6.話し合い
〜ルシアン視点〜イザベラとの面会の後
一体どういうことだ?私の婚約者はリベルナ・コナリザではなかったのか?
そう思いながら部屋のドアを叩く。
「ルシアンです」
父上と母上に呼び出された。
何か知っているのだろうか?
「父上、私の婚約者ですが…」
「分かっておる。とりあえず座れ」
父上も母上も混乱した表情をしている。
もしかして、2人も知らなかったのか?
「お前の婚約者のことだが、
なぜか婚約するはずだったリベルナ・コナリザの姉の、イザベラ・コナリザだった。イザベラから何か聞いてはいないか?」
「いいえ。本人も知らないようでした」
「やはりそうか…」
そこに、ノックの音が響いた。
「レアトルクです。失礼します」
「ちょうど良いタイミングじゃ。
レアトルクにイザベラの情報を集めさせていたのじゃ」
さすが父上だ。抜かりない。
「はっ。読み上げさせていただきます。
イザベラ・コナリザ、16歳。
父親は現国王のナウダ・コナリザ。
母親は側室だったらしいのですが、詳しいことは分かりません。イザベラを産んですぐに病死したらしいです。
あと、一つ不審な点がありまして…」
「ん?何じゃ?」
「彼女は王位継承権8位です。それなのにも関わらず、他の姉妹達に比べて、
社交の場にでた数が極端に少ないのです。病弱な訳でもないのに、おかしくないですか?」
ん?なぜだ?
「たしかにおかしいな。
側室の子な上に、母親も不明ということで、虐げられていたのかもしれぬ」
「さらに、彼女の眼の色は、
一族で唯一異なっております。そして、
紫色の眼は、コナリザ王国では忌避されるようです」
あんなに綺麗な紫なのに、忌避の対象になるのか。
この国では紫色は慈悲の神イザベラの色として神聖視されているから、私からしたらあり得ない話だ。
「もしかしたら、コナリザ王家は
ルシアンとの婚約が嫌だっのかもしれぬな。それで虐げられていたイザベラが
身代わりにされたのじゃろう」
父上は勘が鋭い。
おそらくこの予想は正しいだろう。
「それにしても、報せを寄越さないなんて、随分と礼儀知らずなのですね」
普段は無口な母上が、珍しく発言する。
母上は慈愛に溢れた方なので、
イザベラが虐げられていたという話を聞いて、黙っていられないのだろう。
「わたくしが懲らしめてやりますわ。
まずはコナリザ王家への燃料や資源の輸出を止めてしまいましょう。
そしてイザベラが虐められていた証拠を
揃えて、慰謝料を請求するのです」
母上と父上は、いわば身分の差婚をした。
母上はもともと、やり手の商人で、
とにかくお金にがめつい。
しかし、お金を稼ぐ手腕は確かなので、
この国の貿易は全て母上に任せている。
幼い頃は、どんなに難しい商談でも必ず
自国に有利な条件を取り付ける母上に
憧れたものだ。
そんな母上を敵に回したコナリザ王家は、
これからどうなってしまうことか。
以前、母上に喧嘩を売った国は、
しばらくして滅んでいた気がする。
我が母ながら、恐ろしい人だ。
「ちょっと待てエリザベス。私に考えがあるのじゃ。
…ふむ、失礼なコナリザ王家に、
イザベラを虐める姉妹達。
そして我が国の英雄と一致する見た目、
とな。ふむふむ…」
父上が何か考え始めた。
父上はあのお金にがめつい母上さえも結婚に納得させたのだ。
かなりの策略家だ。
まぁ何にせよ、父上と母上を敵に回した
コナリザ王国は、ただではすまないだろうな。
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