1-⑥
コンにちは。くらコンです。これからは、忙しくなるので週1くらいの投稿ペースになります。ご容赦くださいませ。それでは、どうぞ。
私の頬を水だか汗だか分からない液体が伝っていく。4名の水より冷たい視線を浴びて、私の顔は色を失っていく。
「おい、ロア。どういうことか、説明してもらおうか。」
リサはいつもより低い声で問いかけた。
「え、えっと、その、水を汲もうとして、バランスをくずしちゃって、その・・・」
「お前は赤子か!?何でバケツから水汲もうとして倒れる!?」
しどろもどろになりながら答えると、リサの怒鳴り声が返ってきた。言い返せず、視線を床に落とす。ここまで自分が惨めに思えるのは久しぶりだなぁと考えていると、視界の端に古びたスニーカーが見えた。見上げると、それはセティだった。長髪を一つ結びにした彼は、必死に笑いをこらえていた。今にも大声で笑いだしそうなその姿に、顔に熱が戻っていく。しかし温度の上昇は止まることを知らず、顔が真っ赤になっていくのが自分でもよく分かった。ここまで恥ずかしい思いをしたのは初めてだ。今なら、私の顔で野菜が焼けるのではないか。
私の態度が一変したからか、リサも仏頂面のままセティに目を向ける。すると次の瞬間、リサの視線を感じ取ったセティは一瞬で笑みを消し、真剣な表情で私を見下ろした。「なにをやってるんだこいつは」とでも言いたげな表情だが、それはこちらのセリフだ。これじゃまるで、私がこの人を見て頬を赤らめているみたいじゃないか。
「・・・とりあえず、お前は水を汲みに行ってこい。ったく、これだから日向民は。」
諦めたような溜息のあとで、リサは吐き捨てるように言った。いつの間にか、他の3人はいなくなっていた。
「だって。ロアちゃん、頑張ってn」
「お前も一緒についていくんだぞ?当たり前だろ?」
「・・・ですよね~」
そういうことで、私はセティと水を汲みに行くことになった。
「んじゃ、行くか。ゆっくりいくから、頑張ってついてきてね。」
梯子を登って屋上に出ると、セティはそう言って建物から建物へ飛び移り始めた。軽い足取りで、サクサクと進んでいく。私が唖然としていると、彼は振り返って
「ほら、はやく。置いてっちゃうよ?」
と叫んだ。それではっとなった私は、下を見下ろした。隣の建物との間は思ったより広く、高さは身長の2倍ぐらい。死ぬことはないだろうが、怪我は覚悟しなければいけない。
息を一つ吐いて覚悟を決め、思い切って跳ぶ。両手に持った大きなバケツが、揺れて音を立てる。足が石造りの天井を踏みしめ、安堵する。同じように建物を移動し、セティの隣へたどり着いた時にはすっかり汗だくになっていた。
「あはっ!さっき着替えたばっかなのに、もう汗だくじゃん!」
確かに、先ほどリサから借りた服は汗まみれになっていたが、そんなに笑われると、少々気分が悪い。一人腹を抱えている彼を冷たく睨むも、全く気にしている様子はない。やはり、この人は少し苦手だ。
やがて、彼は一つのマンホールの上に降りた。周囲に人気はなく、本当に廃墟という感じがする。彼に続いて暗いマンホールの穴の中へ入る。最初は真っ暗で何も見えなかったが、徐々に目が慣れ、周りが見えてきた。下水道に水は流れておらず、現在は使われていないらしい。あたりには何かが腐った臭いが充満し、思わず顔を顰める。そしてふと、隣を歩く彼を見て気づく。彼は、私より若干背が低い。年上だと勝手に思い込んでいたが、案外同い年なのかもしれない。
そんなことを考えていると、二人の足音に混じり、水の流れる音が聞こえるようになってきた。やがて、飛沫をあげながら流れていく水が姿を現した。下水道ではあるが、ここの水は飲めそうなくらい綺麗だ。
「落ちるなよー。流されても助けないからなー。」
かなり恐いことを呑気に言うセティに呆れながら、両手に持っていたバケツに水を汲む。ずっしりと重くなったバケツを持って、帰路につく。
「・・・お前ら、何しに行ったんだ?」
水の半分以上入っていないバケツを眺めて、リサは呆れて言った。帰る途中で、建物を跳んでいったときにこぼれてしまったのだ。
・・・このあと、もう一度行くことになった。リサという人は、下水道の水よりも冷たい人だった。
いかがでしたでしょうか。この前書き・後書きでも書くことがなくなってきました。皆さんは最近いかがお過ごしですか?自分は最近芋けんぴにハマりました。
ご意見・ご感想は年中無休、じゃない年中夢中でお待ちしております。ここまでお読みいただきありがとうございました。ではまた来週。