01:文章を書く盲者
文章を書くのには、いつもPCを使っている。
パソコン自体は普通のデスクトップで本体は小さいが、まだギリギリ見えていた時の名残のデカいモニタが鎮座していて、これが少し邪魔である。自分としては無くても一切問題は無いのだが、何かトラブルがあった時に他人に見て貰う際、いちいち繋ぎ直すのが面倒なので繋いだままにしてある。
で、何が普通と違うかというと、入っているソフトである。
基本osはwinだが、目が見えない状態でpcを操作するには、画面に映っているものを読み上げて貰わねばならない。ここで登場するのが『音声読み上げソフト』と言われるものである。
これは画面を一切見なくてもpcを操作出来るよう音声でガイダンスしてくれるものだ。winにも少しそういう機能があるにはあるが、やはり専用のものを使わないとなかなか難しいものがある。
そして操作は基本的にマウスは殆ど使わず、専らキーボードを使用する。その為には少しばかり環境のカスタムが必要だったり、ショートカットを幾つか覚える必要はあるが、慣れてしまえば不便はそう無い。自分の場合は元々pc等に明るかったので尚更移行はスムーズだった。
更にブラウザなども、音声読み上げソフトに対応した専用のものを入れている。しかしこちらはサイトの仕様によって少しばかり不便な時もあるので、ieなどと併用している。ちなみになろうを操作する際は、特に問題は起きないので専ら専用ソフトの方で覗いている。
何より重要なのはキーボードなので、割とこだわって選んだ物を使っている。自分はパンタグラフ式のキータッチが好きなので、マイナー・少数派を承知でパンタグラフ式を探して買っている。面倒なこだわりだが、気分の問題なのでせめてこれぐらいはいいだろう、と気取ってみるのである。
さて、ここから実際に文章を書く際の話である。
書く時には簡便なエディタソフトでガシガシ書いていく。ワード的なワープロソフトも悪くはないが、いちいち文字数や行数を気にしてしまうので、そういう必要にかられないときには、ただ文字を書く為だけの機能しかないツールを使うことが多い。
ここで具体的に「書く」行為をどのように行っているのかというと、例えば日本語を入力する場合、Tのキーを押すと音声が「ティー」と言う。続いてAのキーを押すと「た」という表示されているであろう文字が読み上げられる。そして更にこの「た」を変換させると、「他人のた・ほか」「多少のた・多い」などと、漢字が分かるように読み上げていく。こうしたことを繰り返して文章を打つ訳だが、ある程度打った頃に読み返そうとすると、通常の目で読む作業とは違った方法を取ることになる。
即ち、読み上げさせるのである。
アナウンスソフトの如く、打った文章を声で読んで貰う訳だ。これには利点が一つある。それは、眼で読むだけだと無意識に流してしまうような間違いに気付き易いという点だ。一方、誤変換を見付けるのは難しかったりする。その場合は、一文字ずつ読ませて確かめる必要がある。七面倒な作業である。
眼で見ずに読み上げる音だけで文字を打ち、文章を読み返すという行為は、必然的に物理的な時間が掛かる。目で見ると一瞬だが、音はそうはいかない。ここでどうしても、文章を書くトータルのスピードが落ちる。
誤字を気にせず読み返さず書き散らかすだけなら、それは打つのも速くなるだろう。しかしながら、ある程度きちんとした文章を書くとなると、確認は必須となり、その分の時間が掛かる訳だ。自分は以前はかなり筆が速く、締め切りギリギリなどの時は一晩で二万字程度を書き上げるのが日常だったので、今のこのスピードはもどかしくてならない。
しかしながら、それを言い訳にするつもりは毛頭無い。文章のクオリティを落とさずどう書く速度を上げるか、それはひたすら慣れと、確認を怠らないことの二つに尽きる。これは結局、見えていようがいまいが心積もりは同じなのである。
まあそんなところで自分からお薦めしたいのは、書き上げた文章を一度、音として読み上げさせてみる方法だ。フリーソフトでも何でも良い。書いているときには気付かなかった間違いに気付けるかも知れない、便利な方法の一つだからだ。誤字だけではなく、文章そのものの違和感にも気付き易くなるだろう。既に実践している方もいるかも知れないが、念の為記載する。
と、そんな感じで自分はぺしぺしと文章を書いている、ただそんな話なのである。
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さて次は何を書こうか。
テレビ、料理、出歩く際の話、脳内に浮かぶ映像の話などなど……。
もし「こんな話が読みたい」とか、質問でも何でも、興味本位でも構わないので、何かあったら遠慮なく聴いてくれればと思う。お気軽に。
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