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中継ぎの勇者は聖女の王女様とは結ばれない  作者: 安藤昌益


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勇者乱立編22

 身勝手な群衆の歓呼、声援、野次で耳が痛くなりそうな中、トウドウは、一番離れた、一番上の席の後ろに立って闘いを見下ろしていた。彼が介入できないように、遠くの位置にいるよう要求された結果である。ジャンヌ、カーミラ、ロフは一回戦は難なく勝ち上がった。残り8人となった二回戦で、ロフはフリードリヒと戦うこととなり、敗れて消えた。ロフがフリードリヒに劣ったというわけではなかったが、チーム力が勝敗を決した。実際、2人の戦いは、ほぼ互角で推移していたのだ。チーム戦であり、10人までとしていた。それよりはるかに多い人数を有していたフリードリヒは、もちろん精鋭を選抜した。対するロフは、他の10人に満たないチームが金で雇っても数を揃えたのと対照的に、妹のヒョウセンと2人だけで臨んだ。彼らは2人だけのチームで、常に2人だけで戦ってきた。彼の他は、ヒョウセン1人で十分だった、今までは。彼女は、フリードのチームの精鋭9名とよく戦った。しかし、流石の彼女も兄が倒れる前に力尽きた。その彼女を助けようとしたロフは、それまでフリードリヒと互角に戦っていたのだが、その一瞬の隙をつかれて倒れた。

 決勝戦では、その前の試合で、フリードリヒを倒したデューク・フリードと、カーミラを倒して勝ち上がったジャンヌとの戦いとなった。全てにわたって、デュークが、ジャンヌが上回っていた結果だった。

 デューク・フリードとジャンヌ王女の闘いは、今までにない激しいものとなった。

「今でも、デュークの勝利を望むか?」

 ディーテがイシスに問いかけた。イシスは睨みつけたが、言い返さなかった。

「彼女と私にとっては、彼は自分達の存在意味でもあるんだ。」

 彼が言うと、彼にイシスは体をピタッとつけて、

「あやつを、2人で育てたと言えるな。それが、このようになるとはな。どうして、こんなことになったのか?」

 黙って、トウドウは彼女を抱きしめた。ディーテは、メディアもラセットもにらみつけたが、何も言わなかった。

 そして、デューク・フリードは、本来彼が受けるべき栄光を手に入れた。観客の大きな歓声の中を彼は、それに応えて手を振りながら、3人の王女達を従えて歩いていった。

 トウドウとイシスは、複雑な表情でそれを見つめていたが、

「そろそろ行かないと、あの生真面目王女が危ないかもしれないわよ。」

 メディアの言葉を受けて、転移魔法を発動して消えた。

 神々は、それぞれ勇者に相応しいと思った者に力を与え、加護した。彼又は彼女が勝ち残れば、かつてのイシスがいた、高位の神の座につける。高位と言っても、上位、主要神というところまではないのだが。だから、神と勇者は、一心同体、二人三脚のような関係であると言える。しかし、敗者となった場合、美しい関係で終わるとは限らなかった。

 そもそも、最後の闘いから撤退することに、勇者が撤退を望んだのに、彼の神が強行に反対して、彼は出場しなければならなかったケースもあったくらいである。

 この闘いのルールの一つとして、止めをささないというのがあった。一般人、魔族でさえも即死と思われる傷でも、勇者は死なないからだ。しかし、手加減するわけにはいかないから、そのまま死んだものが多かった。しかし、神の態度によっては、息を吹き返すことができた。女神が自らの命を、勇者に与えて助けた場合もあった。そのまま、

「共にいたい。」

と言って、勇者を助け、自らを人間となり(聖女として)結ばれた場合や、勇者の恋人を生き返らせて自らは死を選んだ場合も、共に勇者を愛する者として彼のパーティーの女性と一体化した者もいた。勇者達を助けようとすれば、なにがしかのリスクが神々にもあるのである。

 フリードリヒは、

「大望はならなかった。生きるつもりはない。しかし、あんたは、我の生き様を記憶する者として生きてくれ。」

と言って、自らの死を望んだ。

 ロフは、

「馬鹿な兄貴と死ぬのは、私だけでいい、私だけの特権だと、妹のヒョウセンが言ったのでね。」

と神の救いを断った。

 争いあって、共に死んでしまった場合もあった。勇者の力を回収すれば、敗れて、ペナルティで減らされた神格を上げることができ、地位の降格を最小限にできるからだ。

「申し訳ありません。我が神よ。」

 ジャンヌ王女は、動かない体ながら、目だけ開けた。が、彼女の男神は、

「全くの役立たずが。」

 彼は今までに見たことがない、傲慢な、嫌悪感丸出しの表情で見下ろしていた。

「勇者の力は返してもらうぞ。」

 彼は、ジャンヌの体に、手を突き刺した。

「う、神よ。」

 苦痛で身をよじった。が彼女の目に、

「ぐあ、誰だ?」

 神の胸から剣が突き出ているのが見えた。

「あまりにみっともないですよ。」

「貴様は、神を裏切る積もりか。虫けらが。」

 断末魔の苦しみの中で、彼は、罵った。

「主神方達からの許しは受けてますから。だから、この剣を持ってるんですよ。」

 彼女に、神の血が注がれた。神が消滅した。そこには、トウドウ・シンデーンが立っていた。

「回復してやるから心配するな。」

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