人とも騎士として、ずいぶん成長したみたい。


「では次の予定があるのでそろそろ失礼します」




 近衛騎士団を後にした私たちは、最後に魔法庁に行った。


「やあ、二人とも、どうしたの?今日はデートって言ってなかったっけ?」


「はい!ここもデートコースです!」


「あ!お姉さま、いらっしゃい」

「アン、仕事は慣れた?」

「はい、セナ様が親切に教えてくれますので」

「もう僕は引退して後はアン殿下に任せてもいいんじゃないかな?」

「セナ様、殿下に迷惑かけない様に仕事はちゃんとして下さい!」


「師匠!来てたんですね」

「ミトさん、お元気そうですね」

「師匠、また魔法陣のアレンジお願いしたいんですけど・・・」

「今度落ち着いたらね」


「ララ、今日は休みじゃなかったっけ?」

「どうしたの?ララ」

「レン、ルナ、すっかり仕事慣れたみたいだね」

「二人とも優秀で助かっちゃうよ。僕はもう引退しても・・・」

「セナ様、ちゃんと仕事して下さい」


「結局ララの魔力の謎は解けないままだったね」

「役に立てなくてごめんね、ララ」

「まあ、しょうがないよ。元々無いと思ってたんだし」

「でもララちゃんって本番に強いから、まだわからないよ?」

「ははは、そこまで都合よくはいかないんじゃないかな?」


「いよいよ明日だね」


「うん、でも今日はまだまだジオ様とやる事があるんだ!」




 私たちは魔法庁を後にして、いつもの時計塔にやって来た。


「ジオ様の本音が聞けるのって、いつもここでしたね」

「ああ、そうだな。ここに来るとララについ弱音を吐いてしまう」

「私はジオ様に弱音を吐いてもらえるのって、とても嬉しいんですよ」

「カッコ悪いな」

「そんなところも好きですから」


「・・・ジオ様・・・本当はどうしたいんですか?」


「・・・今日、ララの知り合いにたくさん会った。ララは本当にみんなから好かれているな」

「ジオ様だって、みんなから尊敬されています」

「俺は、ただ漠然と、全ての人を守ろうと思っていた。みんなもそれが当然のように思っての尊敬だろう。だが、ララはきちんと一人一人と向かい合っていた」


 ジオ様は私の顔を見つめて言った。


「俺は、本心ではララだけがいれば他に誰もいらない。ララと二人で生き残れるならそれでいいと、そう思っている」


「ジオ様・・・」


「俺がそういえばララは同意してくれるだろう?」

「はい、ジオ様がそれを望むなら従います」

「だが、それではララは心の奥にずっと後悔を引きずってしまう。ララの本心はみんなで生き残る未来しかないんだ」

「それは確かにそうですが・・・」

「だから俺もぎりぎりまであきらめない事にした」

「はい、最後まであきらめません!」


「ララ・・・」

「ジオ様・・・」


 私たちは夕日に照らされながら唇を重ねた。




 屋敷に戻ると、バトラーさんとシーラさんたちメイドが全員で出迎えてくれた


「「「「「「ジオ様、ララ様、おかえりなさいませ」」」」」」


「ララ様、夕食の下準備は出来ております」

「ありがとう、じゃあ私が仕上げをやるね!」

「ジオ様、夕食の準備をしますのでしばらくお待ちください」

「ああ、楽しみに待ってる」


 今夜の夕食は私の『上級調理士』としての集大成だ。

 これまでに編み出した数々の調理方法と味付けの中で、最もジオ様の好みに合ったものを集めている。

 今朝デートの前に下ごしらえした材料を夕食に時間に合わせて準備してもらっていたのだ。


「ジオ様、どうですか?」

「うまい!これまで食べた中でも一番の旨さだ」

「ありがとうございます。頑張った甲斐がありました」

「やはりララの料理は特別だな。ララの愛情が入っているからだな」

「ジオ様!」


 ジオ様の方から言われてしまった!


「はは、愛情もそうだが、腕も本当に上達したな」

「ありがとうございます。これからもっと上達しますよ!」

「ああ、楽しみにしてる」



 食事しながらの会話は本当に楽しかった。



 そんな楽しい時間も、もうすぐ終わりを告げる。



「ララ、今日は本当に楽しかった。こんなに充実した一日は初めてだ」

「楽しんでもらえてよかったです!私もこんなに楽しかったのは初めてです」

「ありがとう。ララ」

「こちらこそ、ありがとうございます。ジオ様」




「もうやり残した事はないな?」


「はい、大丈夫です」


「そうか・・・」




「では、これから『勇者の継承』を執り行う」


夜にもう1話投稿します。

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