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29.動き


元の遺跡に戻ってきたとき、私は思わず涙をこぼしていた。


「また戻ってくるね」


名残惜しいけどもしかしたらルシアン様が心配しているかもしれないし、帰らないと。


泳いで水面に顔を出すと、


「イザベラ!?」


ルシアン様が目の前に立っていた。


「なんでいるんですか?」


「一か月の間行方不明だったんだよ!?」


混乱したルシアン様が言うには、

どうやら私が姿を消したまま一か月経っていたらしい。


私の魔石は光ったままだったから、

生きていることを信じて毎日ダンジョンを見回っていたようだ。


「良かった。本当によかった……」


ルシアン様はその場に膝をついて泣き出してしまった。


「ただいま戻りました。ルシアン様」


心配してもらえるっていいな。


「ありがとうございます」


私の人生を変えてくれたルシアン様に感謝しないとね。



「と、いうことでお母様の記憶を見ていました」


「おおお……」


私による壮大な体験を語り終えると、

ルシアン様がじっとこっちを見つめていた。


「本当に聖女が母親だったのか……」


どうやら私の母親は4大精霊の中の「湖の乙女『イザベラ・セイレーン』」だったらしい。


「セイレーン……」


なんとなくその名前を呟いてみると、不思議としっくりきた。


お母様って、私と同じ名前ーー  


「ゲコッ」


ん?なんか今ゲコって聞こえた?

いや、気のせいだね。疲れているんだよ。 


「ゲコゲコッ」

「ケロッ」


「い、イザベラ?」


一瞬耳を疑ったが、もう一度その音が聞こえたことで認めざるを得なくなった。


おそるおそる振り向く。


「ゲコッ」

「ゲコゲコッ」

「ケロケロッ?」


私を見つめるつぶらな目、そして滑らかな皮膚。


「な、なんで……」


そこには、カエルの群れがあった。


何もしていないよね?なんでカエル?

セイレーンって呟いただけだ……あ。


「せ、セイレーン」


「ピチピチッ」


試しにお母様の名前を呟いてみると、今度は色とりどりの魚が現れた。


あ、これは……。


「水生生物全般が使い魔として召喚できるようになっている、のか?」


ルシアン様の呟きが聞こえる。


「さすがは4大精霊ってことか?」


え、じゃあこれからはお母様の名前を呼ぶと、魚とかカエルが出てくるってこと?


……ちょっと不便な気がするなぁ。


「えー、気を取り直して……」


「多分、イザベラが見たのは慈愛の神イザベラの記憶だ。おそらくだが、神域に行ったのだろう」


神域?神域って、一度人間が行ったら戻って来れないやつじゃないの?


「娘にはこっちの世界で幸せになって欲しかったということだな」


ルシアン様はそう言ったまま黙り込んでしまった。


ちなみにルシアン様は私が帰ってきたことで気が抜けたらしく、3日間熱を出して寝込んでいる。


心配かけてごめんなさい……。


「それで、地底湖に沈んでいた遺跡を引き上げたいんですけど……」


水の中に沈んだままは嫌だし、早く引き上げたい。


「ああ、全部の神の石像があるっていう遺跡だろ?それは世界に激震が走るぞ」


と、言うわけで世界中の組織が協力してくれるらしい。


でも、手伝ってもらうのは学園の先生たちと陛下専属の魔術師さんだけにした。


お願いしてみると、ちょっとびっくりするくらい喜んでいた。



そして、ついに当日ーー


読んでいただきありがとうございました!

これからも頑張っていきたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願いします。

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