12
本日二話目です。
前ページからお読みください。
「おはよう、珠稀。今日は手を繋いで登校?」
教室に入ると繋がれてる手を見て星香が冷やかすように言ってきた。
「えっ…あっ…ち、ち違う!校門から…だから……。」
星香の言葉を慌てて否定して、彼の手から自分の手を引っこ抜く。
その時頭上から”チッ”って舌打ちが聞こえた気がするが……。
「木崎、おはよう。あからさまに嫌そうな顔をするな。しかも舌打ち付きって……。」
星香が苦笑しながら言う。
聞き間違えではなかったのか。
「おはよう、石村。以外と耳がいいんだな。」
星香に挨拶を返しながら、言葉尻がボソボソだったけど私の耳にははっきりと聞こえてきた。
驚いて、彼を見れば。
「……可愛い。」
って呟く声が……。
「それにしても、相談した翌日から良くもまぁ、堂々と手を繋げれたものね。」
呆れ顔の星香に対して。
「この方が、剥こうから接触してくるだろう。そこを狙ってるんだよ。」
堂々と言い返す彼。
「どうだか。まぁ、珠稀に害が出ないのならいいけどね。」
星香の言い方はキツイかもしれないが、声音は心配で仕方無いと言っている。
「まぁ、期待しててよ。」
余程自信があるのか、笑みを浮かべて居る彼だが、その笑顔が不適で怖い。
思わず星香の腕に抱きついていた。
「どうしたの?」
星香の声に我に返り首を横に振り。
「…な、何でもない……。」
視線を下げて口にした。
「珠稀。昨日の続きをやるから、用紙くれ。」
彼がそう言い出したので、自分の席に着き画用紙を渡す。
確かに彼に頼んだ場所は説明が長かったので、余分に手渡す。
「ありがとう。」
そう言いながら、私の横の席に座り、本を見ながら写し出した。
本来の彼の席は、窓側の後ろの席だ。何故ここでやるのだろうか? と疑問が浮かぶ。
「あ、私も後少し足りなくて、珠稀に用紙を貰おうと思ってた。」
星香が私の前の席に座りながら言う。
「あっ、うん。一枚で足りる?」
「一枚で足りるよ。」
星香の返事を聞いて用紙を渡す。
このままだと足りなくなるかも……。
今日にでも買いに行かないと……。
何て思いながら、私も書き始めた。
暫く作業に没頭していると。
「おはよう。珠稀ちゃん、星香ちゃん、それに木崎くん。って、そこ私の席なんですが、退いてくれません。」
声をかけられて顔を上げれば、瑞穂が彼の前で仁王立ちしていた。
「おはよう、瑞歩。今日は遅かったんだね。」
何時もより遅い登校にそう声をかけると。
「ん。少し寝坊しちゃったの。」
恥ずかしそうに答える瑞歩。
「おはよう、瑞歩。あんたにしては珍しいね。」
星香も声をかける。
「うん。これをやってたから、寝る時間がずれちゃって……。」
照れ笑いを浮かべて見せてくれたのは、今まさに私たちが手掛けているパネル用の説明文。
「えっ、家でやってきてくれたの?」
驚いてそう声をかけると。
「うん。寝る前に少しでもってやってたら、何時もより遅い時間になってて……。」
そう言いながら小さなアクビを一つする瑞歩。
瑞歩ちゃんの頑張りに目を見張った。




