スキル選択とアシスタント
「こんにちは。私は齋藤 一様専属のアシスタント【サクラ】と申します」
「専属の?で...ここはどこなんだ?」
「ここは魂の集合所です。地球で亡くなったすべての魂は一度ここに集まります。」
確かに無機質な真っ白い空間が広がるこの場には大勢の人や動物が列をつくっていた。
「斎藤 一様は、人や動物が亡くなった後
「ん?あの鎖に繋がれた人たちは?」
何列もある行列の端に鎖で繋がれた人たちが列を作っていた。皆うつむき歩く姿はどこか囚人のような
雰囲気である。
「あれは生前犯罪を犯した者や自殺した者たちです。ポイントがないので人には生まれ変われません。
虫や家畜に転生することがほとんどなのでよほどのことがない限りポイントを取得できません」
「ポイント?」
「はい。前世での貢献度を数値化したもので、主に資産や社会貢献が多くポイントに反映されます。
斎藤 一様の場合そのどちらも高いとの判断で私がアシスタントとして参りました。移動します
ので私に触れてください」
一瞬の浮遊感を感じたかと思えば先ほどまでいた無機質で白く広い空間から個室に風景が入れ替わった。
「何でもありかよ天国は...」
「斎藤 一様もポイントでスキルと交換すれば使えるようになりますよ」
そう微笑みながら、私の常識ではありえない事をさも当然かの如く言い切る彼女
どうやらポイントを多く所持している者はサクラのようなアシスタントがつき、スキル選択の
補助をしてくれるようだ。
「私の事は一と呼んでくれ。
それで、さっきから言っているポイントとかスキルの事を詳しく聞きたいんだが」
「はい。それではハジメ様のポイントを確認しますのでお待ちください」
そう言った彼女の前にウィンドウが現れ、慣れた手つきで操作を始める。
「斎藤 一、地球、男性、、、」
私の個人情報を入力しているようだ。なぜ知っているんだろう。
そんな事はお構いなしに入力を続け、よしっと一息つき画面が切り替わった。
「きゅ、きゅきゅきゅ!!」
「90億ポイント!!!???」
今まで事務的に対応していた彼女が一転、急に声を荒げた。
「そんなに凄いのか?」
確かに90憶という単位は多いとは思うが、いかんせんこちらの単位が分からないから反応に困る
「凄いなんてもんじゃありません!!こんな数値初めて見ましたよ!!これだけあればすべての
スキルを取得しても余りますよ!!いったい何をすればこんなにポイントが余るんですか!」
私は会社を経営していたこと、退職後はボランティアのために世界中を飛び回っていた事を伝えた。
「はぁ...そういうことですか。それなら90億ポイントも納得です。」
「それでさっきから言っているスキルやらポイントとやらを説明してほしいんだが」
「た、大変失礼いたしました!!」
彼女の説明によると、私はどうやら地球とは別の世界に生まれ変わる。彼女の言葉で言うところの
「転生」をするそうだ。その世界では誰でも魔法を使えるらしく、今回取得したポイントとスキルを
交換できるらしい。
なんとも信じがたい話ではあるが本当ならなんとも楽しみである。俺は目の前に表示された スキル選択画面を凝視した。