21.理由
「イザベラ!」
視界がはっきりとしてきた。
ほっとした顔のルシアン様の顔が飛び込んできた。
「イザベラ!よかった……。
痛いところはないか?」
ん?やけにルシアン様の顔が近くない?
もしかして、もしかしての……
人生初の膝枕!?
「どうした、イザベラ。
やっぱり体調が悪いのか?」
や、あの、か、顔が近いです。
あと30㎝は離れてください。
「大丈夫か?」
「あのー」
「医者には見せてあるぞ。
何故なのかは分からないが、イザベラに当たったはずの魔力は全て吸収されて、なくなっていたらしい。
魔力酔いしているかもしれないから、しばらくは休んでいてくれ」
「ち、近い……」
「はっ!すまなかった」
ルシアン様は完全に忘れていたという顔で私を解放してくれた。
なんか……、初めのほうはすぐに顔が赤くなっていたのに、強くなってない?
この間近づきすぎたからかな
ていうか、もしかしてルシアン様って、
天然だったりする?
「それにしても、無事でよかった。
大切な婚約者だからな。何かあったら困る」
あ、これは完全に天然だ。
「私は大丈夫です。それよりリベルナは?」
とっさに庇ったから大丈夫だと思うけど、怪我とかしていないかな?
「お姉様!」
部屋のドアが勢いよく開け放たれ、
リベルナが飛び込んできた。
「リベルナ!」
よかったー。ドレスも汚れていないし、
元気そうだ。
安堵しながら私に向かって駆け込んできたリベルナを受け止める。
「お姉様、お姉様ぁぁ……」
私の胸に顔を埋めて動かなくなったリベルナから目を離し、ルシアン様の方を向いた。
「何で今までざんざん自分を虐めてきたリベルナを許すのか、っていう顔をしていますね」
そう思うのも無理ない。
今までのリベルナの行動は、悪意があったとしか思えないもんね。
「いいんですよ。リベルナが私を虐めるのは、私がお願いしたことですから」
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