22.お願い
ー4年前
「おねーさま、おねーさま」
先月6歳になったばかりのリベルナがイザベラに話しかける。
それに対してイザベラは、ビクッと肩を震わせた後、周りを見回して言った。
「あまり私に話しかけてはだめよ」
まだ幼いリベルナは知らないが、
12歳のイザベラはわかっている。
「私に関わると、悪いことが起きるから」
小さな属国の第3王女の娘であるリベルナは、自分と関わることで立場が危うくなる可能性があるのだ。
「なんでぇ?」
そんな姉の思いやりなど露知らず、リベルナは不思議そうな顔で首を傾げる。
「私は呪われた忌子だから。
ほら、紫の目でしょう?」
イザベラは自分の目を指差してリベルナを説得しようと試みる。
だがそれにもリベルナは首を傾げ、よく分かっていないようだ。
「いみこ?
でも、私おねーさまの目、好きだよ?」
「それでもだめ。
リベルナは私と話しちゃいけないの」
「むぅ」
リベルナは姉の言葉に納得しない様子で頬を膨らませた。
「いいから、分かった?
リベルナはそろそろお勉強の時間でしょう。行ってきなさい」
「はーい」
リベルナが走り去った庭園に、イザベラだけが残される。
「ごめんね、リベルナ。
でも、こうしないといけないの」
その後、成長したリベルナが
イザベラの立場と、自分のすべき行動についてを悟るまでには、そうかからなかった。
「ごめなさい、お姉様」
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