5.謎
「ねえベッキー、王族って竜じゃないの?王様と皇后は人間だったけど」
ルシアン様との面会までの空き時間に、
ベッキーに気になったことを聞いてみる。
すると、メイド長が答えてくれた。
「王族はもともとは普通の人間だったのですよ。しかし何百年も前に、慈愛の神イザベラによって、竜の力を授けられ、
竜人族となったのです。竜にもなれますし、人間の姿にもなれますよ」
へぇ、そうなのか。
イザベラさんかぁ。
って、私と同じ名前じゃないの!
「慈愛の神イザベラは、紫色の眼にピンクゴールドの髪を持つと言われております。イザベラ様と同じですね」
なんか、凄そうな女神と同じにされてる…。
全然そんなんじゃないのに。
「わたくしにとっては、慈愛の神のイザベラや神様よりも、イザベラ様の方が偉大だと思いますけどねっ!」
おぉ、ベッキーが私への愛を語っている。
…さすがに神様より偉大は言い過ぎだと思うけど。
「お時間です。ルシアン様のところに向かいましょう」
そろそろ時間みたい。どんな方なのかしら。
「案内は、わたくしレアトルクが務めさせていただきます」
レアトルクさんが案内してくれるらしい。
「よろしくお願いします」
レアトルクさんは丁寧な仕草で案内してくれた。
なんというか、すごい育ちが良さそうな男の人だな。
「こちらで少しお待ちください」
そう言ってレアトルクさんは部屋から出て行ってしまった。
それにしても、ここに来てから豪華なものばかり見ている気がする。
この部屋もかなり広い。
「すまない、遅れた」
男の人の声がした。
その人は目の前に座ると、私をじっと見つめた。
「…噂には聞いていたが、ここまで似ているとは」
「何かおっしゃいましたか?」
「あぁ、いや、なんでもない。
私がルシアン・クローダーだ」
「ええと、イザベラ・コナリザです」
「…やはり名前が違う」
ん?何か呟いてる?何か失礼をしてしまったかしら?
「短刀直入に言う。私の婚約者はリベルナ・コナリザという名前だったはずなのだが、彼女はどうした」
えっ?そうだったの?
「い、妹のリベルナは国にいます。
私が婚約者だと聞かされていたのですけど、違うのですか?」
「お前は、姉だったのか。
私はリベルナ・コナリザが婚約者だと聞かされていたぞ」
2人して首をひねっていると、メイド長が
話しかけてきた。
「あ、あの、不躾ながら発言をお許しください。
わたくし共もリベルナ様のお世話を命じられていました。しかしイザベラ様がお越しになる3日ほど前にコナリザ王家から使者が来て、急に婚約者がイザベラ様に変更になったのです」
そうだったんだ…。
リベルナは何をする気なんだろう?
「一体なぜそんなことを?
婚約者の変更を申し出るなら、事前に伝えてもらわないと困るのだが。
お前は、本当に何も知らないのか?」
「何も存じて上げておりますせんわ。
お父様が全て決定したことでしたから」
本当に何も知らなかったし。
まさかリベルナはルシアン様との婚約が嫌だった?
私は身代わりにされた?
「一体どういうことなのかしら…?」
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