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「木崎さん。」

私が声をかけると嬉しそうな笑みを浮かべて。

「何だい、珠稀? 珠稀から声をかけてくれるなんて、珍しいね。」

声も何処か弾んでる様だ。

「あっ、えっと、パネルの展示の仕方をどうするのか?と……。展示の仕方で、要る物が変わるので。」

私がそう伝えると。

「あ~、そうだなぁ。ベニヤ板は、学校から借りれるから、サラでパネルを貼るのも何だなぁ。う~ん。ビー紙に濃紺の色を塗って……。」

と顎に手をやって考え込んでしまった。

「そういや、パネルって、星全体を写したの? それともその星一つを拡大したもの?」 

 と聞いてきた。

「そう言えば、私もそこのところ聞いてない。」

 私も担任に確認せずに説明文だけ書いていた。

「じゃあ、俺が聞いてくるわ。その後で、返答でも良いか?」

 彼の問いかけに私は頷いた。

「ただ、早めにお願いしたいです。星香の彼氏さんが今日買って来てくれるみたいなので……。」

 私が伝えると。

「わかった。次の放課にでも聞いてくるよ。」

 彼がそう答えてくれたから、私は彼から離れて今の事を星香に伝えようとしたら。

「え~、もう行っちゃうの?」

 との声で振り向けば、寂しそうな顔をして手を掴んでくる。

「星香に今の事を伝えないと、彼氏さんも待ってるし……。」

 彼の態度にドキンと心臓を躍らせながら、何とか言葉を吐き出す。

「そうだよな。ごめん。」

 一言呟くと手を離してくれた。

 私は、その場を離れた。


 彼に掴まれた手と反対の手で掴まれた箇所を覆う。

 それだけで、心臓が跳ねるとは……。

 私もまだまだだなぁ、何て思いながら自分の席に戻る。


「星香、彼に少し待っててくれるように伝えてくれる。展示の仕方で、材料が変わるから、先生に確認取ってからじゃないと頼めないから。」

 星香に声をかける。

「あっ、うん。午前中にわかるなら大丈夫だよ。」

 星香の承諾も出たので、彼が答えを出すまで待つ事になった。


「珠稀。担任に聞いてきたが、星一つをアップにしてのパネルだって言ってた。俺としては、ビー紙に濃紺色に塗った後で、アップパネルの星座を白色でかたどって横にパネルを置いた方が良いと思うんだが、どうだろうか?」

 彼は授業が終わると直ぐに教室を出て行ったのだが、もう私の目の前で報告して、提案までしている。

 彼の行動の素早さに驚きを隠せないでいたら。

「その案、良いと思う。ただパネルの説明文だけじゃなくて星座のどの位置か解ってもらえると思うしね。」

 彼の説明を聞いて納得したのは瑞歩だった。

 まぁ、興味がないと見てもらえないだろうし、誰が見ても解るようにするにはそれが一番だと私も思い頷いた。

「じゃあ、必要なのは……。ビー紙が十枚、紺色の絵の具と白の絵の具だけど、どれぐらい要るのだろう?」

 と声にしたら。

「紺色の絵の具だけど、取り敢えず枚数分で十本と白は二本で、後は筆だけどなるべく幅広の幅を十本くらい買って来てもらえば良いと思う、足りなくなったら買い足せばい事だしな。」

 淀見なくそう言い出した彼。

「わかった。それでメールしておく。」

 星香がそう言って携帯を出して、メールをしているのを横で見ていたら。

「珠稀。ご褒美頂戴。」

 と彼が唐突に言い出した。

「ご褒美?」

 私は首を傾げながら聞き返した。

 何に対してのご褒美なんだろうか?

「うん、ご褒美。」

 彼が嬉しそうに口にする。

 ワクワクした目を私に向けてくるが、何をどうしたら良いのか解らず困惑していると。

「調子に乗るな!」

 って、瑞歩が彼の背中を分厚い資料で叩いていた。







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