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コンにちは。くらコンです。最近YouTubeを見てると時計の針が通常の3倍速で動いています。誰か1日を30時間にしてください。
では、第7話、どうぞ。
日陰に来てから3日目の朝。私はすっかり皆と仲良くなって、楽しい日陰生活を送って・・・いたかったのですが、
来て早々に生活用水をぶちまけ、心証は最悪。いつ捨てられてもおかしくない状況です。何とかしなければ・・・ということで朝食の手伝いを名乗り出てみたのですが、当然のように断られました。無念です。
朝食のあと、リサさんは私に外へ来るように言いました。梯子を登って屋上に上がると、外は快晴でぽかぽかとした陽気でした。そんな青空の下、リサさんは私に
「ロア、お前には今日から、訓練をやってもらう。」
「く、訓練ですか?」
「そうだ。ここで働いていくために、ある程度は強くなってもらわないと困る。そのための訓練だ。」
訓練といっても、具体的には何をするのだろうか。全く想像ができない。
「とりあえず今日は私とだな。お前の覚悟を試すものでもあるから、手は抜くなよ。」
そういうとリサさんは体を軽く動かし、私を真っ直ぐ見据える。困惑した私は
「あ、あの、どういうことですか?これは一体・・・?」
「言った通りだ。今から私と殴り合いをしてもらう。」
「な、殴り合い?そんなことしたら、リサさんが怪我しちゃうんじゃ?」
「私が怪我?・・・随分とお優しいんだな。まずは自分の心配をしたらどうだ?」
「い、いえ、その、何でこんなことをするのかなと思って・・・」
「お前は日陰が、どんなところか知らないのか?盗みも殺人も日常茶飯事、お前の足元に死体があったっておかしくはない。それに私たちは、人を殺す側にいる。お前はそれを知った上で、ここに残ったんじゃなかったのか?」
「そ、それは・・・」
「生半可な覚悟ならここから消えろ。これは遊びじゃない。」
こうなったらもうやるしかない。私は拳に力をこめて、思い切り地面を蹴る。力いっぱいふるった拳だったが、彼女には当たらず不意に視界が揺れる。地面がだんだんと近くなり、そのまま激突する。左頬が熱を帯び、口の中に血の味が広がる。殴られたのだ、と理解するのに数秒かかった。地面には私のものらしき血が日光を反射して輝いていた。
「お前は自分の命と相手の命どっちが大切なんだ?もし私がその気だったなら、お前は死んでいる。私を殺すつもりで殴りにこい。」
リサは私を見下ろしながらさらに冷たく言い放つ。
「本当に、そうなんですか?どちらかが死ぬしか、方法がないんですか?」
立ち上がりつつ、彼女に問いかける。先程殴られた左頬がズキズキと痛む。
「じゃあお前は、他に方法があると言うのか?」
「はい!証明してみせます。」
正面から彼女を見据えながら、言い放つ。自信はないけど、やるしかない。
「そうか。なら、見せてくれ。二人ともが死なない方法とやらをな。」
疑わし気な声を発したリサに、それを証明すべく私は地面を踏みしめ・・・
思い切り蹴った。そしてリサの腰のあたりに飛びつき、思い切り押し倒した。
「ッ!?お前、何を!?」
暴れるリサの両腕を押さえつけて、私は彼女に言う。
「ほら、これでお互いのことを殺せません。証明、できましたよね?」
「はぁ!?お前、これが殺さない証明になるのか!?」
「はい!私は絶対、殺しません。」
しかし、そこで腕を押し返され、ひっくり返されてしまった。
「馬鹿馬鹿しい。やる気が失せた。」
リサはそう吐き捨て梯子の下へ消えていった。
屋上に1人取り残された私は、コンクリの床に寝転んだ。そうやって青空をぼんやりと眺めていたその時、まだ痛む左頬に冷たさを感じ、飛び上がる。
「やっほ。お疲れ~。」
見ると、そこにはニコニコと笑うセティがいた。左手には、水の入った金属のコップが握られていた。
「い、いつからいたんですか?」
「ん?ロアちゃんが殴られたあたりからだけど?それより、傷、冷やしときな?」
全く気付かなかった。リサさんは気付いていたのだろうか?受け取ったコップを頬に当てていると、
「それにしても、面白いことするね。こりゃぁ、今後が楽しみだ。」
なんだか馬鹿にされたような気がして、少しムッとした。実はいい人なのかもとか思ってた自分が恥ずかしい。
「さてと、それじゃあ行こうか。」
そう言って彼は立ち上がった。
「?どこにですか?今から?」
「んー・・・”傘”を作りに、かな。」
セティは、頭上の雲を見上げながらそう言った。
いかがでしたでしょうか。次回から、やっと物語が動き始めます。乗り遅れないようにご注意を。
では、ここまでお読みいただきありがとうございました。またお会いしましょう。