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ご無沙汰してます。




「ウォフォン……。珠稀、気を取り直してさっさとやっちゃいますか。」

そう声を掛けて来たのは星香だ。

「そうだね。」

赤くなってるだろう顔に手で送風してると。

「田所さん。」

と遠慮がちに声を掛けられて、そちらを見れば、坂井さんと井上さんが申し訳なさそうな顔をして。

「クラス旗だけど、明日からでも良い?」

と聞いてきた。

「えっ、あ、うん、良いよ。予定があるならそっちを優先して。」

私の言葉にホッとした顔をして。

「ありがとう。」

と言葉にする二人。

「明日からお願いしますね。」

私はそう言って二人に頭を下げた。

此方はお願いする立場だから、つい頭を下げてしまった。

二人は戸惑いながらも。

「……はい。」

と返事を返してくれて、そのまま教室を出て行った。


私たちのやり取りを見ていた星香が怪訝そうな顔をしてる。

どうしたんだろう?

何て思いながら、私は自分の席に着くと資料を取り出す。

「珠稀。ここ写し終わったから、次は?」

星香が此方を向いて言うから、その資料本を見て付箋にレ点チェックをして、次の付箋のページを開き。

「星香のは、このページと後一ヶ所だけだね。」

そう言って、開いていたページと付箋の貼られているもう一つを指す。

「そうなの。じゃあ、さっさとやっちゃうね。」

星香に何枚か用紙を渡すと直ぐに取りかかってくれた。

私も自分の資料本を広げて続きを行っていった。



集中してやっていたせいか、作業が捗り気付けば18時半を廻っていた。


「星香、そろそろ帰ろうか。」

私が声を掛けると星香も顔を上げて教壇の上に在る時計を見る。

「もうこんな時間なの……。集中し過ぎて気付かなかった。」

星香も驚いた顔をして時計を見ている。

「後少しで書き終わるから、家に持って帰って良い?」

と聞いてきた。

「そこまで急いでいないから、明日で良いよ。」

星香の言葉に苦笑気味に答える。

「戸締まりするね。」

私は窓際まで行き窓に鍵が掛かっているか確認していく。

全ての窓の確認を終えると後ろのドアの鍵をして教卓の中に入っている鍵を手にして自分の席に行き、鞄を手にして前のドアから出る。

「星香、鍵閉めるよ。」

声を掛けると。

「ちょっと待って。」

慌てて星香が出てくる。

ドアを閉めて鍵を掛けた。


「珠稀、理央が送ってくって。」

職員室に鍵を返して下駄箱に向かってると星香がこっちに振り返り言う。

手にはスマホがあった。

彼に連絡してたんだな。

何て思いながら。

「折角の申し出だけど、星香も理央さんと二人の時間楽しみたいでしょ?」

断りの言葉を告げた。

「えっ…そんなに気を使わなくても……。」

何て言いながら顔を赤くしアタフタする星香が可愛い。

普段とのギャップ差があってこれはこれで微笑ましく思える。

「それに寄り道するから。」

寄り道は嘘だけど、そう言わないと諦めてくれないのも知ってる。

「そっか…。理央にはそう伝えておくね。じゃあ、また明日。」

星香は靴を履き変えると走って校門に行ってしまった。

もうお迎えが来てたんだ。

何処かしら、嬉しそうな後ろ姿を見送りながら、自分も靴を履き変える。


恋してる星香が可愛いと思いながら、微笑ましくて自分もああなるのかな? 何て思ってしまった。










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