27.魔力特訓
「もう一回、やってみようか」
ルシアン様が座り込む私の耳元でささやく。
「も、もう無理です……」
私も必死で抵抗するが、ルシアン様の力に敵うわけがなく、押し負けてしまう。
「それじゃあ、もう一回……。
せーのっ!」
「無理ですもう無理です助けてください」
今日も今日とて、護身魔法の練習をしています。
ルシアン様は発動のときに祝詞を唱えさせてくれないから、魔力の消費が激しい。
それを朝からバンバンやっているものだから、さすがに疲れる。
でもいざというときに長ーい祝詞を唱えていたら、その間にやられちゃうからね。
「うん、そろそろいい感じになってきたな」
ルシアン様が珍しく褒めてくれる。
いつもは聖女のように優しいのに、魔法のことになると恐怖の鬼教官ぶりを発揮するからね。
もう本当に同一人物だとは思えないレベルだよ。
そもそも口調も変わっているし、人格が変わっているよね。
でも、褒めてくれたってことは……
この地獄の特訓も終わりってこと!?
「ということで、実戦をやろう!」
え?今なんて?実戦って言った?
「あのー、私、兵士を目指しているわけではありませんけど……」
ルシアン様が満面の笑みを浮かべたまま、私の話を無視する。
「場所は……家の裏の森にあるダンジョンだな。そこで5日間生き抜いてもらう感じで頼む」
ヤバい、なんか鬼畜なこと考えてる。
っていうかなんで家の裏にダンジョンあるんだ……。
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