05:白杖を持つ盲者
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お久し振りの更新となる。
前回の更新から二年以上経っていて驚いた。
実は「ずっと更新をお待ちしています」というお声を何度か頂いていて申し訳無いと思っていた。
小説の連載にかまけてずっとほったらかしにしていたが、これからはまた折を見てぼちぼち更新していきたいと思っている。
そんな訳で、今回は白杖の話など。
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外を歩く。
それは何気無い、日常の行動だ。気負う事は無いだろう。歩いて行く先や目的によっては足が重くなる時もあるかも知れないが、歩く事そのものは余程の悪天候などでない限り、大した事とは思わない筈だ。
──しかし、自分にとってはそうでは無い。緊張を強いられる億劫な行動なのだ。耳と、足から伝わる振動、そして白杖から感じ取れる感触に全神経を集中する行為。話しながらは勿論、携帯で音声や音楽を聴きながらなどもってのほかである。
歩くには、まず白杖を使う。白杖は無くてはならない相棒だ。
今回はこの白杖について、少し語ってみたいと思う。
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白杖は、目が不自由な人は持たなくてはならないと道路交通法で定められている。全盲でなくともロービジョンの人にもそれは当てはまるので、白杖を持っているからと言って全盲であるとは限らない事を覚えておいて欲しい。
たまに「白杖を持っているのに目が見えている、スマホを弄っている人を見掛けた、おかしい」などと言う人がいるが、別にそれはおかしい事では無いのである。
白杖の材質はアルミ製か木製が多いだろう。折り畳み式のもの、伸縮式のもの、グリップも真っ直ぐなものや傘の持ち手のような形など、多くの種類がある。先端も金属やゴム、ローラーの付いたものなど様々だ。
自分はアルミ製で四段折り畳み式の細いものと、木製の真っ直ぐなもので持ち手が傘の持ち手状の杖とを使っている。他に予備としてアルミ製の三段伸縮式のものを持っている。たまに突然壊れる事があるので、予備は必須だ。
さて、皆さんは白杖がどこで買えるのかご存じ無いだろう。恐らくは、障碍者○○センターで購入するだとか、役所で注文するとか、そういう想像をしているに違い無い。
確かに障碍者ナントカセンターの購買所などで取り扱っているし、障碍者補助で安価に購入する為に役所で手続きをしたりもする。
しかしそんなのまだるっこしい、すぐに欲しい、変わった種類のものが欲しい──そんな場合はどこで買うか。
ズバリ、ネット通販である。amaz○nとか楽○とかで「白杖」と検索すると沢山の種類が出て来るのだ。ネット万歳。自分もamaz○nで注文して買った。控除は受けられず全額自費だが、ポチッとすれば数日で家まで届けてくれるのである。こんな便利な事は無い。
ちなみにネット通販を使う場合でも、自治体によっては補助を受けられたりする。しかし自分の所の自治体は事前に申請した上で指定の所で買わなければ控除が受けられないという、大変手間も時間も掛かる方式だったので、面倒になって自費でネットで購入したという次第であった。
一番自分が使用しているのは前述の木製の杖だ。何故これを選んだかと言うと、まず使わない時に持ち手をひょいと何処へでも引っ掛けられるという点を考慮した。傘で想像して頂ければ分かり易いと思う。傘を畳んだ時に普通の持ち手ならば腕などに引っ掛けられるが、折り畳み傘の真っ直ぐな持ち手の物は処遇に困る事があるだろう。それと同じだ。
更に、木製のものは音が柔らかい。老人用などの歩行補助に使う杖は体重を支えなくてはならない為に堅く頑丈な木を使うが、体重を支える必要の無い白杖ではとかく軽い木材が使われている。よって音もさほど耳障りではない、軽く柔らかな音がするのだ。
そして白杖は足許や前方に障害物が無いかを探る為に使うのだが、何かにぶつけた時に、木製だと相手を傷付ける事が少ない。例えば道端に停めてある自動車に杖が当たった場合、金属製の物だとそんなに強い力を込めていなくとも車体に傷を付けてしまう怖れがある。木製だとその可能性が比較的少ないのだ。
と、まあ様々な点を考慮した上で自分はこの杖を選んだ。amaz○nで買ったこの杖は何年も使い込んで年期が入ってきたが、未だ現役である。駄目になるまで大事に使っていきたい。
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とまあ、さらっと白杖について書いてみた次第である。
ちなみにだが。実は以前、座頭市の仕込み杖に少し憧れて、模造刀の仕込み杖を白杖に出来ないかと考えた事がある。
結果としては、諦めざるを得なかった。あれは重さがそれなりにあるので白杖として使うには使い辛いというのと、色を真っ白に自分で塗るなり何なりしなければならないというので挫折したという経緯があった。
しかし仕込み杖は浪漫なので、不謹慎ながらもやはり憧れを捨て切れていない次第である。
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という事で、今回は白杖について少し触れてみた。
具体的な使い方や、実際に外を歩く際に気を付けていることなどはまたいずれ書こうと思う。
それから書く予定のネタとしては、スマホの事や夢についての話などを考えている。
他にこんなものを書いて欲しいなどのリクエストがあれば、感想やメッセージ、またはTwitterなどでも遠慮無く言って頂きたい。
小説の連載の合間の息抜きがてらなので更新はぼちぼちマイペースとなる予定だが、今後も読んで頂けたなら幸いである。
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