26.鬼畜……?
「魔力の流れを意識して……違う。
もっと全身に行き渡らせるんだ」
「は、はひ」
ルシアン様の厳しい声が飛んでくる。
朝からずっとこれの繰り返しで、もう体が
ガチガチだ。
ルシアン様に言われた通りにしようと頑張ってはいるんだけど、まず魔力の流れって何?
「あー、右手側にもう少し送って……
そう!完璧だ!」
必死で魔力を全身に流し続けていると、
やっと合格になった。
私は肩の力を抜いて地面に座り込む。
すると、ルシアン様がふと我に返ったように駆け寄ってきた。
「イザベラ!?大丈夫か?
すまない、少し厳しくしすぎたな」
さっきまでの鬼教官ぶりが嘘のように優しい。
「だ、大丈夫です……。ルシアン様は凄いですね。あそこまで魔力の流れを意識していたなんて……」
「まぁ、昔から魔力が見えたからな」
なんでもないことのようにルシアン様が答える。
「へえ、そうなんです……はい?」
一瞬、頷きかけた後におかしいことに気がつく。
「魔力が見えるって、なんですか!?」
「あぁ、言ってなかったか?」
そう言って、ルシアン様が竜人族が代々持つ力について教えてくれる。
「へぇ、凄いですね」
便利そうだけど、大変なこともあるのかもしれないな。
「と、いうことでもう一回やってみるぞ」
ルシアン様が満面の笑みで話しかけてくる。
私も笑顔で頷きかけて……
「も、もう一回?」
「あぁ、忘れないうちに早くやろう!」
やばい……ルシアン様って、結構厳しいカモ……。
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