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彼に打ち明けた翌日には通常登校に戻した(彼の願いだ)。

で、学校に着けば校門に彼の姿があったが、初日よりも人だかりは少ない(皆慣れてきたのだろうか?)。

そんな中でも、彼は私に気付くと満面な笑みを浮かべて。

「おはよう、珠稀。」

と近付いてくる。

その姿を周りの女生徒が観ると顔を赤くして、固まってる(私もそっち側に行きたいです)。

つい自分の願望が頭の中で過る(当事者になりたくなかったと言う本音が胸の中で燻る)。

それでも、彼は振れる事無くて自分の意思で行動してるんだと思わされる。

「おはよう、木崎さん。」

まぁ、挨拶は普通に返す。それが当たり前だと思ってるからで。

「教室まで、手を繋いでも?」

突然の申し出に固まる私。

何故、手を繋がなければならないのでしょう?

しかも教室までですよ。

私、迷子か何かでしょうか?

「ダメ……?」

 何故か私の顔を覗き込む様にして、捨てられた子犬のような目で見てきた。

 彼の顔のどアップに驚き、思わず背を仰け反らせる。

 答えが出せずにオロオロしていると。

「ここ道の真ん中だから、他の人に迷惑になるから行こう。」

 彼が鞄を持っていない方の手を捕られて、私の歩幅に合わせる様にゆっくりと歩き出した。

 手を繋ぐ許可を出していないのに繋がれてしまっている手(私が呆気に取られた性でもあるが)。

 私はその手をまじまじと見つめた。

 大きな手だなぁ……。しかも指長い。ちょっと骨張ってるところも良い。理想的な手だ。

 と感じていたら。

「珠稀の手、小さいな。それにプニプニしてて気持ちいい。」

 って彼が言い出した。

 同じタイミングで相手の手の事思うって、何なの? 

 だけど、それ口にして欲しくなかった。結構気にしてる部分だったりする。

「触り心地良くないよね。手、離してくれてもいいんだよ?」

 疑問で投げ掛けたんだけど。

「何言ってるんだよ。俺には丁度いいんだけど。」

 その言葉と同時にギュッと握り締めてくるから顔を見れば、嬉しそうなしていて私は赤面する嵌めに……。

 言われ馴れ無い言葉を聞くとどうしても恥ずかしくなるし、ドギマギしてしまう。

 本当にどうしたら良い?

 心臓の鼓動が、何時もよりも早い気がする。

 平然装うのが、難しい。

 こんなこと始めてだ。

「珠稀の顔、真っ赤だ。可愛い。」

 って、私の顔を見るなりに耳許で囁くように言う彼。

 ギャ~、それ以上近付かないで~(心の叫び)。

 男性に対する免疫が無いから、余計にアタフタしてしまう。

 今まで彼氏という存在なんて居なかったから、どう対応すればいいのか分からない(男兄弟は居ない)。

「わ、わ私を揶揄って…面白い…ですか?」

 動揺し過ぎて、噛み噛みですが、とにかく私が聞きたいと思った言葉が出てきた(声は小さいが)。

「揶揄って無いよ。全部俺の本音だ。」

 って言うから、視線を彼に向けたら、真顔で此方を見ていて、その視線の熱に捕らわれそうになって、逃げる様に逸らした。

「珠稀。教室に付くまで、顔を上げるなよ。その顔他のヤツには見せたくない。」 

 独占欲丸出しで言ってくるが、私には意味不明な言葉だと首を傾げながら。

「否、顔を上げないと前が分からないじゃないですか。」

 ぶつかったらどうするんですか?

 責任取ってくれるんですか?

 何て思っていれば。

「今は、ダメだ。手を繋いでるんだから大丈夫だろ。」

 って何の確信があって、そんな事を言うのかやっぱり分からないが、ただ口調が少しだけ拗ねた様な口調だった。 

 私は、翻弄されながら手を引かれて廊下を歩く嵌めになった。






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