20.水の中に
気がついたら、青い世界にいた。
いや、青いのではない。水の中なのだ。
「やっと会えたね。イザベラ」
聞き慣れた声が聞こえる。
まだ何度かしか聞いたことがないはずなのに、なんだか懐かしくて、泣きそうになってしまう。
いつもその姿が見たいのに、声しか聞こえない。
「イザベラ、後ろ向いてみて」
また懐かしい声がした。
声に従って振り向いてみると、ほとんどが
水の底に埋もれた、遺跡のような物があった。
「ここは、何?」
水の中なはずなのに、やけに綺麗に声が響いた。
でも、私の問いに答えは返ってこない。
ただ、遺跡のような物の入り口がぼんやりと光った。
「入れってこと?」
さらに光が強くなった。
入り口に向かって動きだす。
体も簡単に動く。
まるで、水の中ではないようだ。
入り口を覗いてみるが、真っ暗で何も見えない。
ずっと見ていたら吸い込まれてしまいそうな先の見えない闇だ。
だが、自然と安心感を覚えた。
「入って、いいのよね」
入り口に手を伸ばす。伸ばした瞬間、
「つっ!」
バチンと手に衝撃が走って、弾かれてしまった。
さらに入り口に触れた右手の甲に、
謎の紋様が浮き出てきた。
赤く腫れ上がっているような感じで、
少し怖い。
私を弾いた入り口に目を向けると、
奥からぼんやりとした影が近づいてくるのが見えた。
「なんだろう」
さらに深く覗きこもうとする。
「うぅっ」
突然、頭に電撃が走った。
それをきっかけに、世界がぼんやりとし始め、耳にも謎の高音が飛び込んでくる。
その間にも、影はどんどん近づき、
私の意識が限界を迎える直前、
「愛してるよ」
影から声が発せられる。
そのままその人は、ぼやけて消えていった。
でも、一瞬だけ、
私にそっくりな見た目の人が見えた、
気がした。
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