02:個性を考える盲者
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ちょっと常々思ってることを書いてみました。
嫌な気分になった人がいたら申し訳ない。でも撤回はしない。
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『個性』とは何だろう。
よく『障害』を『個性』だ、障害はマイナスじゃない、みんな違ってみんな良い! ……みたいな事を言う人がいる。
正直、おかしいんじゃないかと思う。
よしんば個性という言葉は容認したとしよう。しかしながらどう考えても、プラスにはならない。マイナスだ、マイナスの個性だ。だってそりゃあ不便だもの。そんな奇麗事言おうがどうしようが、不便なものは不便だ。
例えば顔の美醜であるとか、頭の良し悪しであるとか、そういった一般的なものに置き換えたとして、そりゃ不細工より美人、莫迦より秀才に越した事はないだろう。大抵の人はそう思う筈である。
同じように、見えないよりは見えた方が、歩けないよりは歩けた方が、どう考えても生活が便利だ。しかも明確にリスクの大小や掛かる金銭の額が違ってくるともなれば尚更ではないだろうか。
なのになぜ、マイナスではないだの個性だの言い張るのか、という点について考えてみたときに、思い当たるのは『世界に一つだけの花症候群』という言葉だ。
これはどういったものかと言うと、(別に某グループが悪い訳でも作ったミュージシャンが悪い訳でも無いのだが……)この曲の歌詞にあるように『みんな等しく価値がある、誰にだって生きる意味がある』という理想を当然のものとして押し付け刷り込み、夢とか個性とかやりがいとか立ち位置とか生き甲斐とかが無い奴はおかしい、と思い込ませたり脅迫したり不安にさせたりするものである。
無論、何か目標があって一心不乱に頑張るものがある人はいい。自分のやりたかった事を仕事にできたり、趣味に打ち込んで充実しているのはとても良いことだ。
しかし多くの人は、仕事にやりがいを見付けられなかったり、満足出来る結果を出せなかったり、やりたい事が見付からなかったり、恋人や伴侶が欲しいのに出会いが無かったりする。そうすると、自分に自信が持てなかったり、自分がひどく駄目な人間に思えたり、強い孤独を感じたり、誰からも必要とされていないように思って自分を見失ってしまう。
何故か。それは必要以上に、人間には価値がある、自分だけの役割がある、かけがえのない人などいない、と思い込まされているからだ。
勿論それらは悪いことではない。ないが、必要以上に、という部分が問題で、「将来の夢は?」と聴かれた小学生が「まだ決まってない」と答えるとまるで奇異なものや可哀そうなものを見る目で見られたりするような、そういう部分が問題なのだ。
ではなぜそれが障碍者の個性の話に繋がってくるかと言うと、もうだいぶ解っていただけていると思うが、どう考えてもマイナスの個性で人より出来る事が少なくあまつさえ他人の手を煩わせたり疎んじられたりする障碍者でも、世の中に必要な人間だ、役割があって価値があるんだ、と言いたい……いや、そうでないと駄目だと思っているからである。特に障害の程度が強い程、本人よりも周囲の方がその傾向が強いように思われる。
そんなものは、幻想だ。そんな強迫観念があるから逆に「何も出来ない者は価値が無いから処分しなくては」などと極端な考えに行着いて蛮行に走る者が出てくるのだ。
では結局、何が正しいのか、何が善いのか、どう考えればいいのかと言うと、私見になるのだが。
生きているだけでいいのである。居るだけで価値がある。生まれてきただけで意味がある。ただそこに在る、それだけで奇跡なのだ。大物芸人曰くの「生きてるだけで丸儲け」って奴だ。
逆に言えば誰にも等しく価値は無いのだ。替えの利かない人間などいない。極一部の天才だのは突然変異みたいなものだと捨て置けばいい。自分の価値を過剰に求めるから、嫉妬し不安になり落ち込み、ついには自分自身を駄目にしてしまう。自分で自分を縛ってしまう。
いや、多少の嫉妬が発奮剤になって頑張れるならそれでいいのだが、自分で自分を追い詰めることに繋がるなら、やめた方が良い。
身の丈を知るというのは、とても重要なことなのだ。無いものねだりは心に良くないのだ。
そんな訳で、見えなくて不便な生活をしている自分は、見えないことを個性なんて言ったりしない。言ってなどやらない。不便を承知で、出来る範囲の中で出来ることをやる、そういうことでいいのである。
こんなマイナスなキャラ付けなんて作り物の中だけで十分だ。全盲がカッコイイのは二次元やドラマの中だけなのである。
と、書き散らかしてきたが、自分も嫉妬はする。上手い人とか凄い人とかランキングとか気になる。とても気になる。でも多分自分の努力とか積み重ねとかが足りないとかタイミングや切っ掛けがまだなのだ、と思うので結局は、頑張るしかないのだ。出来る範囲で手持ちの駒でやれるだけをやるのみなのだ。そう自分に言い聞かせる、そんな日々なのだ。
あと最後についでながら、個性なんてそうそう安易に付随出来るものじゃないと思う。よく立場を確立する為にキャラ付けや個性を欲しがる人は多いが、アイドルの○○好きと一緒で、付け焼刃の特性などすぐに剥がれるメッキと同じだ。本当の個性というものは、本人が嫌で隠そうとしていても自然に滲み出てしまう、それほどの物なんじゃなかろうか。
……ああ、最初と繋がった。これでよし。
そんな訳で色々書いてしまったがとどの詰まりは、くよくよ悩まず気楽に行こうぜ、と。そんな安易で薄っぺらくて愚かげな、ありふれた言葉にやっぱり帰り着くものなんじゃなかろうか。
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ちょいと長くなりました。いやそうでもないか。
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