1話 不審者
「ルイスの招待状を見てここまで来たが・・・・・・」
右手に手紙と手書きの地図を見ながらそこにいる黒髪の少年はため息を着く。手紙にはここに来るように書かれていたが少年にはここには入れない理由があった。
そう・・・目の前にあるのは学院である。そこに入るまではいい。だが・・・来いと言われた場所はそこの学院の
男子禁制『女子寮』である。
「・・・どうやって入れと?」
黒色のパーカーを着ておりフードを被っている少年は塀をとびこえ学校に入るとすぐ近くにあった学院の地図を見て記憶する。
女子寮の場所が分かったのでこういう事はあまりしたくは無い少年だが女子寮にこっそり入ることを決意する。
そんな少年の後ろ姿はまさに・・・・・・
「・・・・・・変質者?」
である。
そしてそんな声は後ろからかけられてきたのは分かっている少年・・・・・・フードを取り両手を上げ無害なのを教えようと笑みを浮かべながら後ろの子に振り返る。
その少女の外見は黒色の髪に髪の先は白くなっている。肩まであるその髪は綺麗に整えられていている。服装は黒色のパーカーに白色のスカートにスパッツを履いている。
そして目の色は右目は黒、左は白と別れている。
変わった空気感を放つ女の子だ。
「あぁ〜、俺はここの学院長に呼び出されていて・・・別に不法侵入しようとしてはワケじゃない」
「人が来るなんて聞いてない」
話しとけよあの若作り!!
そうここに来るように促したルイスに心の中で悪態をついていると少女は左手を少年に向けるとこう言い放つ。
「ちゃんと手加減はしてあげる」
そういうと少女の左手が──────────
「・・・・・・ストップだ」
──────────切られていた
そんな幻覚を見た。
少年は無表情になり青白い光を放つ左目はその目を見たものを心の底から凍りつかせる・・・・・・そんな雰囲気を放っていた。
「・・・・・・・・・」
少女は自分の左手を見た後、改めて少年に目を向ける。
右目は切られた傷跡があり開いていない。
黒髪に左の青い目・・・改めて見ると身長は百六十センチと低いように見える。先程の笑顔と打って変わって無表情な少年は何者も寄せつけないオーラを放っている。
首には蛇が首を締め付けているようなあざのような黒い線ができている。
「ほい・・・招待状!」
「え?・・・あ、はい」
少年はさっきと同じ笑顔に戻ると1枚の開けられている手紙を少女に見せていた。手紙にあるハンコの形は間違いなく
「・・・・・・ルイス学院長の家紋」
少女は少し目を見開きながらそう言った。
そう、少年を呼び出した少女事ルイス・フォルメールはこの学院・・・レイティア学院の頂点ルイス学院長であった。また、フォルメール家は代々優秀な能力者を産み育てる名門貴族でもあった。
「これで俺の無実は証明されたかな?」
少年は笑顔で言う。
それでも少女ティア・バレンタインの脳裏には少年の青白い目は恐怖として植え付けられていた。それを隠すように少女は笑顔でこう答える。
「分かった・・・私が案内する」
「そんな怖がんないでよ・・・敵にならない限り殺したりしないから」
また冷たい声でそう言葉を放つ少年。
少女はまた心の中で驚きと気味悪さから来る恐怖が込上げる。少年を見ればあどけなさが残る可愛い笑顔である。
それでも恐怖を植え付けられていた。
「ま、いいや・・・じゃあ案内してもらえるかな?」
「・・・・・・分かった。私の名前はティア・バレンタイン」
「そう・・・僕の名前は涙だよ」
涙・・・この名前の意味はなんだろう?
ふとそう思ったがそれは今関係ないと思い別の質問をする。
「家名は?」
「君が知る必要は無い」
また、静かで冷たい言葉を放つ。
聞かれたくないのと言いたくないからだろう。
ティアは余計な事を言わないようにし少年・涙をルイス学院長が居る部屋に案内をする。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「ルイス学院長、お客様がお見えになっています」
涙、ティアは今女子寮の最上階・・・ルイス学院長の部屋の前にいる。木製の大きな扉の前におりティアがノックをした後そう言葉にする。
少ししてルイス学院長の返事が聞こえる。
「今日・・・誰か来る約束はしていない。予約を入れてまた来るように追い返して」
「だって・・・ルイス学院長に会う時は予約が必要なの知らなかった?」
そう言われてティアは涙にそう質問する。
だが涙はそれに答えずドアの方を見たあと一度「はぁ」とため息をこぼした後
ど・・・ごぉぉおぉぉおおぉん!!!
と大きな音がなりドアに人一人軽く入れるような大きな穴を蹴りで作った。少し遅れ突風が吹き荒れる。
「てめぇから呼び出したんだろうが!!」
少し苛立ちを覚えながら涙が言葉を言い放つ。
しかし肝心のルイスは口にポッキーを咥え乗っ転がりながら下着姿でテレビゲームをしていたのかその状態でこちらに目を開きながら見ていた。
「・・・・・・・・・・・・。」
それには涙とティアも驚いていた。
ティアは涙の蹴りの威力に、涙はルイスのその姿に驚いていた。ティアはともかく涙は普段
「豪華な部屋でドレスを着込み椅子に座りコーヒーを片手に読書するのが趣味なんだ・・・夜はワインと時間帯により飲むものは分けゲーム等やお菓子は一切食べないよう心掛けているのだ!」
とルイスに話されていたからだ。
そんな話を聞いていた涙に取ってこの今の現状は軽蔑した目で見下すのには十分であった。
「る・・・涙。これは違うのだ」
「何が?」
涙のその言葉にルイスもとい学院長は涙に泣きつくのだった。