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月と太陽  作者: くらコン
2/8

1-②

コンにちは。くらコンです。第2話でございます。本当は昨日あげる予定だったのですが、書いてる途中で保存をし忘れて半分くらい消えまして。やる気を無くして今日に至りました。以後きを付けます。では、どうぞ。

「と、いうことで!新しく迎え入れることになった!ロアちゃんでーす!」

「よ、よろしくお願いします・・・?」

妙にハイテンションなセティと、対照的に静かな約4名。ロアの反応も頷けるだろう。冷たい4人の目線と、相変わらず楽し気なセティの目線に挟まれ、ロアは自身の顔が引きつるのを感じた。

 遡ること数分前。二人から怒声をあびるセティを横目に、ロアは微かな高揚感を味わっていた。今まで、誰かに「ここにいてほしい」と言われたことがなかったからだ。初めて誰かに必要とされたという幸福感が、ロアのなかに漂いはじめた。

そうこうしているうちに、3人の話はまとまったらしく、短髪の女性が、溜息を吐きながら、私を縛っていた布を解いた。じわりと指先に血が流れていく感覚がした。

 そして今、ロアの心は恐怖と不安で満たされていた。錆びた鉄扉の奥の部屋は、先ほどよりも少し広いようだが、なんせ6人もの人間がいるので圧倒的に狭く感じる。私の隣にはなおもニコニコと笑うセティが、右後ろには見るからに不機嫌な短髪の女性。左後ろには先ほどの背の高い男性がいた。そして私の正面に、壁に寄り掛かる小柄な男の子と、部屋の角に座る女の子。全員から圧を受け、今にも潰れそうな私を見かねてか、セティが沈黙を破った。

「じゃあ、次はこちらの自己紹介かな?改めましてわたくしセティ。よろしくね!」

「は、はぁ・・・。」

緊張のためか、気の抜けた声しか出なかった。

「私はリサだ。あまり迷惑をかけるなよ。」

右後ろにいた女性は無愛想に名乗った。女性にしては低い、ハスキーな声だ。

「ソルという。この子らの監督をしている。」

続いて左後ろにいる男性が名乗った。見た目通りの低い声だ。しかし、監督とは何を監督しているのだろうか。それが心に引っかかった。

「リー。変なことしたら殺す。」

正面に座っていた男の子は、敵意丸出しで言った。私より年下に見えるのに・・・。

「名前はレイ。話しかけないで。」

角に座っていた少女は目も合わせてくれなかった。高い綺麗な声をしているだけに、余計傷ついた。

「さ、それじゃあ自己紹介も終わったんで、次に・・・」

 恐怖と困惑と不安で返事もできなくなっている私を見て、セティは面白そうに笑いながら続ける。

「自分らがここで何をしてるか、についてだね。まぁ簡単に言うと、自分らの目標はあの”日向シャイニー”をツブすこと。そのために、君の弟を攫って、それをエサにして君の父親、ボス・リーバをろうとしてたんだけど。自分のせいでそれは失敗しちゃったから、今はおとなしくする予定。普段は、この辺に住んでる人から依頼を受けて人殺しをやってる。君がいきなりやってもらうことはないけど、それは後で。それと、」

「ちょ、ちょっと待ってください!日向をツブす?お父さんを殺す?じょ、冗談ですよね!?というか、ここはどこなんですか?何で私が?」

 話のなかにおかしな点が多すぎて、思わず質問を浴びせてしまった。先ほどまでの子の人達の言動といい、本当にヤバい人たちなのではないか。心臓の鼓動が早まり、汗が背中を伝う。しかし当のセティは、首を傾げてロアを見つめている。すると、今まで無口だったリサが、

「・・・多分、ここがどこか分かってない。」

とセティへ言った。すると、笑顔を取り戻したセティは

「そういうことね。おいで。ここがどこだか、ついてくれば分かるよ。」

そう言って、部屋の壁に取り付けてあった梯子へと手をかける。今まで気が付かなかったが、部屋の壁には鉄製の梯子があった。言われた通りに、冷たい梯子へ手をかけて登っていくと、間もなく屋上らしきところへ出た。周囲は同じような古いコンクリ製の建物が並び、どれも人が住んでいるような気配が無い。しかし下には道がり、小さな屋台が密集している。少ないが人通りもある。皆薄汚れた服を着ていた。

「ほら、あっち見て」

 セティが指をさした方向には、とてつもなく大きな、見覚えのある壁が朝日に照らされ立っていた。しかし、いつも見ていたそれは、いつものような姿をしていなかった。

「あれが壁に囲まれた都市”日向シャイニー”。そしてここはその外側。壁の内に入れなかった者たちが暮らす、”日陰シェイド”。日向暮らしだったお嬢様には、日陰ここの暮らしは不自由かもね。」

言葉を失う私を、昇ってくる太陽の白い光が包んでいく。それは、今まで感じたことのない、暖かい光だった。

やっとちょっとストーリーが見えてきたのではないでしょうか。次回からもだいたい1500字くらいをめやすに投稿していきます。では、ここまでお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

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