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コンにちは。初めましての方は初めまして。くらコンです。今回から、「月と太陽」という作品を投稿していきます。この物語は自分の中でかなり温めておいた作品なので、やっと文章にできた、という感じデス。まだシロウトなので、「内容伝わらんわボケェ!!」ということも多々あると思いますが、生温い目で読んでいただければ。それでは、ごゆっくり。
西暦2060年。核戦争によって、世界は昏く沈み込んだ。荒廃した土地の上に、金と権力のある者は壁を築き、都市”日向”を形成した。壁の内側では、金と地位を得た者が贅沢を謳歌し、荒れ果てた壁の外では罵声と泣き声が響き渡る。そんな世界のなかで、日向に”影”を落とそうとしている者達がいた。
あれ?私は、何をしていたんだっけ、、、夕食に食べたハンバーグ、美味しかったな、、、
真っ暗な視界のなかで動かない手足を必死に動かしながら、呑気にそんなことを考える。必死に出した大声も、口に噛まされている布にほとんど吸い込まれていった。
二人の人間の話し声が近づいてくる。声を荒げる女性と、それに飄々と答えるもう一人。やがて、私の目を覆っていた布が取り払われ、淡い光が眼球を刺激する。私の正面には、ニコニコと笑う長髪の女性らしき人。司会の端には、仏頂面の短髪の女性の姿があった。長髪の女性が私の口の布を解き、笑みを絶やさないまま問いかける。
「こんばんは、お嬢さん。月がきれいですね。」
、、、見たところここは建物のなかのようだし、おまけに今日は新月だ。
「私はセティというものです。お嬢さんのお名前は?」
両手を後ろで縛られ、うつ伏せの姿勢のまま私は答える。
「ロア・リーバです。あの、何で私はここに、、、?」
私が名前を言ったとたん、二人は顔を見合わせ、短髪の女性がため息をついた。質問には答えてくれないらしい。
「セティ、お前やってくれたな。」
「いやぁ、それほどでも、、、」
「褒めてない。」
そんな会話を聞きながら、少し周囲に注意を向ける。壁は灰色のコンクリートで、ところどころヒビが走っている。造られてからだいぶ経っているのだろう。正面には、錆びた鉄製のドアが一つ。窓は見当たらず、薄暗い。そんなことを考えていると、再び長髪の、セティと名乗った女性が話しかけてきた。
「ま、分かると思うけど、お嬢さんは私たちが誘拐しました。お家の住所とか分かる?」
「親にお金を要求するんですか?」
「そうなるね」
「多分、あの人たちは私のためにお金なんて出しませんよ。・・・弟だったら別ですけど」
すると、セティという女性はニンマリと笑って、楽しそうに
「面白いこと言うね。やっぱり当たりだ」と呟いた。
すると、鉄のドアが音を立てて開き、大柄な男性が入ってきた。その男性は私を冷たく見下ろしながら、
「結局、コイツはどうするんだ?」
と二人に訊ねた。私がうつ伏せになっているからなのか、背がとても高く感じる。短髪の女性は、同じように私を見下ろしながら
「殺すしかないんじゃない?居ても邪魔だし」と言った。
結局、私はここでも邪魔者扱いか。そう思ったその時、
「うーん。ウチに迎え入れたらいいんじゃない?」
「「は?」」
「いや、だから、ウチらと一緒に暮らせばいいんじゃないかなって」
「「はァ!?」」
声を荒げる二人と、それに笑顔で対応するセティ。この日から、私の人生という名の道は大きく曲がっていくこととなる。
いかがでしたでしょうか。とは言っても、まだほとんどなにも始まってないので、次回の投稿を楽しみにしていただければ。ご意見、ご感想、また誤字脱字などを発見された方はコメントで教えていただければ幸いです。それでは、今回はこれで。ここまでお読みいただきありがとうございました。